交流電力と力率




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交流電力と力率

交流の電力は、次の式で表されます。

\(P=EI\cosθ\)

\(EI\) を皮相電力といい、\(P\) は有効電力といいます。

電力は \(EI\) が一定でも位相差である「力率」\(θ\) が変化すると電力も変わって来ます。

\(\cosθ\) のことを「力率(power factor)」といいます。

\(EI\)(皮相電力)が有効電力 \(P\) になる割合を表しています。

力率=\(\cfrac{有効電力}{皮相電力}=\cfrac{P}{EI}\) で表されます。

\(\cos0°=1, \cos90°=0\) のように 1~0 の値なので、普通は 100倍してパーセントで表わします。

力率\(=\cfrac{P}{EI}×100\) [%]

力率と回路定数の関係

図のRL直列回路で力率を見てみると、次のようになります。

力率\(=\cosθ=\cfrac{V_R}{E}\)=\(\cfrac{RI}{ZI}\)=\(\cfrac{R}{Z}\)=\(\cfrac{R}{\sqrt{R^2+(ωL)^2}}\)

力率の影響

力率が悪いと何が困るのでしょうか。

  • 力率が悪いということは、使用電力(W)に比べて電圧と電流の積(VA)が大きくなります。
  • 電圧が一定であれば、使用電力が同じでも力率が悪いと大きい電流が流れます。
  • 電力線(導体)は抵抗がゼロではなく、ある程度の抵抗があるので電流が流れるとエネルギーの一部が失われます。
  • 失われるエネルギーは電流の2乗に比例します。
  • 電流に比例して電圧降下が起こります。

有効電力・無効電力・皮相電力とは何か

有効電力 P・無効電力 Q・皮相電力 S と位相の関係は、次の図のようになります。

有効電力 単位:ワット
\(P=EI\cosθ\) [W]

力率\(=\cfrac{P}{EI}×100\) [%]

無効電力 単位:バール
\(Q=EI\sinθ\) [var]

\(Q=EI\sqrt{1-\cos^2θ}\) [var]

皮相電力 単位:ボルトアンペア
\(S=EI\) [VA]

有効電力・無効電力・皮相電力の間には、次のような関係があります。

皮相電力2=有効電力2 + 無効電力2

皮相電力\(=\sqrt{(有効電力)^2+(無効電力)^2}\)=\(\sqrt{(EI\cosθ)^2+(EI\sinθ)^2}\)

\((\cos^2θ+\sin^2θ)=1\) なので、次のようになります。

皮相電力\(=\sqrt{(EI)^2(\cos^2θ+\sin^2θ)}\)=\(\sqrt{(EI)^2}=EI\) [VA]

有効電力とは

電力は \(P=EI\cosθ\) で表されますが、これは実際に負荷で消費される電力のことで有効電力といいます。

単に電力と言ったら、この有効電力のことをいいます。

無効電力とは

電圧と 90° の位相差のある電流 \(I\sinθ\) と電圧 \(E\) の積は、無効電力といいます。

この無効電力は実際に負荷で電気エネルギーとして消費されない電力のことです。

皮相電力とは

単に交流の電圧 \(E\) と電流 \(I\) の積を皮相電力と言います。

RL回路の電力

直流回路の電力は、電圧と電流の積 \(EI\) で表すことができます。

しかし、交流回路の場合は、電圧と電流が時間によって変わりますので、瞬時の電力 \(p\) は電圧と電流の積 \(ei\) で表すことが出来ます。

この関係を示したものが下図の(b)で、この瞬時電力を1周期について平均したものが電力 \(p\) となります。

単位は [W] ワットを用います。

電力を求める

図(b)において

\(e=\sqrt2E\sinωt\) [V]

\(i=\sqrt2I\sin(ωt-θ)\) [A]

\(p=ei=\sqrt2E\sinωt×\sqrt2I\sin(ωt-θ)\)=\(2EI\sinωt×\sin(ωt-θ)\)

加法定理
\(\sinα\sinβ\)=\(\cfrac{1}{2}(\cos(α-β)-\cos(α+β))\)

上の式を加法定理で展開すると

\(p=2EI×\cfrac{1}{2}(\cos(ωt-ωt+θ)\)-\(\cos(ωt+ωt-θ))\)

\(p=EI\cosθ-EI\cos(2ωt-θ)\)

\(p\) の平均が電力 \(P\) になるので

\(P=pの平均=EI\cosθの平均\)-\(EI\cos(2ωt-θ)の平均\)

ここで、
\(EI\cosθの平均=EI\cosθ\) となり

\(EI\cos(2ωt-θ)の平均=0\) なので

\(\therefore P=EI\cosθ\) [W]

参 考

LやCだけの場合の電力

誘導性リアクタンスや容量性リアクタンスだけの回路の電力を波形で示すと 下図のようになります。

電圧 \(e\) と電流 \(i\) の位相差が \(π/2\) のときは、

\(ei\) の積 \(p\) は1/4周期ごとに

正の電力 ①、② と負の電力 ③、④ がくり返されますので、電力 \(P\) はゼロになります。

つまり、L(インダクタンス)やC(コンデンサ)は、電力を消費していないことになります。

ところで、正の電力とは発電所から送られる電力です。

では、負の電力とは何でしょう。

これは発電所の方に送り返す電力を示しています。

図の(a)、(b)で言うと ①、② で消費した電力を ③、④ で電源側に送り返していることになります。

計算例

例 題

図のような、抵抗とコイルの直列回路において、力率と電力を求めよ。


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解 答
\(Z=8+j6\)

\(Z=|Z|=\sqrt{8^2+6^2}=\sqrt{64+36}=\sqrt{100}=10\) Ω

\(I=\cfrac{E}{Z}=\cfrac{100}{10}=10\) A

力率 \(\cosθ=\cfrac{R}{Z}=\cfrac{8}{10}\)=0.8→80 [%]

電力 \(P=EI\cosθ=100×10×0.8\)=800 [W]

以上で「交流電力と力率」の説明を終わります。




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