
この記事で書いていること
- 三相交流電力の公式について
- 三相交流電力の公式にルート3がつく理由
- スター結線とデルタ結線の三相交流電力の公式の求め方
について説明しています。
三相電力の公式
三相交流回路の電力を 三相電力 といいます。
三相回路の電力は 負荷で消費される電力 のことです。
三相交流電力は負荷に加わる 電圧と電流 そして 力率 で決まります。
三相電力の公式
三相電力を \(P\)
線間電圧を \(V_l\)
線電流を \(I_l\)
力率を \(\cosθ\) とすると
スター結線、デルタ結線に関係なく次の式で表されます。
三相電力=\(\sqrt{3}\) 線間電圧 × 線電流 × \(\cosθ\) [W]
\(P=\sqrt{3}V_lI_l\cosθ\) [W]
三相電力を相電圧と相電流で表す場合
三相電力を \(P\)
相電圧を \(V\)
相電流を \(I\)
力率を \(\cosθ\)とすると
三相電力を相電圧と相電流で表す場合は、単相交流電力の3倍になります。
三相電力の公式に(ルート3)が付く理由
三相電力の公式は、次のように表されます。
(ルート3)が付く理由
- スター結線のときは、線間電圧が相電圧の \(\sqrt3\) 倍になるためです。
- デルタ結線のときは、線電流が相電流の \(\sqrt3\) 倍になるためです。
そのため、三相電力を 線間電圧 と 線電流 で計算するときは、\(\sqrt3\) が付くことになります。
スター結線の三相電力の公式
★ 平衡三相 Y-Y結線の三相電力の公式
\(P=\sqrt3V_lI_l\cosθ\quad\rm[W]\)
三相電力 \(P\) [W] 線間電圧 \(V_l\) [V] 線電流 \(I_l\) [A] とします。

■ スター結線のベクトル図から線間電圧を求めます

ベクトル図から線間電圧を求めるには、次のようにします。
- 三角形 ABO は、辺 BO が線間電圧 \(V_{ab}\)、辺 AO と辺 AB が相電圧
\(E_a\) と \(-E_b\) なので、大きさが等しい「二等辺三角形」になります。 - P点は底辺 BO を二等分します。
\(PO=\cfrac{1}{2}V_{ab}\) になります。 - 直角三角形 APO で、∠AOPは \(\cfrac{π}{6}\) ですから、次のようになります。
\(\cos\cfrac{π}{6}=\cfrac{PO}{AO}=\cfrac{\cfrac{1}{2}V_{ab}}{E_a}\)
\(V_{ab}=2E_acos\cfrac{π}{6}\)=\(2E_a×\cfrac{\sqrt{3}}{2}\)=\(\sqrt{3}{E_a}\) - 線間電圧は、相電圧の \(\sqrt{3}\) 倍ということが分かります。
三相電力 \(P\) の公式は、次のようになります。
\(三相電力P=3×相電圧×相電流×力率\)\(=3×\cfrac{線間電圧}{\sqrt{3}}×相電流×力率\)
\(三相電力P\)\(=\sqrt{3}×線間電圧×線電流×力率\) となります。
ただし、Y結線のときは「相電流=線電流」になります。
デルタ結線の三相電力の公式
★ 平衡三相 ΔーΔ結線の三相電力の公式
\(P=\sqrt3V_lI_l\cosθ\quad\rm[W]\)
三相電力 \(P\) [W] 線間電圧 \(V_l\) [V] 線電流 \(I_l\) [A] とします。

■ デルタ結線のベクトル図から線電流を求めます

ベクトル図から線電流を求めるには、次のようにします。
- 三角形ABO は、辺AO と 辺AB が相電流 \(I_{ab}\) と \(-I_{ca}\) なので、大きさが等しく、二等辺三角形になります。
- P点は底辺BO を二等分します。
\(PO=\cfrac{1}{2}I_a\) になります。 - 直角三角形APO で、∠AOPは \(\cfrac{π}{6}\) になります。
- したがって、線電流は次のようになります。
\(\cos\cfrac{π}{6}=\cfrac{PO}{AO}=\cfrac{\cfrac{1}{2}I_a}{I_{ab}}\)
\(I_a=2I_{ab}cos\cfrac{π}{6}\)=\(2×I_{ab}×\cfrac{\sqrt{3}}{2}\)=\(\sqrt{3}I_{ab}\) - 線電流は、相電流の \(\sqrt{3}\) 倍ということが分かります。
三相電力 \(P\) の公式は、次のようになります。
\(三相電力P=3×相電圧×相電流×力率\)\(=3×相電圧×\cfrac{線電流}{\sqrt{3}}×力率\)
\(三相電力P\)\(=\sqrt{3}×線間電圧×線電流×力率\) となります。
ただし、Δ結線のときは、「相電圧=線間電圧」になります。
三相電力の公式のまとめ
三相電力の公式
- 三相電力は線間電圧と線電流で計算するときは、スター結線、デルタ結線に関係なく
\(P=\sqrt3×V_lI_l\cosθ\quad\rm[W]\) になります。
以上で「三相電力の公式」の説明を終わります。