インピーダンスとは何か




「インピーダンスとは何か」ということを、一言でいえば「交流回路の電圧と電流の比」になります。ちなみに、直流回路の「電圧と電流の比」は、抵抗ということになります。

ここでは、交流回路におけるインピーダンスについて説明します。


インピーダンスとは電圧と電流の比

交流の電源にモーターやテレビなどの電気製品をつなぐと、当然ですが回路に電流が流れます。このときの回路の電圧と電流の比を インピーダンス といいます。

インピーダンスは、交流回路において電流の流れを妨げる働きするものと言えます。
つまり、電流の流れにくさを表しています。

●インピーダンスにはカタチがない

インピーダンスとは 電圧と電流の比 のことであり、抵抗やコイルのように形(カタチ)があるものではありません。

一般的に交流回路の負荷は \(\dot{Z}\) を使って負荷インピーダンスを表します。

\(\dot Z\)

記号の上に・(ドット)があるときは \(\dot Z\) はベクトルであることを表しています。ドットが無い \(Z\) のときは数値などのスカラー量(スカラー量は、大きさのみで方向を持ちません)を表します。

また、ベクトルを \(Z\) で表し、大きさを \(|Z|\) 絶対値で表す場合もあります。

●インピーダンスの記号と単位
インピーダンスの記号には \(Z\) を使い、単位には抵抗と同じようにオーム \([Ω]\) を使います。

●交流回路においても、オームの法則が成立します
オームの法則は交流回路でも使うことができます。次の式を見れば分かる通り、抵抗  \(R\) の部分がインピーダンス \(Z\) に変わっただけです。

\(\dot{Z}=\cfrac{\dot{V}}{\dot{I}}\quad[Ω]\cdots\)インピーダンス

\(\dot{V}=\dot{Z}\dot{I}\quad[\rm V]\cdots\)電圧

\(\dot{I}=\cfrac{\dot{V}}{\dot{Z}}\quad[\rm A] \cdots\)電流

具体的に回路を考えてみましょう

次の図のように、抵抗、コイル、コンデンサが直列になっている(RLC直列回路)負荷を、交流電源 \(\dot{E}\quad[\rm V]\) に、接続した回路の負荷端子電圧を \(\dot{V}\quad[\rm V]\) 、電流を \(\dot{I}\quad[\rm A]\) とします。

このときの、電圧 \(\dot{V}\) と電流 \(\dot{I}\) の比を、インピーダンスといいます。

このときの負荷のインピダンスを図にすると、次のようになります。
この回路では、誘導性リアクタンスが大きいので遅れ力率になります。

力率を改善するためのものとして、進相コンデンサ を使用することがあります。

容量性リアクタンスが大きい場合は、図のように下向きの三角形になります。リアクタンス \(X\) は負になりますので、進み力率になります。

力率を改善するためのものとして、分路リアクトル を使用することがあります。

インピーダンスの求め方

直列回路の場合

図のように、抵抗、コイル、コンデンサが「直列」に接続されている回路があります。

この回路のインピーダンスベクトルは、次のようになります。

インピーダンス \(Z\) を記号法で表すと
\(Z=R+j(X_L-X_C)\) [Ω] になります。
\(X=X_L-X_C\) の値がプラスなら、誘導性リアクタンスになり
\(X=X_L-X_C\) の値がマイナスなら、容量性リアクタンスになります。

インピーダンスベクトル図からわかるように、合成インピーダンスは三平方の定理で
\(Z=\sqrt{R^2+X^2}=\sqrt{R^2+(X_L-X_C)^2}\) [Ω] で求められます。

カッコ内の \((X_L-X_C)\) は、\(X_C\) が大きいと値がマイナスになリますが、2乗をするのでプラスになるので気にする必要はありません。

回路の電流は
\(I=\cfrac{E}{Z}\) [A]

各素子の端子電圧は、次のようになります。
\(V_R=RI\) [V]

\(V_L=X_LI\) [V]

\(V_C=X_CI\) [V]

並列回路の場合

図のように、抵抗、コイル、コンデンサが「並列」に接続されている回路があります。

この回路のインピーダンスを逆数で表すと、次のようになります。
\(\cfrac{1}{Z}=\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}\) [Ω]

回路に流れる電流 \(I\) [A] は

\(I=\cfrac{E}{Z}\)\(=E\left(\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}\right)\) [A]

各素子に流れる電流は、次のようになります。
\(I_R=\cfrac{E}{R}\) [A]

\(I_L=\cfrac{E}{jX_L}\)\(=-j\cfrac{E}{X_L}\) [A]

\(I_C=\cfrac{E}{-jX_C}\)\(=j\cfrac{E}{X_C}\) [A]

各電流をベクトル図にすると、次のようになります。

電流のベクトル図からわかるように、回路に流れる電流 \(I\) [A] は三平方の定理で
\(I=\sqrt{{I_R}^2+{I_X}^2}=\sqrt{{I_R}^2+(I_L-I_C)^2}\) [A] で求められます。

カッコ内の \((I_L-I_C)\) は、\(I_C\) が大きいと値がマイナスになリますが、2乗をするのでプラスになるので気にする必要はありません。

ややこしい虚数単位 j の付け方

交流回路のインピーダンスを複素数で表示するとき、虚数単位の \(j\) がでてきます。
この \(j\) の付け方について説明します。

虚数単位の \(j\) は、2乗すると \(-1\) になります。

虚数単位の(J)を付ける場所
虚数単位がややこしくなるのは
•どこに付けたらいいか?
•\(+j、-j\) どっちになるかわからない
ということではないでしょうか

