2つ以上のコンデンサの合成静電容量の計算方法について説明します。
コンデンサが直列接続の場合と並列接続の場合によって、計算方法が違います。
■ 直列接続の合成静電容量
\(\cfrac{1}{C}\)\(=\cfrac{1}{C_1}+\cfrac{1}{C_2}+\cfrac{1}{C_3}+\cdot \cdot \cdot +\cfrac{1}{C_n}\quad\rm[F]\)
■ 並列接続の合成静電容量
\(C=C_1+C_2+C_3+・・・+C_n\quad\rm[F]\)
コンデンサの合成静電容量
■ 合成静電容量の計算式
■ 合成抵抗の計算式
コンデンサの直列接続で合成静電容量が減少する理由
静電容量が等しいコンデンサ \(C_1\quad\rm[F]\) を2個直列に接続した時の、合成静電容量は
\(C=\cfrac{1}{2}C_1\quad\rm[F]\) になります。
これは。平行板コンデンサの静電容量 \(C\) は \(C=ε\cfrac{S}{d}\) で、直列にすることにより電極の間隔 \(d\) が 2倍になるためです。
■ コンデンサを2個の直列接続
コンデンサを2個の直列接続したときの合成静電容量は、和分の積の公式 が使えます。
\(C=\cfrac{C_1C_2}{C_1+C_2}\quad\rm[F]\)
コンデンサの直列接続の合成容量は、それぞれの静電容量の逆数の和になります。
\(\cfrac{1}{C}\)\(=\cfrac{1}{C_1}+\cfrac{1}{C_2}+\cfrac{1}{C_3}+・・・\)\(+\cfrac{1}{C_n}\quad\rm[F]\)
直列につながれたそれぞれのコンデンサに貯まる電荷 \(Q\) はすべて等しい。
電圧 \(V\) は各コンデンサにかかる電圧の合計になります。
各コンデンサに貯まる電荷は同じになります。
\(Q=CV\) から \(V=\cfrac{Q}{C}\)
\(V=V_1+V_2+V_3+・・・+V_n\)
\(V=\cfrac{Q}{C_1}+\cfrac{Q}{C_2}+\cfrac{Q}{C_3}+・・・+\)\(\cfrac{Q}{C_n}\)\(=\cfrac{Q}{C}\)
両辺を \(Q\) で割ると
\(\cfrac{1}{C}\)=\(\cfrac{1}{C_1}+\cfrac{1}{C_2}+\cfrac{1}{C_3}+・・・+\)\(\cfrac{1}{C_n}\)
コンデンサの並列接続で合成静電容量が増加する理由
静電容量が等しいコンデンサ \(C_1\hspace{8px}\rm [F]\) を2個並列に接続した時の、合成静電容量は
\(C=2C_1\quad\rm[F]\) になります。
これは。平行板コンデンサの静電容量 \(C\) は \(C=ε\cfrac{S}{d}\) で、並列にすることにより電極の面積 \(S\) が 2倍になるためです。
■ コンデンサの並列接続の合成容量
コンデンサの並列接続の合成容量は、それぞれの静電容量の和になります。
\(C=C_1+C_2+C_3+・・・\)\(+C_n\quad\rm[F]\)
全体にたくわえられる電荷 Q はそれぞれのコンデンサに貯められる電荷の合計になります。
各コンデンサにかかる電圧は同じになります。
各コンデンサにかかる電圧は同じです。
\(Q=CV\) から
\(Q=Q_1+Q_2+Q_3+・・・+Q_n\)
\(Q=C_1V+C_2V+C_3V+・・・\)\(+C_nV\)
\(Q=(C_1+C_2+C_3+・・・\)\(+C_n)V=CV\) とすると
\(C=C_1+C_2+C_3+・・・\)\(+C_n\) となります。
コンデンサの公式
静電容量 \(C\) は、コンデンサが電荷 \(Q\) を 蓄える能力 を表しています。
図のようなコンデンサに \(V\) の電圧を加えると、コンデンサには電荷 \(Q\) が貯まります。
コンデンサの関係式
■ 電荷
\(Q=CV\quad\rm[C]\)
■ 静電容量
\(C=\cfrac{Q}{V}\quad\rm[F]\)
静電容量 \(C\) は定数で電圧が \(1V\) のときに、蓄えられる電荷量を表します。
\(C=\cfrac{Q}{V}=\cfrac{Q}{1}=Q\quad\rm[F]\)
■ 電圧
\(V=\cfrac{Q}{C}\quad\rm[V]\)
■ 電界の強さ
\(E=\cfrac{V}{d}\quad\rm[V/m]\)
平行板コンデンサの静電容量
電極の面積を \(S\quad\rm[m^2]\)、電極間の距離を \(d\quad\rm[m]\)、誘電体を \(ε\quad\rm[F/m]\) とする平行板コンデンサがあります。
このような平行板コンデンサの静電容量は次のようになります。
\(C=ε\cfrac{S}{d}\quad\rm[F]\)
\(ε=ε_0ε_s\quad\rm[F/m]\cdots\)誘電率
\(ε_0=8.85×10^{-12}\quad\rm[F/m]\cdots\)真空の誘電率
\(ε_s=\cfrac{ε}{ε_0}\cdots\)比誘電率
\(C=ε\cfrac{S}{d}\quad\rm[F]\)
静電容量の大きさは、面積 \(S\) に比例し、電極の距離 \(d\) に反比例します。
■ 面積に比例
面積 \(S\) の駐車場に、車が3台止められるとすれば、面積を2倍にしたら車が6台止められることになります。
■ 電極間の距離に反比例
これは、磁石の吸引力に結びつけると覚えやすいと思います。
磁石の吸引力は、距離が近くなりほど強くなります。
練習問題
問題1
コンデンサが図のように接続された回路の合成静電容量 \(C\) を求めよ。
<解 答>
コンデンサの並列接続の合成静電容量 \(C\) は加算すれば良いので、次のようになります。
\(C=C_1+C_2+C_3=2+4+8=14\quad\rm[uF]\)
問題2
コンデンサが図のように直列に接続された回路の合成静電容量 \(C\) を求めよ
<解 答>
コンデンサの直列接続の合成静電容量 \(C\) はそれぞれの静電容量の逆数の和になるので、次のようになります。
\(\cfrac{1}{C}=\cfrac{1}{C_1}+\cfrac{1}{C_2}+\cfrac{1}{C_3}\)
\(\cfrac{1}{C}=\cfrac{1}{2}+\cfrac{1}{5}+\cfrac{1}{10}\)
\(\cfrac{1}{C}\)\(=\cfrac{5}{10}+\cfrac{2}{10}+\cfrac{1}{10}\)\(=\cfrac{8}{10}=\cfrac{4}{5}\)
\(\therefore C=\cfrac{5}{4}=1.25\quad\rm[uF]\)
コンデンサの静電容量(キャパシタンス)とは 静電容量とは、コンデンサがどれだけの電荷の量を蓄えることができるかを表します。 キャパシタンスは静電容量の別の呼び方で、「静電容量=キャパシタンス」で同じことをいいます。 同じよ[…]
以上で「コンデンサの容量計算」の説明を終わります。