高周波の交流電流が流れると、電波が発生します。
その電波の伝わり方はどのようなものでしょう。
家庭のコンセントに来ている電気も交流ですが、空間を伝わることはありません。
電波として空間を伝わるかどうかは周波数に関係しています。
ここでは、電波の伝わり方について説明します。
電気と磁気の波が電磁波です。
電波は電磁波の一部になります。
電波の伝わり方
電磁波(電波)が発生することによって、どのように電磁波が伝わるかというのは、図1のように磁界と電界が次々と繰り返されることによって、まるで波の波紋のように伝わっていきます。
図1では、磁力線と起電力を1本として説明しています。
ただし、注意したいのは一つ一つの波が移動して伝わっていくのではなくて、波の上下動が伝わるということです。
高周波電流によって発生する磁力線は1本ではなく360度の球面上になります。
起電力(電界)も同じように球面上にできます。
電磁波(電波)はなぜ空間を伝わるのか
家庭の電化製品の電線に電気が流れたときにも、磁界が発生しています。
しかし、電化製品は電力を伝達するのに電線がなければ、使うことができません。
それに対して、電磁波(電波)は電力を伝えるのに電線がなくても、何もない空間を伝わっていきます。これは一体なぜでしょうか。
電磁波のエネルギーは波長の長さと反比例している。つまり、波長が短い(周波数が高い)とエネルギーが大きくなるわけです。
普通家庭で使用している電気は周波数が50から60Hz(ヘルツ)ですから、とても低い周波数です。
そのため、空間を伝わって電力を送ることはできません。
しかし、ラジオではKHz(10の3乗)、FM放送ではMHz(10の6乗)、携帯電話ではGHz(10の9乗)帯という高い周波数が使われています。
そのために空間を伝わって行くことができるのです。
真空中の空間インピーダンス(交流回路の抵抗)は376.7[Ω]とされていて、私たちが家庭で使っている周波数の電気では真空中は電気の絶縁物となりますが、無線通信などで使用している周波数帯では絶縁物ではなくなります。
そのため、空間を電磁波(電波)が伝わるのです。
以上で「電波の伝わり方」の説明を終わります。