自己誘導と自己インダクタンス

自己誘導ってなに!

コイルに流れる電流の大きさが変化すると、磁束の大きさも変化します。

実はこのときに、コイルの中で不思議なことが起こっています。

図のようなコイルに電流を \(1\) [A] 流したときに \(1 \Phi\) の磁束が発生したとします。

次に電流を \(2\) [A] に増加させるたとき、磁束が \(2 \Phi\) になったとします。

このとき、増加した磁束を減少させようとする磁束 \(Φ^{\prime}\) が発生します。

この磁束 \(Φ^{\prime}\) を発生する起電力は、元の起電力に対して逆向きなので 逆起電力 といいます。

磁束が変化することで、電磁誘導作用によりコイル自身に起電力が発生します。

この現象を 自己誘導 といいます。

また、電流の変化によって、コイル自身に生じる起電力の大きさを表す量のことを 「自己インダクタンス」 といいます。

自己インダクタンスに比例する起電力が発生する

コイルに流れる電流が変化すると、電磁誘導作用により起電力が発生するが、その起電力の方向はレンツの法則によるものです。

\(Φ\) はコイルに流れる電流による磁束

\(Φ^{\prime}\) は逆起電力による磁束

  • コイルに流れる電流が増加している時は、もとの磁束が増えているので、もとの磁束を減らす方向の起電力が発生する。
  • 逆に、電流が減少している時は、もとの磁束が減っているので、もとの磁束を増やす方向の起電力が発生する。
  • コイルに流れる電流の増減により、発生する起電力の向きは反対になる。

■ 磁束鎖交数

N巻のコイルに \(i\quad\rm[A]\) の電流を流したとき、磁束が \(\phi\quad\rm[Wb]\) (ウエーバー)生じたときの磁束数は \(N\phi\) となり、電流 \(i\) に比例します。

\(L\) は比例定数で、磁束鎖交数を \(\psi\) プシー又はプサイ) で表わすと次のようになります。

\(\psi=N\phi=Li\quad\rm[Wb]\)

磁束鎖交数の記号について

磁束鎖交数を \(\Phi\)(ファイ)、\(\psi\)(プシー、プサイ) などで表現している文献があります。

このサイトでは、磁束鎖交数を \(\psi\)(プシー、プサイ)、磁束を \(\Phi\) や \(\phi\) で表示します。

 

■ 自己インダクタンス

\(L=\cfrac{N\phi}{i}\quad[H]\)

\(L\) を 「自己インダクタンス」 または、単に 「インダクタンス」 といいます。

自己インダクタンスの記号は \(L\) で表わし、単位は \(\rm[Wb/A]\) ですが 新しい単位 \([\rm H]\) (ヘンリー) を使います。

誘導起電力の大きさは電流の変化率に比例する

自己インダクタンス \(L\quad\rm[H]\) の  \(N\) 巻のコイルに流れる電流 \(i\quad\rm[A]\) が、\(Δt\) 秒間に \(Δi\) の電流が増加し、磁束が \(Δ\phi\) 増加したとき、磁束の変化量は \(NΔ\phi\) [です。

これは上の式と同じなので、次の式になります。

\(NΔ\phi=LΔi \cdots(1)\)

コイル(自己インダクタンス)に誘導される起電力は、ファラデーの法則により

\(e=N\cfrac{Δ\phi}{Δt}\)\(\cdots(2)\)

式(1)を代入すると

\(e=N\cfrac{Δ\phi}{Δt}=L\cfrac{Δi}{Δt}\)\(\cdots(3)\)

レンツの法則を考えると、誘導される起電力は ー(マイナス) で表されます。

この、ー(マイナス)は磁束の変化をさまたげる方向を意味します。

\(e=-L\cfrac{Δi}{Δt}\quad\rm[V]\) または
\(e=-L\cfrac{di}{dt}\quad\rm[V]\) 
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ファラデーの法則と誘導起電力の関係

式(3)から、ファラデーの法則と誘導起電力の関係は次のようになります。

起電力にー(マイナス)が付く場合は、起電力の方向を示します。

\(e=N\cfrac{Δ\phi}{Δt}=L\cfrac{Δi}{Δt}\) または
\(e=N\cfrac{d\phi}{dt}\)=\(L\cfrac{di}{dt}\quad\rm[V]\)
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以上で「自己誘導と自己インダクタンス」の説明を終わります。