電磁誘導とファラデーの法則

電磁誘導(電磁誘導作用)とは コイルなどの磁束が変化するときに誘導起電力が発生する現象をいいます。

ファラデーの法則による誘導起電力の公式を ファラデーの電磁誘導の法則 といいます。

磁石の移動による電磁誘導

コイルなどに磁石を近づけたり、遠ざけたりするとコイルを切る磁束が変化することで誘導起電力(誘導電流)が発生します。
誘導起電力の向きを示す法則が レンツの法則 です。

コイルなどの導体が磁束の変化を受けるときに、コイルなどに誘導起電力が発生することを 電磁誘導 あるいは 電磁誘導作用 といいます。

電磁誘導によって発生した起電力を 誘導起電力 、流れる電流を 誘導電流 といいます。

■ 磁石による電磁誘導の特徴

  1. コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりする、その一瞬だけ起電力が発生します。
  2. コイルを貫く磁束が変化する時だけ、コイルに起電力が発生するのです。
  3. この現象を電磁誘導作用といいます。
  4. 磁石の出し入れを、早くすると起電力は大きくなります。
  5. 磁石のS極をコイルに近づけると、N極を近づけたときと反対の方向の起電力が発生します。
  6. コイルからS極を遠ざけるときは、N極を遠ざけた時と反対の方向の起電力が発生します。
    これは磁界の向きがN極から出て、S極に入るからです。
  7. 磁石のN極を近づけたときと、S極を近づけたときでは起電力の方向は反対になります。

■ コイルに磁石を近づけるとき

1.磁石のN極をコイルに近づけて行くと、コイルから見ると磁石によってできる磁界は強くなっていきます。
2.コイルにはレンツの法則により、磁石の磁界を打ち消す方向に磁界ができます。
右向きの緑の点線の方向です。
3.右向きの緑の点線の磁界ができるためには、コイルには 右ねじの法則 により図のような方向に誘導電流が流れることになります。

■ コイルから磁石を遠ざけるとき

1.磁石のN極をコイルから遠ざけて行くと、コイルから見ると磁石によってできる磁界は弱くなっていきます。
2.コイルにはレンツの法則により、磁石の磁界を強くする方向に磁界ができます。
左向きの緑の点線の方向です。
3.左向きの緑の点線の磁界ができるためには、コイルには 右ねじの法則 により図のような方向に誘導電流が流れることになります。

電磁誘導(電磁誘導作用)\(\cdots\)磁気の変化によって起電力が誘導されること。
誘導起電力\(\cdots\)電磁誘導によって発生する起電力のこと。
誘導電流\(\cdots\)誘導起電力によって流れる電流のこと。

導体の移動による電磁誘導

図のように、磁界の中の導体棒を前後に動かすと上記のコイルのときと同じように電磁誘導が発生します。

導体棒を \(F_1\) の方向に動かすと \(I_1\) の向きの電流が流れます。
導体棒を \(F_2\) の方向に動かすと \(I_2\) の向きの電流が流れます。

このときに発生する起電力の方向は フレミングの右手の法則 でわかります。

ファラデーの法則

ファラデーの法則は 誘導起電力の大きさ を示す法則です。

★ 図のような磁界の中に導体棒があります。

★ 次に導体棒が移動して \(Δt\) [s] 間に \(Δ\Phi\) [Wb] の磁束を切ったとすると
誘導起電力 \(e\) は磁束の時間に対して変化する割合なので

\(e=\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\) [V] になります。

\(e=-\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\) 
式にマイナスが付いているのは、負の値ということではありません。
本来の磁束と 反対の磁束を発生させる誘導起電力である という意味になります。

■ コイルの場合
図のような、コイルの場合も同じに考えることができます。
一巻きのコイルを貫く磁束が \(\Phi\) でした。

★ Δt秒後の磁束が \(\Phi+Δ\Phi\) に増加したときの誘導起電力は
ファラデーの電磁誘導の法則により次の式になります。

\(e=-\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\) [V]

★ コイルの巻数が \(N\) ならば、次のようになります。

\(e=-N\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\) [V]

■ 平等磁界中の誘導起電力
磁束密度 \(B\) [T] の平等磁界中の導体 \(l\) [m] を速度 \(v\) [m/s] で移動したときに発生する 誘導起電力 \(e\) は
\(e=Blv\) [V] になります。

ファラデーの法則と自己インダクタンスの関係

自己インダクタンス \(L\) [H] の \(N\) 巻のコイルに、電流 \(I\) [A] が流れています。

\(Δt\) 秒後に電流が \(ΔI\) [A] 増加し、磁束が \(Δ\Phi\) [Wb] 増加しました。

磁束鎖交数の増加量は

\(NΔ\Phi\) [Wb]\(\cdots(1)\)

自己インダクタンスは、\(L=\cfrac{N\Phi}{I}\) ですから

\(LI=N\Phi\cdots(2)\)

コイルに誘導される起電力は、

\(e=-N\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\cdots(3)\)

式(3)に式(2)を代入すると、次のようになります。

\(e=-N\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\)\(=-\cfrac{NΔ\Phi}{Δt}\)\(=-\cfrac{LΔI}{Δt}\)\(=-L\cfrac{ΔI}{Δt}\) [V]

\(e=-N\cfrac{Δ\Phi}{Δt}\) [V] 

\(e=-L\cfrac{ΔI}{Δt}\) [V] 

式にマイナスが付いているのは、負の値ということではありません。
本来の磁束と 反対の磁束を発生させる誘導起電力である という意味になります。

練習問題

■ 問題1
20回巻きのコイルに磁石を近づけたところ、1秒間に 0.3 [Wb] の鎖交磁束が変化しました。
このときの誘導起電力 \(e\) [V] を求めよ。

<解答例>
誘導起電力の公式に当てはめると
\(e=-N\cfrac{Δ\Phi}{t}\)

\(e=-20×\cfrac{0.3}{1}=-6\) 

誘導起電力
\(e=-6\) [V] になります。

以上で「電磁誘導とファラデーの法則」の説明を終わります。