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RC並列回路の概要

抵抗とコンデンサを並列に接続した「RC並列回路」の、電圧、電流、インピーダンスの関係について説明します。

RC並列回路とRL並列回路の考え方は、コンデンサとコイルの違いだけで基本的には同じです。

RC並列回路の概要

RC並列回路とは、抵抗 R と 静電容量 C のコンデンサを、並列に接続した回路のことをいいます。


■ RC並列回路の電圧

RC並列回路では、抵抗 R と コンデンサ C は並列に接続されているので、R と C にかかる電圧 E は同じ大きさの電圧 になります。

■ RC並列回路の電流

抵抗に流れる電流 IR˙ は

IR˙=E˙R [A] 

大きさは IR=ER [A] 

コンデンサに流れる電流 IC˙ は

IC˙=E˙XC [A] 

(XC=1ωC) なので

大きさは IC=EXC=ωCE [A] 

RC並列回路の全電流 I˙ は抵抗とコンデンサに流れる電流の和になります。

I˙=IR˙+IC˙ [A]

I˙=E˙(1R+1XC) [A]

大きさは I=E1R2+(ωC)2 [A]

RC並列回路のベクトル図

■ RC並列回路のベクトルの描き方

RC並列回路のRとCにかかる電圧は同じ大きさなので、電圧を基準としてベクトルを描きます。

電圧を基準としてベクトルを描く


抵抗に流れる電流 IR˙ を電圧と同相に描きます。


コンデンサに流れる電流 IC˙ を電圧より π2 進めて描きます。


IR˙ と IC˙ のベクトル和が回路に流れる全電流 I˙ になります。


RCの並列回路では、回路に流れる電流 I˙ は電源電圧に対して進み電流になります。

RC並列回路の電圧・電流の大きさ

ベクトル図において IR˙ IC˙ I˙ は直角三角形ですから

三平方の定理を用いると回路の全電流 I の大きさは

I=IR2+IC2

I=(ER)2+(EXC)2

I=E1R2+1XC2 [A]

I=E1R2+(ωC)2 [A] 

したがって、電源電圧 E は

E=I1R2+1XC2 [V]

E=I1R2+(ωC)2 [V] になります。

RC並列回路の合成インピーダンスの大きさ

合成インピーダンスは 電圧と電流の比ですから

電圧の式

E=I1R2+1XC2 [V] から

Z=EI=11R2+1XC2 [Ω]  

(XC=1ωC) なので

Z=11R2+(ωC)2 [Ω] になります。

■ RC並列回路のインピーダンス角

RC並列回路のベクトル図で、基準とする電圧 E˙ に対する電流 I˙ の位相差 θ を RC並列回路の インピーダンス角 といいます。

tanθ=ICIR=EXCER=RXC

θ=tan1RXC=tan1ωCR [rad]

RC並列回路の記号法

交流を複素数で表す方法を 記号法 といいます。

次の回路は記号法によるRC並列回路です。


■ 直交座標表示

jXC=j1ωC=1jωC 容量性リアクタンス

抵抗 R を流れる電流 IR˙ は、電圧 E˙ と同相なので

IR˙=E˙R [A] 

コンデンサ C を流れる電流 IC˙ は電圧 E˙ より、π2 [rad] 位相が進みます。

IC˙=E˙jXC=jE˙XC [A] 

■ 虚数単位 j を付ける場所

  • 虚数単位がややこしくなるのは、どこに付けたらいいかわからない。
  • +jj どっちになるかわからない。ということではないでしょうか

■ 虚数単位 j は、ω(オメガ)の前に +j を付けると覚えましょう。

これを覚えれば、かなりの部分が解決すると思います。

  • +j は反時計方向に90°移動します。
  • j は時計方向に90°移動します。

たとえば、容量性リアクタンス 1ωC=XC の ω の前に j を付けます。

1jωC=1j×XC=jj×1j×XC=jXC であることがわかります。

回路全体の電流 I˙ は、RC並列接続では各電流 IR˙ と IC˙ の和になりますから

I˙=IR˙+IC˙=(1R+1jXC)E˙ [A] 

XC=1ωC なので

I˙=(1R+jωC)E˙ [A]  

電圧 E˙ は

E˙=I˙1R+1jXC

XC=1ωC なので

E˙=I˙1R+jωC [V] になります。

Z˙=11R+1jXC [Ω]

Z˙=11R+jωC [Ω]  

■ 極座標表示

IR˙=E˙R0 [A]  (電圧 E˙ と同相)

IC˙=E˙XCπ2 [A]  (電圧 E˙ より π2 進み)

I˙+θ [A]

並列回路の力率について

並列回路の力率はインピーダンスで求めるときに

cosθ=IRI=ZR になりますので注意が必要です。

直列回路のときは

cosθ=RZ になります。

RC並列回路の公式

ベクトル

XC=1ωC [Ω]   

IR˙=E˙R [A] 

IC˙=E˙XC=ωCE˙ [A] 

I˙=IR˙+IC˙ [A]

I˙=E˙(1R+jωC) [A] 

記号法

jXC=j1ωC=1jωC [Ω]  

1jXC=ωCj=jωC 

IC˙=E˙jXC=jωCE˙ [A] 

I˙=E˙(1R+jωC) [A] 

E˙=I˙1R+1jXC=I˙1R+jωC [V] 

Z˙=11R+1jXC [Ω]

Z˙=11R+jωC [Ω]

大きさ

I=E1R2+(ωC)2 [A]

E=I1R2+(ωC)2 [V]

Z=RXCR2+XC2 [Ω] または

Z=R1ωCR2+(1ωC)2 [Ω] 

練習問題

問題1

抵抗 R=6 {Ω}、容量リアクタンス XC=8 [Ω] の並列回路の合成インピーダンスを求めよ。

<解答例>

並列回路の合成インピーダンス Z は

Z=RXCR2+XC2

Z=6×862+82

Z=48100=4.8 [Ω] 

問題2

抵抗 R=15 {Ω}、容量リアクタンス XC=20 [Ω] の

並列回路に、電圧 100 [V]を加えたときに回路に流れる電流 I を求めよ。

<解答例>

合成インピーダンス Z は

Z=RXCR2+XC2

Z=15×20152+202

Z=300625

Z=30025=12 [Ω] 

電流 I は

I=EZ=100128.3 [A]

以上で「RC並列回路の概要」の説明を終わります。