交流回路では電圧と電流の波の位置が、異なる場合があります。
電圧や電流の波(波形)の、位置のことを「位相」という
ここでは、交流回路の「位相と位相差」、「位相の進みや遅れ」について説明します。
位相とは
位相とは
平等磁界中を導体が、角速度 \(ω\) [rad/s] で反時計方向に回転しています。
このとき導体に発生する起電力は、次のように表すことができます。
\(\large e=E_m\sinωt\) [V]

次に導体が、X’ の位置にあるときの起電力は、次のように表すことができます。
\(\large e=E_m\sin(ωt+θ)\)

基準の位置 X から見ると、\(θ\) [rad] 位相が進んだところにあります。
このように 位相とは周期的な運動をするものが、その周期中にどの位置にいるかを示すこと をいいます。
単位は [rad] ラジアン を使います。
位相と位相角
\(e=E_m\sinωt\)や
\(e=E_m\sin(ωt+θ)\) の式において
\(ωt\) や \((ωt+θ)\) を 位相 または 位相角 といいます。
初期位相と初期位相角
\(e=E_m\sinωt\)や
\(e=E_m\sin(ωt+θ)\) の式において
\(t=0\) のときの位相 を 初期位相 または 初期位相角 といいます。
位相差とは
位相差とは、同一周波数の2つの交流の位相の差をいいます。
この場合、振幅の大きさは関係ありません。
次の図で説明します。

導体 A と導体 B が \(o\) を中心にして、\(θ\) [rad] の角度を持って配置されています。
導体 A の起電力は、\(e=E_m\sinωt\) [V]
導体 B の起電力は、\(e=E_m\sin(ωt+θ)\) [V] になります。
位相差の求め方
位相差=比較したい位相ー基準の位相
比較したい位相=\(E_m\sin(ωt+θ)\)
基準の位相=\(E_m\sinωt\)
位相差=\((ωt+θ)-ωt=θ\) [rad]
振幅の大きさ
次の図のように、振幅の大きさは位相差に関係ありません。

位相の進みと遅れ
位相の遅れと進み
位相の基準点 \(o\) からみて、右側に位相差 \(θ\) があれば 遅れ になります。
位相の基準点 \(o\) からみて、左側に位相差 \(θ\) があれば 進み になります。

図において、基準から見た場合、\(e_b\) は \(e_a\) より \(θ\) [rad] だけ、過去に \(o\)
に達しているので 進み と見ることができます。
\(e_b=E_m\sin(ωt+θ)\) のように
位相差が 正 のときは基準波形に対して 進み になります。
以上で「位相と位相差とは」の説明を終わります。