磁界の強さ

磁荷による 磁気力が働く空間 のことを 磁界(または磁場) といいます。

磁界の強さの定義として
磁界の強さは+1Wb(ウェーバー)の磁荷が受ける磁気力と定められています。

ここでは、磁荷から距離 r [m] の位置の磁界の強さを求める公式、磁界のベクトル合成、磁界中にある磁荷に働く力を説明します。

磁界とは

電荷の周りの静電気力が働く空間を 電界 といいます。

電界と同じように、磁荷の周りにも磁気力が働きます。

磁気力が働く空間のことを 磁界(または磁場) といいます。

正磁極 と 負磁極 のように、異なる磁極の間には 吸引力 が働きます。
正磁極同士 または 負磁極同士 のように同じ磁極の間には斥力が働きます。

■ 磁荷と磁極
磁荷は磁極が帯びている磁気の量のこと。
磁極はN極とS極があり、N極を正、S極を負で表します。

磁界の強さ

磁界の強さ \(H\) [A/m] は
ある磁界中に +1Wb(ウェーバー)の磁極(N極:正磁極)を \(r\) [m] の点に置いたとき、この磁極が受ける 力の大きさと方向 で表します。
つまり、磁界は ベクトル量 になります。

2つの磁荷間に働く磁気力は 磁気に関するクーロンの法則 で求めることができます。
\(F=k\cfrac{m_1m_2}{r^2}\) [N] 

+1Wb(ウェーバー)の磁荷が受ける磁気力が磁界の強さ \(H\) なので
\(H=k\cfrac{m}{r^2}\) [A/m]  

■ 定数 \(k\) と 透磁率
透磁率は磁気を通す比率を表します。
\(k=\cfrac{1}{4πμ_0}≒6.33×10^4\) [N・m2/Wb2]\(\cdots\)定数

\(μ_0=4π×10^{-7}\) [H/m]\(\cdots\)真空の透磁率

\(μ=μ_0μ_r\) [H/m]\(\cdots\)透磁率で「ミュー」と読みます。

\(μ_r=\cfrac{μ}{μ_0}\cdots\)比透磁率 空気中では、\(μ_r=1\) です。

\(k=\cfrac{1}{4πμ}\cdots\)透磁率 \(μ\) の媒質中の定数

磁界の中にある磁荷に働く力

磁界の強さが \(H\) の点における磁荷 \(m\) に働く力 \(F\) は 次のようになります。

\(F=mH\) [N]

■ 磁気力の求め方
• 点Aの磁界が \(H\) の時 +1 [Wb] の磁荷が受ける力 \(F\) は右向きで大きさは \(F=H\) [N] になります。
• 点Aの \(+m\) [Wb] の磁荷が受ける力 \(F\) は 右向き で大きさは \(F=mH\) [N] になります。
• 点Aの \(-m\) [Wb] の磁荷が受ける力 \(F\) は 左向き で大きさは \(F=mH\) [N] になります。

■ 磁界の合成
複数の点磁荷による P点の磁界の強さは、各点磁荷によって作られる 磁界のベクトル和 として求めることができます。

• 磁界の強さ \(H\) [A/m] は次のようになります。

\(H=k\cfrac{m}{r^2}\) [A/m] 

\(H=6.33×10^4\cfrac{m}{r^2}\) [A/m]

• 透磁率 \(μ\) の媒質中では、次の公式になります。

\(H=k\cfrac{m}{μ_rr^2}\) [A/m] 

• 磁界の強さが \(H\) の点における電荷 \(m\) に働く力 \(F\) 

\(F=mH\) [N]

練習問題

■ 問題 1
磁極の強さが \(1\) [Wb] の磁極に \(1\) [N] の力が働いています。

その点の磁界の強さ \(H\) [A/m] を求めよ。

<解答例>
磁界の強さ \(H\) にある磁極に働く力 \(F\) は

\(F=mH\) [N] から磁界の強さは 次のようになります。

\(H=\cfrac{F}{m}=\cfrac{1}{1}=1\) [A/m] 

■ 問題 2
真空中で \(1×10^{-5}\) [Wb] の磁極から \(20\) [cm] 離れた点の磁界の強さ \(H\) [A/m] を求めよ。
ただし、\(μ_0=4π×10^{-7}\) とする。

<解答例>
問題を図にすると次のようになります。

磁界の強さは公式から

\(H=\cfrac{m}{4πμ_0r^2}\)\(=6.33×10^{4}\cfrac{m}{r^2}\) [A/m] 

公式に数値を代入します。

\(m=1×10^{-5}\)

\(r=20×10^{-2}\)

\(H=6.33×10^{4}\cfrac{1×10^{-5}}{(20×10^{-2})^2}\)\(=\cfrac{6.33×10^4×10^{-5}}{4×10^{-2}}\)\(≒1.58×10^{4-5+2}\)\(=1.58×10^1\)

\(H=15.8\) [A/m] になります。

以上で「磁界の強さ」の説明を終わります。