電子レンジは、高周波のマイクロ波を使い、食物の水分を利用して加熱します。
電磁調理器は、加熱用コイルに高周波電流を流すことで、フライパンなどの調理器に誘導電流を発生させて加熱するものです。
昔の冷凍食品といえば単に、日持ちをさせるためのものだったのであまり味が良くありませんでした。
しかし、この頃では冷凍技術が発達して冷凍食品がおいしくなっています。
そのため、電子レンジが活躍しています。
今はどこの家庭でも見られるようになっています。
物を温めたりするのは、食品にじかに熱を加えて物を焼いたり温めたりするのが一般的ですが、電子レンジの加熱法は全く違います。
電子レンジはマグネトロンという2極真空管で、2450MHzの高周波を発生させています。
このマグネトロンが発生する高周波はマイクロ波と呼ばれ、1秒間に24億5000万回もの振動をしています。
電子レンジの加熱法

電子レンジの加熱の元になるものは水分です。
そのため、水分のないものは電子レンジで温めることができません。
そもそも、水分子を電気的に見たときに電気陰性度の差があり、酸素は電気的にマイナスを、水素は電気的にプラスを帯びている。
このため食品などの水分を含んだ物質に、マイクロ波を照射すると物質内部の水分子が分極する。
分極とは(分子が電気的に見たときプラスとマイナスに分かれること)そして、マイクロ波の高周波交流により分子のプラスとマイナスが反転を繰り返すため、水分子が振動をして分子同士がぶつかり合って熱を発生します。
この時発生した熱で食品が温められます。
何しろ1秒間に24億5000万回もの振動ですからどれだけすごいか分かります。
その振動によって水の分子ができる熱で食品が暖められるのです。
高周波の反射などにより火花が出ることもあります。
また、使用中は高周波が外に漏れないように何重にも工夫されています。
電子レンジの注意点
- マイクロ波は高周波の電気ですから、当然のことですが金属などの導体は通りますので金属類は入れると危険です。
- 加熱時間の設定は短めにすること。暖め過ぎは食品が焦げたり、煙や火が出ることがあります。
- 庫内に付着した汚れで発火する危険性もありますので、庫内の掃除も必要です。
- 電子レンジによる加熱は、食品の内部から温まります。卵などのように膜のあるものやからのついたものは破裂することがあります。
- 飲み物の場合、沸点に達しているのに沸騰しないことがあります。この時に容器に力が加わると一気に沸騰することがあるので注意が必要です。
- 食品以外は原則加熱しないこと。
電磁調理器
電磁調理器の発熱原理は、電磁誘導と渦(うず)電流によるものです。電磁調理器の中には、加熱用のコイルが入っています。
このコイルに電気を流すと電磁誘導の法則により、磁界(磁力線)が発生します。
この加熱コイルに毎秒2万5千回も振動する、高周波電流が流れます。
この磁力線が調理器(なべやフライパンなど)の底を通ることにより、なべ底に「渦電流」が流れます。
この渦電流となべにある抵抗により、ジュール熱が発生してなべが加熱されるわけです。
電磁調理器の構造は、加熱用のコイルと高周波を流す周波数変換と制御をするための回路、冷却ファンなどで構成されています。
調理で使える調理器具は鉄鍋、ホーロ鍋、ステンレス鍋が適しています。意外なことですが金属でも、電気抵抗の小さい銅やアルミの容器は使えません。
●電磁調理器の例
写真のような手軽な物から、コンロタイプでキッチンに据え付けタイプのものや同じ原理を利用したIH炊飯器のようなものもあります。
●電磁調理器の長所
- スイッチを入れると直ぐにうず電流による熱が発生するので、温まりやすい。
- 火が出るわけではないので、何かに引火するとかはないので安全である。
- 調理器の上に手を置いても加熱されるわけではないので安心です。
●電磁調理器の短所
- 鉄やステンレスなどの導電性のものは使えるが、陶器などの土鍋は使えない。
- 調理は短時間なので電気代は少ないが、使用時の電力が大きいので専用のコンセントが必要です。
電磁調理器の原理からして、電気を通さないプラスチック、ガラス、陶磁器、土鍋などの絶縁物容器や同じ金属でも、電気抵抗の少ない銅やアルミなどは使うことができません。
鉄製の容器などは電気抵抗が比較的大きいので最適です。
●電子レンジとの違い
同じ電気で調理するものでも、電子レンジとは何が違うのでしょうか。
電子レンジは高周波電流によって、食品の持つ水分を温めることで調理します。食品を直接加熱しています。
これに対して電磁調理器は電磁誘導による渦電流によって調理器具を加熱することで調理します。
調理の方法は全く違います。
以上で「電子レンジと電磁調理器」の説明を終わります。