交流電力の種類と力率の関係

この記事で書いていること

  • この記事では 直流電力と交流電力 の違い。
  • 交流電力には 皮相電力、有効電力、無効電力 があること。
  • 皮相電力、有効電力、無効電力の関係
  • 電力が 有効に使われる割合を示す力率 について説明します。
目次

直流電力と交流電力の違い

直流電力の特徴

直流回路の電力は、単純に 電圧と電流の積 になります。

負荷の電圧と回路に流れる電流だけで、その他の要素はありません。

そして、電源の電圧は一定で、回路を流れる電流も負荷に応じて一定です。

交流電力の特徴

交流電力は直流電力と違って、電力に関係する複数の要素 があります。

  1. 電圧、電流には 実効値 を使います。
  2. 電圧と電流の間には 位相差 があリます。
  3. 交流電力には 皮相電力、有効電力、無効電力 の3つがあります。
  4. 電力が有効に使われる割合を示す 力率 があります。
交流電力の公式
  • 交流電力 \(P\) は、電圧と電流の実効値を \(V、I\)、その間の位相差を \(θ\) とすると次の式で表されます。
  • \(P=VI\cosθ\) [W] 

交流電力(有効電力・無効電力・皮相電力)の関係

交流電力には 有効電力 \(P\) 、無効電力 \(Q\) 、皮相電力 \(S\) がありますので、それぞれについて説明します。

有効電力 皮相電力 \(S\)・有効電力 \(P\)・無効電力 \(Q\) と 

位相 \(θ\) の関係は、次の図のようになります。

皮相電力・有効電力・無効電力の関係式
  • \(皮相電力^2=有効電力^2+無効電力^2\) 
  • 皮相電力\(=\sqrt{(有効電力)^2+(無効電力)^2}\)
  • 皮相電力\(=\sqrt{(VI\cosθ)^2+(VI\sinθ)^2}\)
  • \((\cos^2θ+\sin^2θ)=1\) なので
  • \((\cos^2θ+\sin^2θ)=1\) なので
    次のようになります。
  • 皮相電力\(=\sqrt{(VI)^2(\cos^2θ+\sin^2θ)}\)
  • 皮相電力\(=\sqrt{(VI)^2}=VI\) [VA]  

皮相電力とは電源から送られた全体の電力のこと

皮相電力 は 単に交流の電圧 \(V\) と電流 \(I\) の積をいいます。

電源から送られる全体の電力です。

皮相電力は \(S\) で表し単位に \([\rm VA]\) ボルトアンペア を使います。

\(S=VI\) [VA] 

有効電力とは負荷で実際に消費される電力のこと

有効電力 は実際に負荷で消費される電力(消費電力)のことです。

単に電力と言ったら、この 有効電力 のことをいいます。

有効電力は \(P\) で表し単位に \([W]\) ワット を使います。

\(P=VI\cosθ\) [W] 

無効電力とは負荷で消費されない電力のこと

無効電力 は実際に負荷で 電気エネルギーとして消費されない電力 のことです。

無効電力は \(Q\) で表し単位に [var] バール を使います。

無効電力の公式
  • 電圧と 90°の位相差のある電流 \(I\sinθ\) と 電圧 \(V\) の積を無効電力といいます。
  • \(Q=VI\sinθ\) [var]
  • \(Q=VI\sqrt{1-\cos^2θ}\) [var] 

負荷に接続されている電動機(モーター)などの、誘導性リアクタンスや静電容量による容量性リアクタンスにより発生します。

■関連記事■ 電力の三角形 皮相電力・有効電力・無効電力を覚えよう!

力率の意味と力率の求め方

力率の意味

力率とは電源から送られた電力が負荷で消費される割合をいう。

力率は皮相電力 \(VI\) が 有効電力 \(P\) になる割合を表しています。

力率=\(\cfrac{有効電力}{皮相電力}=\cfrac{P}{VI}\) で表されます。

\(\cosθ\) のことを 力率(power factor) といいます。

力率=\(\cfrac{有効電力}{皮相電力}=\cfrac{P}{VI}\) で表されます。

\(\cos0°=1, \cos90°=0\) のように 1~0 の値なので、普通は 100倍してパーセントで表わします。

力率(%)=\(=\cfrac{P}{VI}×100\) [%] 

