- トースターなど熱を出す電化製品の仕組み
- 電流の三大作用について
- 電化製品を使う時の注意点
- 熱の伝わり方の種類
について説明しています。
身近にたくさんの電化製品がありますが、ここでは、熱を利用した電化製品を取り上げてみます。
パンなどを焼いたりして毎日使うことが多い、トースターや電気コタツなどは、電化製品としての構造は比較的簡単にできています。
しかし、簡単な構造の割にはとても便利です。
電気はお湯を沸かしたり、照明器具で明るく照らしたり、トースターや電気コタツなどのように熱を出したりします。
どうして電気は、このようなことができるのでしょうか。
電気は自分の持つ「エネルギー」を、いろいろな電化製品で別のエネルギーに変換することができます。
熱を利用した電化製品
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20161006031207.jpg)
電気の発熱を利用したものは
電流の三大作用(発熱作用、磁気作用、化学作用)の発熱作用を利用したものです。
熱を出す電化製品のほとんどは、発熱体として電熱線といわれるものが使われています。
その中でもニクロム線は、電熱線の代名詞といえるほど一般的なものです。
ニクロム(Nichrome)はニッケルとクロムを中心とした合金で、電気抵抗が大きいため発熱素子として、トースターや電気コタツなどによく使われます。
今では、省エネルギーの観点からLED照明などが多くなってきて、白熱電球が使われることが少なくなってきています。
白熱電球は点灯している時には、かなりの熱を出しています。
このように電気が流れたときに発生する熱をジュール熱といいます。
これは、導体を電気が流れると、抵抗によって熱が発生するためです。
前述のトースターや電気コタツなどは、熱を利用するために、熱が出やすい発熱体を使っています。
電化製品に使われているニクロム線は、安全のためにガラスチューブなどで絶縁されているものがほとんどです。
発熱作用を利用したトースターの仕組み
トースターの仕組みは図のようにわりと簡単なものです。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20170610114711.png)
■ トースターの構造
- 上下に発熱するヒータ部分がある。
- タイマー付きのスイッチで発熱時間を変えられる。
- サーモスタットで発熱の時間を調節をする。
発熱によるサーモスタットの仕組み
サーモスタットは温度調節をするためのものですが、その仕組みはバイメタルを使ったものです。
バイメタルとは、2枚の異なる金属を貼り合わせたもので、温度が高まると金属が伸びる性質を利用しています。
- バイメタルは金属により、伸びる割合が異なる性質を利用したものです。
- バイメタルは、貼り付けた2枚の金属の伸びが異なるので、発熱により温度が高くなると反り返ります。
- これをスイッチの役割りとして使います。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/rapture_20170610123437.png)
電化製品の上手な使い方
電化製品を使っていると、コンセントに色々な電化製品のコードを差してしまいます。
ここで、気を付けたいことがあります。
それは、タコ足配線です。
タコ足配線とは、一つのコンセントなどに「トリプルタップ」などで、たくさんのプラグを接続することを言います。
タコ足配線をすると、コンセントやテーブルタップなどに、規定以上の電流が流れて発熱する危険があるからです。
タコ足配線は危険です
もちろん、タコ足配線をやらない方が良いのですが、タコ足配線自体が問題なのではありません。
問題なのは、タコ足配線によって、規定電流以上の電気が流れることが危険なのです。
電気のコードなども、わずかですが抵抗がありますので、規定以上に電気を流したりすると熱が出て熱くなります。
そこから発熱して、さらに使い続ければ、火災に発展することもあるかもしれません。
熱が出る電化製品は消費電力が大きい
実際問題として、コンセントにいくつかの電化製品のプラグを差すことはありますから、それぞれの製品の使用電力を考えてコンセントに差すようにしましょう。
トースターや電気コタツのように、直接的に熱を出すものは消費電力が大きいものが多いです。
コンセントの電圧は100Vですから、電化製品のワット数を見ればだいたいの電流が分かります。
消費電力(ワット)は電圧と電流を掛けたものです。
つまり、100W(ワット)の電化製品に流れる電流は、およそ1A(アンペア)と考えてかまいません。
家庭用のコンセントの容量はだいたい 15Aが多いので およそ 1500W(ワット)を目安に使うと良いでしょう。
一般的に見て熱の出るものは、電力の消費が大きいものが多いです。
トースター、電気ストーブ、電気コタツ、電気炊飯器などです。
電気による発熱の種類
■ ジュール熱による発熱
ニクロム線のような導体に電気を流すと、ジュール熱という熱が発生します。
