RLC並列回路の説明




RLC並列回路とは、抵抗 \(R\) [Ω] 、自己インダクタンス \(L\) [H] のコイル、と静電容量 \(C\) [F] のコンデンサを並列に接続した回路のことです。

RLC並列回路の説明

●RLC並列回路の各枝路の電流と電圧の関係
図のような、RLC並列回路に交流電源 \(\dot{E}\) を接続したとき、RLC並列回路に流れる電流を \(\dot{I}\) とします。

抵抗を流れる電流 \(\dot{I_R}=\cfrac{\dot{E}}{R}\) [A] は、電圧 \(\dot{E}\) と同相になります。

コイルを流れる電流 \(\dot{I_L}=\cfrac{\dot{E}}{X_L}\) [A] は、電圧 \(\dot{E}\) より \(\cfrac{π}{2}\) [rad] 位相が遅れます。

コンデンサを流れる電流 \(\dot{I_C}=\cfrac{\dot{E}}{X_C}\) [A] は、電圧 \(\dot{E}\) より \(\cfrac{π}{2}\) [rad] 位相が進みます。

コイルとコンデンサの位相の覚え方

2018.04.23

RLC並列回路の全電流 \(\dot{I}\) は、各枝路を流れる電流の和になります。

\(\dot{I}=\dot{I_R}+\dot{I_L}+\dot{I_C}\)=\(\cfrac{\dot{E}}{R}+\cfrac{\dot{E}}{X_L}+\cfrac{\dot{E}}{X_C}\)=\(\left(\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{X_L}+\cfrac{1}{X_C}\right)\dot{E}\)

\(\dot{I}=\left(\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{ωL}+ωC\right)\dot{E}\) [A] になります。

●RLC並列回路の各枝路電流のベクトル図
抵抗 \(R\) 、コイル \(L\) 、コンデンサ \(C\) の並列接続では、回路に掛かる電圧 \(\dot{E}\) が同じ大きさなので、電圧 \(\dot{E}\) を「基準」にして、それぞれの電流をベクトル図にすると、次のようになります。

RLC並列回路の場合、誘導性リアクタンス \(X_L\) と容量性リアクタンス \(X_C\) の大きさにより、次の三つの組み合わせができます。

  1. \(X_L>X_C\)\(\cdots\)誘導性リアクタンス>容量性リアクタンス
  2. \(X_L<X_C\)\(\cdots\)誘導性リアクタンス<容量性リアクタンス
  3. \(X_L=X_C\)\(\cdots\)誘導性リアクタンス=容量性リアクタンス

③の場合を、「共振状態」といいます。

\(X_L>X_C\)の場合のRLC並列回路

\(X_L>X_C\)の場合の、RLC並列回路について説明します。

抵抗 \(R\) に流れる電流 \(\dot{I_R}\) は、電圧 \(\dot{E}\) と同相になります。

コイルに流れる電流 \(\dot{I_L}\) は、電圧 \(\dot{E}\) より位相が \(\cfrac{π}{2}\) 遅れます。

コンデンサに流れる電流 \(\dot{I_C}\) は、電圧 \(\dot{E}\) より位相が \(\cfrac{π}{2}\) 進みます。

\(X_L>X_C\)の場合、電流 \(\dot{I_L}\) は、電流 \(\dot{I_C}\) より、絶対値は小さくなります。

電圧を基準として各電流をまとめると、次のようなベクトル図になります。

図において、\(X_L>X_C\)の場合、(\(I_C>I_L\))ですから、\(I_C\) の大きさから \(I_L\) の大きさを引くと、\(\dot{I_X}\) のベクトルが求められます。

合成したベクトル表示の \(\dot{I_X}\) は、\(\dot{I_X}=\dot{I_C}+\dot{I_L}\) になります。

\(I_X\) の大きさは、\(I_X=I_C-I_L\) で求められます。

●RLC並列回路に流れる電流 \(\dot{I}\)のベクトル図
電流 \(\dot{I}\) のベクトル合成は、次のようになります。

\(\dot{I}=\dot{I_R}+\dot{I_L}+\dot{I_C}\)

電流 \(\dot{I}\) の大きさは、次のようになります。

\(I=\sqrt{{I_R}^2+(I_C-I_L)^2}\)

\(X_L\) と \(X_C\) の合成リアクタンス \(X\) は、\(X=X_L+X_C\) [Ω] です。

この2つのリアクタンスは、向きが反対になります。

\(X_L>X_C\) ですから、合成リアクタンスの大きさは、
\(X=X_L-X_C\) [Ω] となり「誘導性リアクタンス」となります。

●RLC並列回路の\(X_L>X_C\)の場合の合成インピーダンス

電流 \(I\) の大きさは、
\(X_L>X_C\) のベクトル図からわかるように、直角三角形になります。

したがって、三平方の定理から電流 \(I\) の大きさは
\(I=\sqrt{{I_R}^2+({I_C}-{I_L})^2}\)=\(\sqrt{\left(\cfrac{E}{R}\right)^2+\left(\cfrac{E}{X_C}-\cfrac{E}{X_L}\right)^2}\)

