交流回路の リアクタンス とは、コイル(インダクタンス)や コンデンサ(キャパシタンス)における 電圧と電流の比 をいいます。
抵抗が直流回路における 電圧と電流の比 で表したのと似ています。
リアクタンスの単位は、抵抗と同じように \(\rm[Ω]\) オーム で表します。
リアクタンスは2種類あります。
コイルのインダクタンスによるリアクタンスを 「誘導性リアクタンス」 といい
コンデンサのキャパシタンスによるリアクタンスを 「容量性リアクタンス」 といいます。
誘導性リアクタンス
誘導性リアクタンス とは、コイルのインダクタンスが交流回路において 電流の流れを妨げる働き をするものです。
■関連記事■ 自己インダクタンスとは
図は、コイルの回路に交流電圧を加えた場合の回路図です。

\(L\) はコイルのインダクタンスで、単位は \(\rm[H]\) ヘンリーを使います。
誘導性リアクタンス は、\(X_L\) で表し、単位は抵抗と同じく \(\rm[Ω]\) オーム を使います。
式にすると次のようになります。
\(X_L=\cfrac{E}{I}\quad\rm[Ω]\)
また、電流の式にすると次のようになります。
\(I=\cfrac{E}{X_L}\quad\rm[A]\)
誘導性リアクタンス \(X_L\) は、電源の周波数を \(f\quad\rm[Hz]\) コイルのインダクタンスを \(L\quad\rm[H]\) とすると、次のようになります。
\(X_L=2πfL\quad\rm[Ω]\)
誘導性リアクタンスの大きさは周波数に 比例 します。
つまり、周波数が高くなると、誘導性リアクタンスは大きくなり、そのため回路の電流は小さくなります。
\(I=\cfrac{E}{X_L}=\cfrac{E}{2πfL}\quad\rm[A]\)
また、\(2πf=ω\) として
\(X_L=ωL\quad\rm[Ω]\)
虚数単位 \(j\) を使うと
\(jX_L=jωL\quad\rm[Ω]\) とすることもあります。
容量性リアクタンスとは
容量性リアクタンス とは、コンデンサの静電容量(キャパシタンス)が交流回路において 電流の流れを妨げる働き をするものです。
■関連記事■ コンデンサの静電容量(キャパシタンス)とは
図は、コンデンサの回路に交流電圧を加えた場合の回路図です。

\(C\) はコンデンサのキャパシタンスで、単位は \(\rm[F]\) ファラド を使います。
容量性リアクタンス は、\(X_C\) で表し、単位は抵抗と同じく \(\rm[Ω]\) オーム を使います。
式にすると次のようになります。
\(X_C=\cfrac{E}{I}\quad\rm[Ω]\)
また、電流の式にすると次のようになります。
\(I=\cfrac{E}{X_C}\quad\rm[A]\)
容量性リアクタンス \(X_C\) は、電源の周波数を \(f\quad\rm[Hz]\)、コンデンサのキャパシタンスを \(C\quad\rm[F]\) とすると、次のようになります。
\(X_C=\cfrac{1}{2πfC}\quad\rm[Ω]\)
容量性リアクタンスの大きさは周波数に 反比例 します。
つまり、周波数が高くなると、容量性リアクタンスは小さくなり、そのため回路の電流は大きくなります。
誘導性リアクタンスと 逆の働き といえます。
\(I=\cfrac{E}{X_C}=\cfrac{E}{\cfrac{1}{2πfC}}=2πfCE\quad\rm[A]\)
また、\(2πf=ω\) として
\(X_C=\cfrac{1}{ωC}\quad\rm[Ω]\)
虚数単位 \(j\) を使うと
\(-jX_C=-j\cfrac{1}{ωC}=\cfrac{1}{jωC}\quad\rm[Ω]\) とすることもあります。
虚数単位がややこしくなるのは
• どこに付けたらいいかわからない。
• \(+j、-j\) どっちになるかわからない。
ということではないでしょうか
虚数単位 \(j\) は、\(ω\)(オメガ)の前に \(+j\) を付けると覚えましょう。
これを覚えれば、かなりの部分が解決すると思います。
• \(+j\) は反時計方向に90°移動します。
• \(-j\) は時計方向に90°移動します。
合成リアクタンス
合成インピーダンス \(Z\) は、抵抗 \(R\) とリアクタンス \(X\) を合成したものです。
■関連記事■ インピーダンスとは何か
合成リアクタンス \(X\) は、合成インピーダンス \(Z\) から抵抗 \(R\) を取り除いたものになります。
誘導性リアクタンスを \(X_L\) 容量性リアクタンスを \(X_C\) とすると
合成リアクタンス \(X\) は
\(X=X_L-X_C\quad\rm[Ω]\) になります。
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練習問題
問題1
132.7[mH] のインダクタンスがあります。
周波数 60Hz、600Hz、6000Hz のときの正弦波の対する、リアクタンスを求めよ。
<解 答>
■ 周波数 60Hz のとき
インダクタンスのリアクタンス \(X_L\) は
\(X_L=ωL=2πfL\)\(=2π×60×132.7×10^{-3}\)\(=50\quad\rm[Ω]\)
■ 周波数 600Hz のとき
インダクタンスのリアクタンス \(X_L\) は
\(X_L=ωL=2πfL\)\(=2π×600×132.7×10^{-3}\)\(=500\quad\rm[Ω]\)
■ 周波数 6000Hz のとき
インダクタンスのリアクタンス \(X_L\) は
\(X_L=ωL=2πfL\)\(=2π×6000×132.7×10^{-3}\)\(=5000\quad\rm[Ω]\)
になります。
問題2
50Hzにおいて、318.3[mH] の インダクタンスと同じ大きさのリアクタンスを持つ、静電容量を求めよ。
<解 答>
インダクタンスのリアクタンス \(X_L\) を求めると
\(X_L=ωL=2πfL\)\(=2π×50×318.3×10^{-3}\)\(=31.8π\quad\rm[Ω]\)
静電容量のリアクタンス \(X_C\) を求めると
\(X_C=\cfrac{1}{ωC}=X_L\) なので
\(\cfrac{1}{ωC}=\cfrac{1}{2π×50×C}=31.8π\)
\(C=\cfrac{1}{2π×50×31.8π}=31.8×10^{-6}\quad\rm[F]\)から
\(C=31.8\quad\rm[μF]\)
の静電容量となります。
以上で「交流回路のリアクタンスとは」の説明を終わります。