磁束も 磁力線 も、どちらも 磁界の様子を表すための仮想的な線 です。
磁束は磁極 m [Wb] からは m [本] の磁束が出ると考えます。
一方、磁力線は磁極 m [Wb] から m/μ [本] の磁力線が出ると考えます。
磁束と磁力線の性質について説明します。
磁束
磁束 も 磁力線 も、どちらも磁界の様子を表すために考えた仮想的な線のことです。
磁力線というと1本づつの線のイメージですが、磁力線を束にしたものが 磁束 と考えれば良いでしょう。
■ 磁束の記号と単位
磁束の記号は \(\Phi\) または \(\phi\) を使い、単位には [Wb] を使います。
\(\Phi、\phi\) は「ファイ」、[Wb] は「ウェーバー」と読みます。
磁束の定義
磁束の定義
磁束 \(\Phi\) は 磁極 \(m\) からは どのような媒質中でも \(\Phi=m\) [Wb]=[本] の 磁束 が出ると決めます。
磁束を \(\Phi\)、 磁束密度を \(B\)、 面積を \(S\) とすると
\(\Phi=BS\) [Wb] になります。
■ 磁束 \(\Phi\) は N極から出て、S極に入る。
磁束は磁力線と同じように、N極から出て、S極に入る。
■ 磁束 \(\Phi\) の向き
磁束の向きは、その点の 磁界 の向きと一致する。
- 磁束数は磁荷量と同じになります。
磁荷 \(m\) [Wb] からは \(\Phi=m\) [Wb] の磁束 が出る。 - 磁束は N極 から出て S極 に入る。
- 磁束の方向は、その点の磁界の方向と一致する。
- 磁束は、途中で分岐したり、交差することはない。
磁束密度
磁束密度 \(B\) とは 単位面積あたりの磁束の数になります。
磁極 \(m\) [Wb] から \(\Phi=m\) [Wb] の磁束 が球面状に出ますので
単位面積(1m2) あたりの磁束数が磁束密度 \(B\) [T](テスラ)になります。
磁束密度は磁束 \(\Phi=m\) を球の表面積 \(S=4πr^2\) で割れば求められます。
\(B=\cfrac{m}{4πr^2}\)
\(B=\cfrac{\Phi}{S}\)
\(B=μH\) [T]
磁界の強さ
\(H=k\cfrac{m}{r^2}=\cfrac{1}{4πμ}×\cfrac{m}{r^2}\)
\(=\cfrac{1}{μ}×\cfrac{m}{4πr^2}=\cfrac{1}{μ}×B\)
磁束密度
\(B=μH\) [T] になります。
透磁率は磁気を通す比率を表します。
\(k=\cfrac{1}{4πμ_0}≒6.33×10^4\) [N・m2/Wb2]\(\cdots\)定数
\(μ_0=4π×10^{-7}\) [H/m]\(\cdots\)真空の透磁率
\(μ=μ_0μ_r\) [H/m]\(\cdots\)透磁率で「ミュー」と読みます。
\(μ_r=\cfrac{μ}{μ_0}\cdots\)比透磁率 空気中では、\(μ_r=1\) です。
\(k=\cfrac{1}{4πμ}\cdots\)透磁率 \(μ\) の媒質中の定数
磁束と磁力線の違い
磁束数 \(\cdots\) 磁極 \(m\) [Wb] からは \(\Phi=m\) [Wb] の磁束が出る。
磁束はどのような媒質中でも 透磁率の影響は受けない。
\(\Phi=m\) [Wb]=[本]
磁力線数 \(\cdots\) 磁極 \(m\) [Wb] からは \(\cfrac{m}{μ}\) [本] の磁力線が出ます。
\(μ\) は小さいので、磁力線の数はとても多くなります。
\(N=\cfrac{m}{μ}\) [本]
■ 磁束と磁力線の関係
磁束と磁力線の関係は
磁束数を \(\cfrac{1}{μ}\) 倍 したものが 磁力線数になります。
磁束の関係式
磁束数を \(\Phi=m\) [Wb]、 球の表面積を \(S=4πr^2\) [m2] とします。
磁束数 \(\Phi=m\) [Wb] を \(S=4πr^2\) で割ると磁束密度 \(B\) になります。
\(B=\cfrac{\Phi}{S}=\cfrac{m}{S}\)
\(=\cfrac{m}{4πr^2}×\cfrac{μ}{μ}\)
\(=k\cfrac{mμ}{r^2}=μH\) [T]
磁束密度を \(μ\) で割ると磁力線密度 になります。
磁力線密度 \(=\cfrac{m}{μS}=\cfrac{m}{4πμr^2}=H\) で 磁界 になります
磁束数 \(m\) [本] を \(μ\) で割ると磁力線数 になります。
磁力線数 \(=\cfrac{m}{μ}\) [本]
磁力線数 \(=\cfrac{m}{μ}\) [本] を \(S=4πr^2\) で割ると磁力線密度 になります。
磁力線密度 \(=\cfrac{m}{μS}=\cfrac{m}{4πμr^2}=H\) で 磁界 になります
以上で「磁束と磁束密度」の説明を終わります。