- 三相交流とは何か
- 三相交流の発生
- 三相交流の特徴
- 三相交流のメリット
について説明しています。
三相交流とは?
三相交流は、3つの単相交流を組み合わせたもので、互いの位相に120度ずつの位相差があります。
次の図を参照してください。
対称三相交流 とは、三相の起電力の大きさと周波数が等しく
三相それぞれの位相差が、\(\left(\cfrac{2π}{3}\right)\) [rad] ラジアン
の関係にある交流のことをいいます。
単相交流とは
次のような交流を単相交流といいます。
単相交流はコイルの中で磁石を回転させることで、電磁誘導 により起電力を発生することができます。
三相交流の発生
三相交流は3つのコイルを互いに 1/3(120度) ずつずらして配置します。
3つのコイルには、互いに120度ずつ位相がずれた交流が発生します。
3つのコイルを 120度 ずらすことにより
電圧の大きさと周波数が同じで互いに位相が
120度 ずれた起電力を発生させることができます。
これが三相交流です。
三相交流の特徴
三相交流の特徴は図の \(x、y\) のように、どの時間をとっても互いに打ち消し合って
瞬時値の和がゼロ になることです。
三相交流は3つの単相交流を組み合わせたものなので、6本の電線が必要になります。
中央の電線は、瞬時値がゼロなので電流が流れません。
したがって、1本にまとめることができます。
中央の電線には、電流が流れないので最終的に不要になります。
このことが、三系統の単相交流を3本の電線で送ることができる理由になります。
三相交流の原理を数式で確認
瞬時値の和がゼロになることを計算してみましょう。
平衡三相交流を 複素数 で表示します。
三相交流回路の各相に流れる電流は、式で表すと次のようになリます。
\(I_a=I\) [A]
\(I_b=I\left(-\cfrac{1}{2}-j\cfrac{\sqrt3}{2}\right)\) [A]
\(I_c=I\left(-\cfrac{1}{2}+j\cfrac{\sqrt3}{2}\right)\) [A]
三相交流回路の各相の電流を加算すると「ゼロ」になります。
\(I_a+I_b+I_c\)
\(=I+I\left(-\cfrac{1}{2}-j\cfrac{\sqrt3}{2}\right)+I\left(-\cfrac{1}{2}+j\cfrac{\sqrt3}{2}\right)\)
\(=I-I-j\cfrac{\sqrt3}{2}+j\cfrac{\sqrt3}{2}\)
\(I_a+I_b+I_c=0\)
この結果から分かる通り
三相交流では共通帰線に電流が流れませんので、三相3線式にすることができることになります。
三相交流のメリット
- 交流送電なので、高い電圧で送電することができるので、送電ロスが少なくて済むこと。
- 三つの相の位相差が 120度 ずつあるので、回転磁界が簡単にできること。
- 交流送電なので変圧器で昇圧したり、降圧するのが簡単にできること。
- 同じ電力を送る場合に、経済的であること。
三相電力の公式と√3が付く理由
三相交流回路の基本計算
三相交流の相順(正相と逆相)とモーターの回転方向(正回転と逆回転)の解説
三相交流発電機の原理と仕組み