虚数単位を付けるのは、\(「ω」\) の前と覚えましょう。
これを覚えれば、かなりの部分が解決すると思います。

表示の種類をまとめると次のようになります。
ただ、\(j\) を \(ω\) の前に付けると覚えておけば、あとは式を変形するだけで符号の変化もわかります。

表示の種類
誘導性リアクタンス  \(X_L=ωL\)  \(X_L=jωL\)  \(jX_L=jωL\)
容量性リアクタンス  \(X_C=\cfrac{1}{ωC}\)  \(X_C=\cfrac{1}{jωC}\)  \(-jX_C=\cfrac{1}{jωC}\)
 \(-jX_C=-j\cfrac{1}{ωC}\)

では、その説明です。

誘導性リアクタンス

誘導性リアクタンスは、\(ωL、X_L\) と表します。
虚数単位を \(「ω」\) の前につけると、\(jωL\) となります。

\(X_L=ωL\) 
\(X_L=jωL\) 
\(jX_L=jωL\)

表示の仕方は、個々の書籍などの説明により違う場合があります。
例えば
\(X_L=jωL\) 
\(jX_L=jωL\) のように \(j\) を \(X_L\) に付けたり、付けなかったりします。

  

容量性リアクタンス

容量性リアクタンスは、分数になっているので少し面倒です。\(\cfrac{1}{ωC}、X_C\) と表します。
虚数単位を \(「ω」\) の前につけると、\(\cfrac{1}{jωC}\) となります。

\(X_C=\cfrac{1}{ωC}\) 
\(X_C=\cfrac{1}{jωC}\) 
\(-jX_C=\cfrac{1}{jωC}\)

表示の仕方は、個々の書籍などの説明により違う場合があります。
例えば
\(X_C=\cfrac{1}{ωC}\) 
\(-jX_C=\cfrac{1}{jωC}\) のように \(j\) を \(X_C\) に付けたり、付けなかったりします。

容量性リアクタンスは、分数になるので \(j\) があるとややこしくなります。
例えば
\(\cfrac{1}{jωC}\) の分子と分母に \(j\) を掛けます。
\(\cfrac{1}{jωC}\)\(=\cfrac{j}{j}×\cfrac{1}{jωC}\)\(=-j\cfrac{1}{ωC}=-jX_C\)

インピーダンス回路のまとめ

RLC直列回路
 インピーダンス  記号法  \(Z=R+j(X_L-X_C)\) [Ω]
 大きさ  \(Z=\sqrt{R^2+X^2}\) [Ω]
 \(\sqrt{R^2+({X_L}^2-{X_C}^2)}\) [Ω]
 電流  大きさ  \(I=\cfrac{E}{Z}\) [A]
 \(I=\cfrac{E}{\sqrt{R^2+(ωL-\cfrac{1}{ωC})^2}}\)
 \(I=\sqrt{{I_R}^2+{I_X}^2}\)
 \(I=\sqrt{{I_R}^2+(I_L-I_C)^2}\)
 端子電圧  大きさ  \(V_R=RI\) [V]
 \(V_L=X_LI\) [V]
 \(V_C=X_CI\) [V]

RLC並列回路
 インピーダンス  記号法  \(\cfrac{1}{Z}=\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}\) [Ω]
 電流  記号法  \(I=E\left(\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}\right)\) [A]
 大きさ  \(I=\sqrt{{I_R}^2+(I_L-I_C)^2}\)
 各素子の電流  記号法  \(I_R=\cfrac{E}{R}\) [A]
 \(I_L=\cfrac{E}{jX_L}\) [A]
 \(I_C=\cfrac{E}{-jX_C}\) [A]
 大きさ  \(I_R=\cfrac{E}{R}\) [A]
 \(I_L=\cfrac{E}{X_L}\) [A]
 \(I_C=\cfrac{E}{X_C}\) [A]

練習問題

例題1

図のように、RLC直列回路があるとき回路に流れる電流 \(I\) [A] を求めよ。

<解答>
合成インピーダンスの式から
\(Z=\sqrt{R^2+(X_L-X_C)^2}\)

\(Z=\sqrt{16^2+(20-8)^2}\)\(=\sqrt{400}=20\) [Ω]

電流 \(I\) [A] は
\(I=\cfrac{E}{Z}=\cfrac{100}{20}=5\) [A] になります。

例題2

図の回路に流れる電流 \(\dot I\) [A] と大きさ \(I\) [A] を求めよ。

<解答>
合成インピーダンス \(\dot Z\) は
\(\dot Z=R+jX=8+j6\) [Ω]

電流 \(\dot I\) [A] は
\(\dot I=\cfrac{\dot E}{\dot Z}\)

\(\dot I=\cfrac{100}{8+j6}\)\(=\cfrac{100(8-j6)}{(8+j6)(8-j6)}\)

\(\dot I=8-j6\)

電流の大きさ \(I\) [A] は
\(I=\sqrt{{I_R}^2+{I_X}^2}\)\(=\sqrt{8^2+6^2}=10\) [A]

以上で「インピーダンスとは何か」の説明を終わります。




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