ツェナーダイオードの仕組み

ツェナーダイオードの特性

ツェナーダイオード(Zener Diode)は定電圧ダイオードとも呼ばれます。

主に電気回路内の安定した直流電圧を作る場合に用いられます。

ツェナーダイオードはPN接合の半導体に逆方向の電圧を加えた場合 ある逆方向電圧(降伏電圧) で直線的な電圧特性を示し、急激に逆方向電流が流れます。

降伏電圧の領域では電流が変化しても、ダイオードの両端の電圧がほぼ一定になる性質があります。

ツェナーダイオードは、降伏電圧で電圧が一定になる性質を積極的に利用しています。

ツェナーダイオードのこのような性質を積極的に利用することで、安定的な電圧を回路に発生させることができます。

一般的なダイオードの降伏電圧は非常に高く(-400ボルトなど)なっています。
しかし、ツェナーダイオードでは(-6ボルト)などの低い電圧になっています。

定電圧回路の必要性

電気回路で正確な動作をさせるためには、定電圧回路が必要になります。

一般的な電池で簡単な回路を考えてみます。

■ 負荷の抵抗が1個の回路
\(E\cdots\)電池の起電力
\(r\cdots\)電池の内部抵抗
\(V_1\cdots\)端子電圧とすると

端子電圧 \(V_1\) は
\(V_1=E-I×r\) [V] になります。

■ 負荷の抵抗が2個の回路
\(E\cdots\)電池の起電力
\(r\cdots\)電池の内部抵抗
\(V_2\cdots\)端子電圧とすると

端子電圧 \(V_2\) は 電流が2倍になるので
\(V_2=E-2I×r\) [V] になります。

端子電圧 \(V_2\) は \(V_1\) より電圧降下が大きいので、低くなってしまいます。

このためツェナーダイオードを使った定電圧回路が使われます。

ツェナーダイオードの定電圧回路

■ 負荷の抵抗が1個の回路
負荷の抵抗が1個のときの定電圧回路です。

ツェナーダイオードは逆方向電圧を加えて、降伏電圧(ツェナー電圧)で使います。
\(I\cdots\)全電流
\(I_Z\cdots\)ツェナーダイオードの電流
\(I_L\cdots\)負荷に流れる電流とすると
\(I=I_Z+I_L\) [A] \(\cdots(1)\)

ツェナー電圧で使うために抵抗 \(R\) で電流 \(I\) を流して、ツェナーダイオードにツェナー電流 \(I_Z\) を流しておきます。

■ 負荷の抵抗が2個の回路
負荷の抵抗を2個にしたときの定電圧回路です。

負荷の抵抗が増えたので負荷電流 \(I_L\) が増加します。

電池の端子電圧は回路の抵抗 \(R\) の端子電圧 \(V_R\) と降伏電圧 \(V_Z\) の和になります。
\(V=V_R+V_Z\) [V] \(\cdots(2)\)

出力電圧 \(V_L\) は降伏電圧 \(V_Z\) と等しので、式(2)は次のようになります。
\(V=V_R+V_L\) [V] \(\cdots(3)\)

抵抗 \(R\) は一定値で \(V_Z\) も降伏電圧で一定ですから
式(2)から \(V_R\) も一定になります。
\(V=V_R+V_Z\) [V] \(\cdots(2)\)

\(V_R\) と \(R\) が一定ですから電流 \(I\) も一定になります。
\(I=\cfrac{V_R}{R}\)

式(1)を変形すると
\(I_Z=I-I_L\) [A] \(\cdots(4)\) になります。

負荷が増加すると \(I_L\) が増加しますが、式(4)の \(I\) が一定なので
\(I_L\) が増加すると、その分の \(I_Z\) が減少することで、出力電圧が一定に保たれます。

以上で「ツェナーダイオードの仕組み」の説明を終わります。