変圧器の原理

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変圧器の原理

発電所で作られた電気は交流電力で送られている。一般家庭に送られてくるまでには、変圧器で送電や配電の途中で電圧を上げたり下げたりしている。

 

交流電力の電圧の高さを電磁誘導を利用して変えるための電気機器が変圧器というものだ。変圧器は強電に限らず、弱電の電気回路にもとても多く使われている。

 

強電で使われている変圧器は、電柱の上にある柱上変圧器がある。柱上変圧器は6000Vなどの高圧を、家庭で使うような100Vや200Vに変圧している。

 

変圧器の原理を理解するための3つの誘導作用

 

誘導作用というものに、電磁誘導、自己誘導、相互誘導がある。似たようなもので理解しにくいが、変圧器の原理を知るために必要なので簡単に説明しておく。

 

変圧器は相互誘導作用により、交流電圧を簡単に変化させることができます。

 

変圧器の原理を知る電磁誘導


コイルに磁石を近づけたり、遠ざけたりするとコイルに電流が流れる。この現象を電磁誘導という。この時に生じる電圧を誘導起電力、流れる電流を誘導電流という。

 

この現象はコイルを貫く磁界(磁束)の変化によって起こるわけです。つまり磁界が変化しないと電流は流れないのです。

 

●電磁誘導の特徴

  • 磁石を速く動かすほど
  • 磁石の磁力が強いほど
  • コイルの巻数が多いほど

発生する誘導起電力が大きくなる。

 

変圧器の原理を知る自己誘導

ループ状のコイルにおいて、電流を増減させると磁界の大きさも変化する。そして、磁界が変化することにより電磁誘導によって誘導起電力が発生します。

 

この時発生する起電力は元の電流の変化と反対の方向になります。
電流が増加(磁界が大きくなる)→誘導電流は元の電流を減らす方向に流れる。これを自己誘導という。


スイッチを入れた時と切った時の誘導起電力の向きは逆になります。

 

変圧器の原理となる相互誘導

磁気的につながった2つのコイルの回路において、一つは電源を持つ回路(一次コイル)ち、もう一方は電源を持っていない回路(二次コイル)があります。

 

電源のある回路のスイッチを入れると、電流が流れコイルに磁界が発生する。磁気的につながっているので二次コイルに、電磁誘導の起電力が発生します。この現象を相互誘導という。

 

二次コイルに起電力が発生するのは、一次コイルの磁界が変化したときだけです。つまり一次コイルのスイッチを閉じた時と、開いた時にだけ誘導起電力が発生します。

 

●相互誘導の説明

図1-4 のように、磁気的に結合されている磁気回路において、一次コイルに交流電流を流して、磁束を変化させると二次コイルの磁束も変化します。

 

そのために、二次コイルには電磁誘導の法則によって、この磁束の変化をさまたげる方向に、誘導起電力が発生する事になります。

 

また、二次コイルに電流を流してその電流を変化させると、一次コイルに同様な現象が起きます。

 

このように互いのコイルに流れる電流の変化によって、誘導起電力が発生する現象を相互誘導作用といいます。

 

一次コイルの電流が \(⊿t\)秒間に \(⊿I [A]\) 変化して、磁束 \(\phi [Wb]\) だけ変化した時の二次側の、誘導起電力 \(e [V]\) は二次コイルの巻数を \(N_2\) とすると次の式になります。

 

\(e_2=-N_2\cfrac{⊿\phi}{⊿t}[V] \tag{1} \)

 

また、\(e_2 [V]\) は \(\cfrac{⊿I}{⊿t} \) に比例するから、比例定数を \(M\) とすると

 

\(e_2=-M\cfrac{⊿I}{⊿t}[V] \tag{2} \)

 

 

Mは相互インダクタンス(相互誘導係数)といい、単位はヘンリー(H)でコイルの大きさや形状に&よって決まる係数です。

 

式(1)と式(2)から

 

\(N_2\cfrac{⊿\phi}{⊿t}=M\cfrac{⊿I}{⊿t} \)

 

\(N_2⊿\phi=M{⊿I} \)

 

ここで、一次コイルに \(I_1 [A]\) が流れて、二次コイルと鎖交する磁束が \(\phi [Wb]\) 、二次コイルの巻数が \(N_2\) の場合、相互インダクタンス \(M\) は次の式になります。

 

\(N_2\phi=MI_1 \) から、相互インダクタンス

\(M=\cfrac{N_2\phi}{I_1}  [H] \tag{3-3-1-1} \)

 

 

 

変圧器の原理

 

相互誘導作用により二次コイルに起電力が発生することと、コイルの巻数と起電力が比例する。これが変圧器が電圧を変えられる原理です。

 

変圧器の説明

図2-1で一次コイルに加える電圧を \(E_1\) 、二次コイルに生ずる電圧を \(E_2\) 、一次コイルの巻数を \(N_1\) 、二次コイルの巻数 \(N_2\) とした場合。

 

\(E_1とE_2\) の大きさは、それぞれのコイルの巻き数に比例する。従って、二次コイルの巻数を変えることにより、二次電圧を上げたり、下げたりすることができます。

電圧はそれぞれの巻数に比例する。

 

  \(\cfrac{E_1}{E_2}=\cfrac{N_1}{N_2} \)

\(E_2=\cfrac{N_2}{N_1}E_1 \tag{3-3-1-2} \)

 

また、電流はそれぞれの巻数に反比例するので

 

  \(\cfrac{I_1}{I_2}=\cfrac{N_2}{N_1} \)

\(I_2=\cfrac{N_1}{N_2}I_1 \tag{3-3-1-3} \)

 

 

ただし、電力は一定であるため(実際は変圧器の内部にわずかながらの損失がある)

 

  \(\cfrac{E_1}{E_2}=\cfrac{I_2}{I_1} \)

\(E_1I_1=E_2I_2  [VA] \tag{3-3-1-4} \)

 

 

変圧器の使用電圧と電流が決まっていて、二次コイル側の両者の積を変圧器の定格容量という。

 

変圧器の鉄心を成層鉄心で作る理由

 

変圧器は磁束の変化で誘導起電力を発生させて利用していますが、実は渦(うず)電流が鉄心にも流れてこれが熱になって損失になる。とくに電力系の変圧器では、渦(うず)電流損による発熱ロスが大きくなってしまう。

 

そこで、このうず電流を少なくするために、鉄心を薄く切ってそれぞれの境を絶縁して抵抗を大きくして、成層鉄心にする事で損失を小さくしているわけです。

 

渦電流は磁束と垂直の方向、つまり鉄心の断面方向に発生するので、薄い鉄板を何枚も重ねた成層鉄心にすることで、渦電流を抑えることができるのです。

 

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