三相交流のY-Y結線

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三相交流のY-Y結線

三相交流回路のY結線は「星形結線」または「スター結線」などと呼ばれます。

Y結線の相電圧と線間電圧の関係や相電流と線電流の関係、また、Y結線の表わし方などについて説明します。

Y結線のまとめ

Y結線の線間電圧

$$\dot{V_{ab}}=\dot{E_a}-\dot{E_b}[V]$$

$$\dot{V_{bc}}=\dot{E_b}-\dot{E_c}[V] \tag{4-1-3-1}$$

$$\dot{V_{ca}}=\dot{E_c}-\dot{E_a}[V]$$

Y結線の線間電圧と相電圧の関係

線間電圧$=\sqrt{3}$×相電圧 [V]$\tag{4-1-3-2}$
線間電圧は相電圧より、位相が$\cfrac{π}{6}$進む。$\tag{4-1-3-3}$
相電圧は線間電圧より、位相が$\cfrac{π}{6}$遅れる。$\tag{4-1-3-4}$

Y結線の線電流と相電流の関係

線電流と相電流は等しい。$\tag{4-1-3-5}$

Y結線の電圧と電流の関係

三相交流電源と負荷の接続を、Y結線したものが次の図になります。

端子a-o、b-o、c-oを「相」といいます。

各相の起電力 $E_a、E_b、E_c$ を「相電圧」といい、各相の共通点oが「中性点」です。

図の中の矢印の向きは、電位の高さを表わしていて、

矢印の先の方が電位が高くなります。

また、各相の起電力は、互いに $2π/3[rad]$ の位相差があります。

端子間a-b、端子間b-c、端子間c-a の電圧 $V_{ab}、V_{bc}、V_{ca}$ を

「線間電圧」といいます。

各相に流れる電流を「相電流」といい、

各相から流れ出ていく電流を「線電流」といいます。

Y結線の電流

スター結線では、「相電流と線電流は等しい」ことになります。

Y結線の線間電圧は相電圧のベクトル和

電源の各相の起電力と各端子間の電圧 を求める

端子a-b間の電位の求め方

電源の端子aと端子b間の線間電圧 は、端子bを基準にした場合の端子aの電位のことです。

起電力の符号の正負については、起電力と電圧降下の正負を参照してください。

  • \(\dot{E_a}\) は回路をたどる方向と同方向なので、符号は(+)となる。
  • \(\dot{E_b}\) は回路をたどる方向と逆方向なので、符号は(-)となる。

★$\dot{V_{ab}}$ が意味すること…添字のab は後ろの「文字b」を基準とした場合の「前の文字a」の電位を意味する。

  • ab間の線間電圧 \(\dot{V_{ab}}=(aの電位)-(bの電位)=\dot{E_a}-\dot{E_b}\)
  • bc間の線間電圧 \(\dot{V_{bc}}=(bの電位)-(cの電位)=\dot{E_b}-\dot{E_c}\)
  • ca間の線間電圧 \(\dot{V_{ca}}=(cの電位)-(aの電位)=\dot{E_c}-\dot{E_a}\)