抵抗を \(R\) [オーム]、電流を \(I\) [アンペア]、電力を \(P\) [ワット]とすると
\(P=I×I×R\) の熱が発生します。
1 [W]=1 [J/s]=0.239 [cal/s]
1 [kW・h]=860 [Kcal]
■ 誘電加熱による発熱
絶縁物を強い高周波電界の中に置いて、絶縁体の誘電損失によって発熱する方法をいいます。
誘電加熱の特徴は、絶縁物自身の発熱という特徴があります。
■ マイクロ波加熱による発熱
マイクロ波加熱は誘電加熱の一種であり、マイクロ波と物質の相互作用により発熱します。
電子レンジに代表されるものです。
■ 誘導加熱による発熱
巻線の中に金属材料を置き、交流電流を流すと磁界が生じます。
その磁界により金属材料に誘導電流が流れ、抵抗加熱により発熱します。
IH調理器(電磁調理器)が代表的なものです。
■ ヒートポンプ
ヒートポンプとは冷凍サイクリの発熱と吸熱を利用したものです。
エアコンや冷蔵庫などに利用されています。
熱の伝わり方
- 熱伝導
- 対流
- 熱放射(熱輻射)があります。
熱の伝わり方には、熱伝導、対流、熱放射(熱輻射とも言う)の3種類があります。
熱伝導による熱の伝わり方は物質によって熱が運ばれます。
対流による熱の伝わり方は流体(液体や気体)によって熱が運ばれます。
熱放射による夏の伝わり方は熱が放射線(電磁波)によって運ばれます。
それぞれの方法を説明していきます。
熱伝導
熱伝導は、個体や流体の内部を熱が伝わることをいいます。
図のように、金属の棒の片方を熱した時に徐々に熱が伝わっていきますが、このような熱の伝わり方を 熱伝導 といいます。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/shot_170807_121709.png)
熱くなった薬缶や鍋を布巾などで、手に持つと 熱が伝わって きますがこれも熱伝導の例です。
また、温度の異なる2つの金属を接触させた時に、温度の高い金属から温度の低い金属の方に熱が移動します。
この場合、温度の差が大きいほど 熱の移動は早くなります。
対流
対流は、熱を持っている 流体(液体や気体)が移動する ことで、熱を他の物質に運ぶことをいいます。
わかり易い例では、お風呂などを沸かすときのことを考えると良いでしょう。
お湯をかき混ぜないで、湯を沸かすと 上の方は熱いが下の方は冷たい ということになります。
これは水が熱によって膨張して、比重が軽くなった水が上の方に 集まり、冷たい水が下に貯まる ことから起こる現象です。
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熱放射(熱輻射)
熱放射(熱輻射)とは、熱のエネルギーが 電磁波の形で物体に直接 伝えられる現象です。
![](https://hegtel.com/wp-content/uploads/2017/11/shot_170807_150344.png)
焚き火(ストーブなど)の前に行くと、暖かくなるのは焚き火のエネルギーが直接、人の体に届くからです。
周りの空気が暖かくなったからではないのです。
熱放射(熱輻射)は直接的なものなので、熱源(焚き火など)と自分の間に 遮蔽物を置くと急に寒くなる ことからもわかります。
熱は離れている場所でも伝わることができます。
そして、真空中でも熱は伝わることができます。
太陽の熱が地球に届いていることからもそれはわかります。
熱が真空中でも届くのは、熱放射(熱輻射)の熱源が、電磁波を放射しているからです。
電磁波は熱ではありませんが、電磁波が物体に当たると、電磁波のエネルギーが物体の分子を振動させて熱を発生させます。
これを利用したものが、電子レンジの加熱方法です。
伝導加熱とは
食堂の厨房や家庭のキッチンなどでも、伝導加熱によって火災になる可能性あるようです。
食堂などに食事に行くと、厨房が見える所があります。
厨房の周りがステンレスなどで囲ってあり、磨いてあるとキレイで清潔感もあります。
しかし、ここに意外な落とし穴がある ようです。
特にガスコンロなどの熱源の周りの壁がステンレスなどで覆われている場合、ガスコンロなどの熱が長い間に壁の中を、熱の伝導により炭化させて しまうようです。
場合によっては、これによって火災になってしまうこともあるようです。
この場合は、伝導だけでなく、熱の対流や輻射熱が相まって起きる ものではないでしょうか。
老朽化した住宅などでも注意したほうが良いそうです。
熱エネルギーの特徴
熱は高い温度の所から、低い温度の所に移動する。
両方の温度が等しくなると、熱の移動が止まります。
この状態を 熱平衡(ねつへいこう) といいます。
物質の温度が上昇すると、物質は膨張します。
しかし、物質の重量は変化しないため、比重は軽くなります。
暖められて相対的に比重が軽くなった、気体や流体は上昇していきます。
熱気球が暖められた空気によって上昇するのはこのためです。
以上で「熱を利用した電化製品「トースター」「電気ストーブ」「電気コタツ」」の説明を終わります。