力率の求め方の例題

図のような交流回路があります。

交流電源に \(20\) [W] の負荷を接続した時の

実際の電力を電力計で測定したところ \(25\) [W] の消費電力でした。

電力の関係を図で示すと、次のようになります。

有効電力 \(P\) [W] \(\cdots\)負荷で実際に消費される電力です。

無効電力 \(Q\) [var] \(\cdots\)電力を消費しない分の電力です。

皮相電力 \(S\) [VA] \(\cdots\)電源から送られる電力です。

図を見ると分かるように電源から、送られた電力がすべて負荷で消費されるわけではありません。

この例では、無効電力は \(25-20=5\) となりそうです。

しかし、交流電力ではその様に単純ではありません。

有効電力 \(P\)・無効電力 \(Q\)・皮相電力 \(S\) には、次のような関係があります。

\(S^2=P^2+Q^2\) という関係があるので

\(25^2=20^2+Q^2\) から

\(Q=\sqrt{25^2-20^2}=15\) になります。

したがって、上の回路の力率は

力率=\(\cfrac{有効電力}{皮相電力}\)\(=\cfrac{20}{25}=0.8\) で表されます。

力率の公式

力率は、皮相電力 \(S\) が有効電力 \(P\) になる割合を表しています。

有効電力

\(P=S\cosθ=VI\cosθ\) [W] ですから

\(\cosθ=\cfrac{P}{S}\) です。

\(\cosθ\) のことを 力率(power factor) といいます。

力率の公式

力率=\(\cfrac{有効電力}{皮相電力}\)\(=\cfrac{P}{S}\)\(=\cfrac{P}{\sqrt{P^2+Q^2}}\) で表されます。

\(\cos0°=1, \cos90°=0\) のように 1~0 の値なので、普通は 100倍してパーセントで表わします。

■関連記事■ 力率の遅れと進み

練習問題

問題1


図のような、抵抗とコイルの直列回路において、力率と電力を求めよ。

<解答例>

考え方としては、回路のインピーダンスを求め流れる電流を計算します。

インピーダンスと電流が求められれば、力率と電力は計算することができます。

\(Z=8+j6\)\(Z=|Z|=\sqrt{8^2+6^2}=\sqrt{64+36}\)

\(Z=\sqrt{100}=10\) [Ω] 

\(I=\cfrac{E}{Z}=\cfrac{100}{10}=10\) [A] 

力率

\(\cosθ=\cfrac{R}{Z}\)

\(\cosθ=\cfrac{8}{10}=0.8→80\) [%]

電力

\(P=EI\cosθ=100×10×0.8\)

\(P=800\) [W] 

問題2

皮相電力が \(3\)KVA の交流電動機があります。

力率が \(0.8\) で運転している場合 

有効電力 \(P\) \(\sinθ\) 無効電力 \(Q\) を求めよ。

<解答例>

皮相電力\(S=VI\)

有効電力\(P=VI\cosθ\)

\(\sinθ=\sqrt{1-\cos^2θ}\)

無効電力 \(Q=VI\sinθ\) の式から、次のように求められます。

有効電力

\(P=VI\cosθ=3000×0.8=2400\)

\(P=2.4\) [Kw] 

無効電力

\(\sinθ=\sqrt{1-\cos^2θ}=\sqrt{1-0.8^2}=0.6\)

\(Q=VI\sinθ=3000×0.6=1800\)

\(Q=1.8\) [Kvar] 

問題3

100V の交流電源に、消費電力 120W、力率 60% の負荷が接続されています。

回路に流れる電流を求めよ。

<解答例>

考え方は消費電力は有効電力と等しいので

有効電力 \(P=VI\cosθ\) から電流 \(I\) を求めます。

有効電力 \(P=VI\cosθ\) より 

\(120=100×I×0.6\)\(I=\cfrac{120}{100×0.6}=2\) [A]  

問題4

図の交流回路において、\(R_2\) の消費電力を求めよ。

<解答例>

考え方は、\(R_1、I_1\) がわかっているので、電源電圧 \(E\) が求められます。

\(R_2、X_L\) の合成インピーダンスを求めて、\(R_2\) に流れる電流を求めれば消費電力は計算できます。

\(E=R_1I_1=10×10=100\) [V]  

\(R_2、X_L\) の合成インピーダンス \(Z_2\) は

\(Z_2=\sqrt{16^2+12^2}=20\) [Ω]  

\(R_2\) に流れる電流 \(I_2\) は

\(I_2=\cfrac{E}{Z_2}=\cfrac{100}{20}=5\) [A]  

\(R_2\) で消費する電力 \(P_2\) は

\(P_2=I_2^2R_2=5^2×16=400\) [W] になります。

問題5

図のような交流回路で、コンデンサ \(6\) [Ω] の端子電圧は \(12\) [V] でした。

この回路の電源電圧と回路の消費電力を求めよ。

<解答例>

負荷に流れる電流を図のように、\(I_1、I_2\) とします。

コンデンサ \(6\) [Ω] の端子電圧から電流 \(I_1\) は

\(I_1=\cfrac{12}{6}=2\) [A]  

抵抗 \(8\) [Ω] とコンデンサ \(6\) [Ω] の合成インピーダンス \(Z_1\) は

\(Z_1=\sqrt{8^2+6^2}=10\) [Ω] 

電源電圧 \(E\) は

\(E=Z_1I_1=10×2=20\) [V] 

抵抗 \(4\) [Ω] とコンデンサ \(3\) [Ω] の合成インピーダンス \(Z_2\) は

\(Z_2=\sqrt{4^2+3^2}=5\) [Ω]  

抵抗 \(4\) [Ω] とコンデンサ \(3\) [Ω] に流れる電流 \(I_2\) は

\(I_2=\cfrac{20}{5}=4\) [A]  

この回路で消費される電力 \(P\) は各抵抗で消費される電力です。

\(P=8×I_1^2+4×I_2^2\)

\(P=8×2^2+4×4^2=96\) [W]  

まとめ

交流の電力には 皮相電力、有効電力、無効電力 の3つがあります。

有効電力が通常いわれる電力のことで、負荷で 消費される電力 のことです。

無効電力は電源から送られた電力のうち、負荷で 消費されない電力 をいいます。

電源から送られた皮相電力が負荷で、有効電力になる割合のことを 力率 といいます。

以上で「交流電力の種類と力率の関係」を終わります。

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