電磁波 には さまざまな種類 があります。
光や電波も 電磁波の一部分 になります。
電波の送受信方法と変調方式や波の基本について説明します。
電磁波の種類
電磁波とは、空間を流れる 電磁気のエネルギー のことです。
電線を通っている電気は 電流 で、空気中を流れている電気が 電波 ということになります。
電磁波の種類は多種多様で
私たちの生活に大きく貢献してテレビなどの娯楽に限らず
医療機器に使われるなど私たちの社会生活を豊かにしてくれています。
図のように電波は 電磁波の一部 です。
電磁波には X線や紫外線、可視光線、赤外線 などが含まれます。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2019/03/shot_211208_120921.png)
電波は電磁波のうち 赤外線 よりも長い波長のもので
電波法では 「3000GHz(3THz)以下の周波数の電磁波」 と規定されています。
病院などでよく使うレントゲンなども 電磁波 になります。
可視光線の範囲
★ 可視光線の波長の範囲はおよそ
0.38\(\rm μm\) ~ 0.77\(\rm μm\) です。
\(\rm μm\) はマイクロメートル と読みます。
\(1[\rm μm]=\cfrac{1}{1,000}[\rm mm]\)
\(=\cfrac{1}{1000,000}[\rm m]\) になります。
つまり
1マイクロメートルは、千分の1ミリメートル=百万分の1メートルです。
マイクロメートル のことを、以前は ミクロン と言いましたが
現在は単位の呼び方としては、除外されています。
ただ一般では、まだ ミクロン と呼ぶこともあります。
単位の呼び方については 単位の用語集 を参照してください。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2019/03/shot_211208_133600.png)
電磁波の基本
ひとつの波の繰り返しの長さを 波長 と呼びます。
そして、ひとつの波が繰り返す時間を 周期 といいます。
波長 には 記号に \(λ\)(ラムダ)を用い
周期 には \(T\) を用います。
図では 1秒間に 50回 の周期を繰り返す波を表しています。
つまり、50Hzの周波数を表しています。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2019/03/shot_211208_134704.png)
■ 波に関する基本式
周波数 \(f\) [Hz] は周期 \(T\) [s]
の逆数なのでその関係は以下のようになります。
\(f=\cfrac{1}{T}\) [Hz]
波が進む速さ(1秒間に進む距離)を\(v\) [m/s]
周波数(1秒間に送り出す波の数)を \(f\) [Hz]
波長(1つの波の長さ)を \(λ\) [m] とすると次のようになります。
\(λ=\cfrac{v}{f}\) [m]
■ 波長の使い方
短波を受信したり、送信する時にはアンテナを張らなくてはなりません。
そのようなときに、アンテナの長さを周波数に共振させるには
波長にアンテナの長さを合わせる必要があります。
波長はアンテナの長さを決定したりするときに必要になります。
実際のアンテナの長さは \(1/2λ\) や \(1/4λ\) の長さを使います。
■ 電波の波長を計算する
\(50\) [MHz] の周波数の波長はいくつになるか求めてみます。
電波の速さを 約30万km/s とする。
\(λ=\cfrac{v}{f}\) [m] なので数値を代入すると
\(λ=\cfrac{300×10^6}{f}=\cfrac{300×10^6}{50×10^6}=6\) [m] となり
周波数 \(50\) [MHz] の波長λは \(6\) [m] になります。
電磁波の発見
電磁波の存在を予言したのはマクスウェルで
ファラデーが電磁誘導の法則を発表した1831年にイギリスに誕生しました。
マクスウェルはファラデーの電磁誘導の法則やアンペールの法則などの理論を
数学的に展開、発展させることにより電磁波の存在を予言しました。
1864年「電磁場の動力学的理論」という論文のの中でのことです。
彼は空間には電気だけではなく、磁気エネルギーも存在すると仮定しました。
そして、二つの電磁エネルギーが一体になって
空間を伝わるのではないかと考え光も電磁波の一種と考えていました。
■ ヘルツによる電波の発見
1864年にマクスウェルが電磁波の存在を予言してから24年後の1888年に
ドイツのヘルツが火花放電を用いた実験で電波(電磁波)が存在することを確認しました。
ヘルツは今で言う変圧器により電圧を昇圧する仕組みの装置で実験を行ないました。
一次コイルの電流を断続させることで二次コイルに高圧の電気を発生させ
それを放電させることにより断続的な電波を発生させました。
発生させた電波を検出するのには
一部だけ隙間のあるループ状の針金を電波検出器(アンテナ)として利用しました。
その後も、針金ループ検出器の改良などを加え
20mくらいまで電波が伝わることを確認しました。
ヘルツは36歳という若さで亡くなりましたが、多くの業績を残しました。
1930年、周波数を示す単位として ヘルツ(Hz)が採用されました。
電波の存在が確認されてから、わずか100年と少ししか経っていないことに驚きを感じます。
現在では情報を得たり、発信することもわりと簡単にすることができます。
技術の進歩は、直線状にではなく加速度的に発展していることを実感します。
電波の送受信
電波を作るには発振器という装置で高い周波数の交流電流を作ります。
発信回路で作られた電波に送りたい信号を加え、アンテナという装置から電波を送信します。
■ 電波の発信装置
電波を送信する仕組みです。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20160920152349.jpg)
■ 電波の受信装置
電波を受ける仕組みです。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20160920152438.jpg)
電波の変調の種類
変調方式には波の大きさを変える振幅変調(AM)と信号に合わせて周波数を変える周波数変調(FM)とあります。
■ 振幅変調とは
もっとも直感的に理解しやすいものが振幅変調(AM)です。
搬送波が入力信号の波形と一致します。
この方式は歴史的にもはやくから使われています。
AMは原理的に送受信が比較的簡単な回路でできるということで
中波のAMラジオ放送などで使われています。
振幅変調の波形は、電波として送信する高周波(搬送波という)の波形の振幅に
送りたい音声などの信号をのせる方式になります。
そのため、搬送波の振幅の大きさが、信号の大きさで変化した形になります。
■ 周波数変調とは
周波数変調は雑音や信号減衰に強く
ステレオ放送が一つの電波でできるなどの特徴があるので、音楽などの放送に使われています。
周波数変調の波形は、電波として送信する搬送波の波形の
振幅を変えるのではなく、送りたい音声などの信号を周波数の位相を変化させています。
そのため、搬送波の位相が、信号の大きさで変化した形になります。
以上で「電磁波の伝わり方と送受信・変調方式」の説明を終わります。