\(E\) を平方根の外に出すと
\(I=E\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_C}-\cfrac{1}{X_L}\right)^2}\) [A]

電圧 \(E\) の大きさは、電流の式から
\(E=\cfrac{I}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_C}-\cfrac{1}{X_L}\right)^2}}\) [V]

\(E=\cfrac{I}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(ωC-\cfrac{1}{ωL}\right)^2}}\) [V]

インピーダンス \(Z\) の大きさは
\(Z=\cfrac{E}{I}\)=\(\cfrac{1}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_C}-\cfrac{1}{X_L}\right)^2}}\) [Ω]

\(Z=\cfrac{1}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(ωC-\cfrac{1}{ωL}\right)^2}}\) [Ω]

インピーダンス角 \(θ\) の大きさは
\(θ=\tan^{-1}\cfrac{1/X_C-1/X_L}{1/R}\)=\(\tan^{-1}\cfrac{ωC-1/ωL}{1/R}\) [rad]

\(X_L<X_C\)の場合のRLC並列回路

次に、\(X_L<X_C\) の場合の、RLC並列回路について説明します。

抵抗 \(R\) に流れる電流 \(\dot{I_R}\) は電圧 \(\dot{E}\) と同相になります。

コイルに流れる電流 \(\dot{I_L}\) は電圧 \(\dot{E}\) より位相が \(\cfrac{π}{2}\) 遅れます。

コンデンサに流れる電流 \(\dot{I_C}\) は電圧 \(\dot{E}\) より位相が \(\cfrac{π}{2}\) 進みます。

\(X_L<X_C\)の場合、電流 \(\dot{I_L}\) は電流 \(\dot{I_C}\) より、絶対値は大きくなります。

電圧を基準として各電流をまとめると、次のようなベクトル図になります。

図において、\(X_L<X_C\)の場合、(\(I_L>I_C\))ですから、\(I_L\) の大きさから \(I_C\) の大きさを引くと、\(\dot{I_X}\) のベクトルが求められます。

合成したベクトル表示の \(\dot{I_X}\) は、\(\dot{I_X}=\dot{I_C}+\dot{I_L}\) になります。

\(I_X\) の大きさは、\(I_X=I_L-I_C\) で求められます。

●RLC並列回路に流れる電流 \(\dot{I}\)のベクトル図
電流 \(\dot{I}\) のベクトル合成は、次のようになります。
\(\dot{I}=\dot{I_R}+\dot{I_L}+\dot{I_C}\)

電流 \(\dot{I}\) の大きさは、次のようになります。
\(I=\sqrt{{I_R}^2+(I_L-I_C)^2}\)

\(X_L\) と \(X_C\) の合成リアクタンス \(X\) は、\(X=X_L+X_C\) [Ω] です。

この2つのリアクタンスは、向きが反対になります。

\(X_L<X_C\) ですから、合成リアクタンスの大きさは、

\(X=X_C-X_L\) [Ω] となり「容量性リアクタンス」となります。

●RLC並列回路の\(X_L<X_C\)の場合の合成インピーダンス

電流 \(I\) の大きさは、
\(X_L<X_C\) のベクトル図からわかるように、直角三角形になります。

したがって、三平方の定理から電流 \(I\) の大きさは
\(I=\sqrt{{I_R}^2+({I_L}-{I_C})^2}\)=\(\sqrt{\left(\cfrac{E}{R}\right)^2+\left(\cfrac{E}{X_L}-\cfrac{E}{X_C}\right)^2}\)

\(E\) を平方根の外に出すと
\(I=E\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)^2}\) [A]

電圧 \(E\) の大きさは、電流の式から
\(E=\cfrac{I}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)^2}}\) [V]

\(E=\cfrac{I}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{ωL}-ωC\right)^2}}\) [V]

インピーダンス \(Z\) の大きさは、
\(Z=\cfrac{E}{I}\)=\(\cfrac{1}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)^2}}\) [Ω]

\(Z=\cfrac{1}{\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{ωL}-ωC\right)^2}}\) [Ω]

インピーダンス角 \(θ\) の大きさは、
\(θ=\tan^{-1}\cfrac{-1(1/X_L-1/X_C)}{1/R}\)=\(\tan^{-1}\cfrac{-1(1/ωL-ωC)}{1/R}\) [rad]                                       

記号法による表示法

RLC並列回路の各値を記号法により、表示すると次のようになります。

\(\dot{I_R}=\cfrac{\dot{E}}{R}\) [A]