Y結線の線間電圧と相電圧のベクトル図

線間電圧 $\dot{V_{ab}}$ は $\dot{E_a}-\dot{E_b}$ ですから、

図のように、ベクトル  $\dot{E_b}$ と同じ大きさで方向が反対のベクトル $\dot{-E_b}$ を描いて、

ベクトル合成をすれば求めることができます。

ベクトル合成については、複素数とベクトルを参照してください。

Y結線の線間電圧 のベクトル図

電源の相電圧 $\dot{E_a}、\dot{E_b}、\dot{E_c}$ が対称三相交流電圧であれば、

線間電圧 $\dot{V_{ab}}、\dot{V_{bc}}、\dot{V_{ca}}$ も対称三相交流電圧になり、

お互いに $2π/3[rad]$ の位相差があります。

Y結線の電圧の位相
線間電圧は、相電圧より $π/6[rad]$ 進んだベクトルになります。

Y結線の線間電圧は相電圧のルート3倍になる

Y結線のベクトル図から線間電圧を求める

1. 三角形ABOは、辺BOが線間電圧 $\dot{V_{ab}}$、辺AOと辺ABが相電圧 $\dot{E_a}$と$-\dot{E_b}$ なので、

大きさが等しく、二等辺三角形になります。

2. P点は底辺BOを二等分します。$PO=\cfrac{1}{2}V_{ab}$ になります。 

3. 直角三角形APOで、∠AOPは $\cfrac{π}{6}$ [rad] ですから、

次のようになります。

$\cos\cfrac{π}{6}=\cfrac{PO}{AO}=\cfrac{\cfrac{1}{2}V_{ab}}{E_a}$

$V_{ab}=2E_acos\cfrac{π}{6}$

$V_{ab}=2E_a×\cfrac{\sqrt{3}}{2}$

$V_{ab}=\sqrt{3}{E_a} [V]$
 
$\rm cos\cfrac{π}{6}$ は三角関数の知識を参照

対称三相交流であれば、各相電圧は等しいので、$E_a=E_b=E_c$ です。

従って、

$V_{ab}=\sqrt{3}{E_a} [V]$

$V_{bc}=\sqrt{3}{E_b} [V]$

$V_{ca}=\sqrt{3}{E_c} [V]$

Y結線の線間電圧
線間電圧$=\sqrt{3}$×相電圧[V] になります。

Y結線の記号法による相電圧と線間電圧

三相交流のY結線の相電圧と線間電圧の関係を記号法で求める

相電圧は

$\dot{E_a}=E [V]$ とすると

$\dot{E_b}=E\left(-\cfrac{1}{2}-j\cfrac{\sqrt{3}}{2}\right) [V]$

$\dot{E_c}=E\left(-\cfrac{1}{2}+j\cfrac{\sqrt{3}}{2}\right) [V]$

線間電圧は

$\dot{V_{ab}}=\dot{E_a}-\dot{E_b}$

$=E-E(-\cfrac{1}{2}-j\cfrac{\sqrt{3}}{2})$

$\dot{V_{ab}}=E(\cfrac{3}{2}+j\cfrac{\sqrt{3}}{2}) [V]$

$\dot{V_{bc}}=\dot{E_b}-\dot{E_c}$

$=E(-\cfrac{1}{2}-j\cfrac{\sqrt{3}}{2})-E(-\cfrac{1}{2}+j\cfrac{\sqrt{3}}{2})$

$\dot{V_{bc}}=-j\sqrt{3}E [V]$

$\dot{V_{ca}}=\dot{E_c}-\dot{E_a}$

$=E(-\cfrac{1}{2}+j\cfrac{\sqrt{3}}{2})-E$

$\dot{V_{ca}}=E(-\cfrac{3}{2}+j\cfrac{\sqrt{3}}{2}) [V]$

$\dot{E_a}$ を基準として、$\dot{V_{ab}}、\dot{V_{bc}}、\dot{V_{ca}}$ の位相角 $θ_{ab}、θ_{bc}、θ_{ca}$ は

次のようになります。

$θ_{ab}=tan^{-1}\cfrac{\cfrac{\sqrt{3}}{2}}{\cfrac{3}{2}}=tan^{-1}\cfrac{1}{\sqrt{3}}=\cfrac{π}{6}$

$θ_{bc}=-\cfrac{π}{2}$

$θ_{ca}=tan^{-1}\cfrac{\cfrac{\sqrt{3}}{2}}{\cfrac{-3}{2}}=-\cfrac{7π}{6}$

Y結線の各相に流れる電流の瞬時値の和は0(ゼロ)になる

図の中性線点o-oに流れる電流 $\dot{I_a}+\dot{I_b}+\dot{I_c}$ の合成電流は

大きさが等しく、互いに $2π/3[rad]$ の位相差がある対称三相交流ですから、0(ゼロ)になります。

電流の瞬時値の和を、$i_0$ 、各相の電流を、$i_a、i_b、i_c$ とすると

次のように 0(ゼロ)なります。

$i_0=i_a+i_b+i_c$

$\quad=I_m\sin ωt+I_m\sin(ωt-\cfrac{2π}{3})$
$\qquad+I_m\sin(ωt-\cfrac{4π}{3})$

$i_0=I_m\{\sin ωt$

$\qquad+(\sin ωt \cos\cfrac{2π}{3}-\cos ωt \sin\cfrac{2π}{3}$

$\qquad+\sin ωt \cos\cfrac{4π}{3}-\cos ωt \sin\cfrac{4π}{3})\}$

ここで、

$\cos\cfrac{2π}{3}=-\cfrac{1}{2}$

$\sin\cfrac{2π}{3}=\cfrac{\sqrt3}{2}$

$\cos\cfrac{4π}{3}=-\cfrac{1}{2}$

$\sin\cfrac{4π}{3}=-\cfrac{\sqrt3}{2}$ 

なので、上の式は次のようになります。

$i_0=I_m\{\sin ωt$

$\qquad+(-\cfrac{1}{2}\sin ωt-\cfrac{\sqrt3}{2}\cos ωt$

$\qquad-\cfrac{1}{2}\sin ωt+\cfrac{\sqrt3}{2}\cos ωt)\}$

$i_0=I_m(\sin ωt-\sin ωt)=0$

以上で「三相交流のY-Y結線」の説明を終わります。

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