半導体の材料として最もよく利用されているものが シリコン(Si) つまりケイ素です。
ゲルマニウム(Ge) も半導体の材料として使われます。
純粋な シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge) の元素でできている半導体のことを、 真性半導体 といいます。
純粋な シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge) ではほとんど電流が流れません。
ここでは、半導体の仕組みについて説明します。
P型半導体の仕組み
4価の元素 シリコン(Si) に価電子が1つ少ない3価の元素 ホウ素(B) を、少量加えると電子が抜けるという現象がおきます。
この抜けた穴を正孔(ホール)と呼びます。
これが P型半導体 になります。
P型半導体は、電子が少なくなるので正電荷の 正孔 を持ちます。
正孔が電気を運ぶ キャリア の役目をします。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2020/11/shot_201117_105402.png)
P型半導体のように 正孔 が存在する状態で、電界をかけると正孔(ホール)に電子が次々に移動していきます。
正孔(ホール)が次々に移動する状態は、電流が流れている状態に見えます。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2018/02/shot_201118_100500.png)
N型半導体の仕組み
シリコン(Si)に価電子が1つ多い リン(P) を、少量加えると N型半導体 になります。
N型半導体は、電子が余分になりますので、これが 自由電子 となります。
自由電子が電気を運ぶ キャリア の役目をします。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2020/11/shot_201117_105014.png)
PN接合の半導体の仕組み
PN接合の半導体は ダイオード と呼ばれる。
P型半導体とN型半導体を接合すると、接合面に 拡散 といわれる現象が起こります。
拡散とは温度差によって移動する現象のことで、正孔は P側から N側へ、電子は N側から P側へと移動する。
接合付近で正孔と電子の結合がある程度進行すると止まります。
この領域のことをキャリアがないということから 空乏層 という。
キャリアとは正孔や電子のような荷電粒子のことをいいます。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20161015092253.jpg)
■ 少数キャリアと多数キャリア
半導体の中には、電流を運ぶために 自由電子と正孔 が共存しています。
キャリアには、2種類のキャリアがあり、少数キャリアと多数キャリアがある。
少数キャリア\(\cdots\)P型半導体の電子、N型半導体の正孔がこれにあたります。
多数キャリア\(\cdots\)P型半導体の正孔、N型半導体の電子がこれにあたります。
■ P型半導体を例にすると、正孔が余分にある。
この余分な正孔が自由電子を確保するため、自由電子が少なくなります。
このように、少ない方のキャリア(電子)を「少数キャリア」という。
反対に、多い方のキャリア(正孔)を 多数キャリア といいます。
■ PN接合に電圧をかける
PN接合に電圧をかけたとき、電流の流れる方向のことを 順バイアス といいます。
逆に電流が流れない方向のことを 逆バイアス という。
半導体の中のキャリアの様子は図3のようになります。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20161015092409.jpg)
また、逆バイアスのときの、空乏層の幅はバイアスがない時に比べて広がっています。
整流素子であるダイオードはこの原理によるものです。
トランジスタ
トランジスタ は半導体を3つ接合させたもので、PNP接合のものと NPN接合の物があります。
■ PNPトランジスタ
図のように、N型半導体の両端をP型半導体で接合したものです。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2021/12/shot_230418_163049.png)
■ NPNトランジスタ
図のように、P型半導体の両端をN型半導体で接合したものです。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2021/12/shot_230418_163354.png)
■ 半導体材料のシリコン
シリコンは日本語ではケイ素と呼ばれています。
元素記号は「Si」で地球上で酸素についで2番めに多く存在する元素です。
半導体の材料として シリコン が多く使われる理由としては主に次の4つがあります。
- 地球上で2番めに多い元素であるため、資源が豊富にある
- 不純物を取り除きやすく、純度を高めやすい
- 単結晶化と不純物の量を調整して、抵抗率の制御がしやすい
- 安定した酸化膜ができ、集積化などの加工がしやすい