\(\dot{I_L}=-j\cfrac{\dot{E}}{X_L}=\cfrac{\dot{E}}{jX_L}\) [A]

\(\dot{I_C}=j\cfrac{\dot{E}}{X_C}=\cfrac{\dot{E}}{-jX_C}\) [A]

回路の全電流 \(\dot{I}\) は、各枝路を流れる電流の和になります。

\(\dot{I}=\cfrac{\dot{E}}{R}+\cfrac{\dot{E}}{jX_L}+\cfrac{\dot{E}}{-jX_C}\)=\(\left\{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{j}\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)\right\}\dot{E}\) [A]

\(\dot{I}=\left\{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{j}\left(\cfrac{1}{ωL}-ωC\right)\right\}\dot{E}\) [A]

回路の全電流 \(\dot{I}\) は
\(X_L>X_C\)の場合、(\(I_C>I_L\))ですから進みます。

\(X_L<X_C\)の場合、(\(I_L>I_C\))ですから遅れます。

電圧 \(\dot{E}\) は
\(\dot{E}=\cfrac{\dot{I}}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{j}\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)}\) [V]

\(\dot{E}=\cfrac{\dot{I}}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{j}\left(\cfrac{1}{ωL}-ωC\right)}\) [V] になります。

●合成インピーダンス \(\dot{Z}\) の値
\(\dot{Z}=\cfrac{\dot{E}}{\dot{I}}\) から

\(\dot{Z}=\cfrac{1}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}}\) [Ω]

\(\dot{Z}=\cfrac{1}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{j}\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)}\) [Ω]

ここで、\(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}=\cfrac{1}{X}\) とすると

\(\dot{Z}=\cfrac{1}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX}}=\cfrac{1}{\cfrac{R+jX}{jXR}}=\cfrac{jXR}{R+jX}\) [Ω]

分母を有理化すると、次のようになります。

\(\dot{Z}=\cfrac{jXR}{R+jX}×\cfrac{R-jX}{R-jX}\)=\(\cfrac{R^2jX+X^2R}{R^2+X^2}\)=\(\cfrac{X^2R}{R^2+X^2}+j\cfrac{R^2X}{R^2+X^2}\) [Ω]

インピーダンス \(Z\) の大きさは、次のようになります。

\(Z=\sqrt{\left(\cfrac{X^2R}{R^2+X^2}\right)^2+\left(\cfrac{R^2X}{R^2+X^2}\right)^2}\)=\(\sqrt{\cfrac{R^2X^2(R^2+X^2)}{(R^2+X^2)^2}}\)=\(\cfrac{RX}{\sqrt{R^2+X^2}}\) [Ω]

記号法による計算
記号法で計算する場合は、誘導性、容量性のどちらのリアクタンスが大きくても、計算式は同じになります。

例 題

問 題1
抵抗 \(R=10\) [Ω]、誘導リアクタンス \(X_L=2\) [Ω]、容量リアクタンス \(X_C=5\) [Ω] の並列回路の合成インピーダンス \(\dot{Z}\) を求めよ。

解答例

●合成インピーダンス \(\dot{Z}\) は次の式から求められます。

\(\dot{Z}=\cfrac{1}{\cfrac{1}{R}+\cfrac{1}{jX_L}+\cfrac{1}{-jX_C}}\)

\(\dot{Z}=\cfrac{1}{\cfrac{1}{10}+\cfrac{1}{j2}+\cfrac{1}{-j5}}\)

\(\quad=\cfrac{1}{0.1-j0.5+j0.2}\)

\(\quad=\cfrac{1}{0.1-j0.3}\)

\(\quad=\cfrac{0.1+j0.3}{0.1^2+0.3^2}\)

\(\quad=\cfrac{0.1+j0.3}{0.1}\)

\(\dot{Z}=1+j3\) [Ω]

\(Z\) の大きさは

\(Z=\sqrt{1^2+3^2}=\sqrt{10}\) [Ω] になります。

問 題2
図のような、RLC並列回路に流れる電流 \(I\) を求めよ。

解答例
RLC並列回路の電流の大きさは、次の式から求められます。

\(I=E\sqrt{\left(\cfrac{1}{R}\right)^2+\left(\cfrac{1}{X_L}-\cfrac{1}{X_C}\right)^2}\)

\(\quad=100\sqrt{\left(\cfrac{1}{5}\right)^2+\left(\cfrac{1}{2}-\cfrac{1}{4}\right)^2}\)

\(\quad=\sqrt{0.2^2+(0.5-0.25)^2}\)

\(\quad=\sqrt{0.04+0.0625}\)

\(\quad=\sqrt{0.1025}\)

\(I≒32\) [A]

以上で「RLC並列回路の説明」を終わります。




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