
ベクトルの書き方の基本
■ ベクトル図の説明
- x軸を実数軸、y軸を虚数軸といいます。
- +x軸の位置を位相ゼロとして、ベクトルを書きます。
- 反時計方向は位相の進み方向になります。時計方向は位相の遅れ方向になります。
■ 位相が同相のときの表示
図の上のようにベクトル(ここでは電圧と電流)が同相のときは、図の下のように1本のベクトルで表示され、始点はゼロから始まります。
抵抗回路のベクトル図
抵抗回路のベクトルは電源電圧、電流、抵抗の電圧降下が同相になるので、基準ベクトルに何をとっても同じになります。
抵抗に流れる 電流 と抵抗にかかる 電圧 の位相は同じになリます。
コイル回路のベクトル図
コイル回路のベクトルは、コイルに流れる電流とコイルに掛かる電圧の間に \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) (90度)の位相差があります。
■ コイルの特徴
コイルに流れる「電流」はコイルに掛かる「電圧」に対して \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 位相が遅れます。
コイルに掛かる「電圧を基準」にすると「電流」は \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 遅れます。
コイルに流れる「電流を基準」にすると「電圧」は \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 進みます。
電圧基準と電流基準のベクトルは、次のようになります。
コンデンサ回路のベクトル図
コンデンサ回路のベクトルは、コンデンサに流れる電流とコンデンサに掛かる電圧の間に \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) (90度)の位相差があります。
●コンデンサの特徴
コンデンサに流れる「電流」はコンデンサに掛かる「電圧」に対して \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 位相が進みます。
コンデンサに掛かる「電圧を基準」にすると「電流」は \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 進みます。
コンデンサに流れる「電流を基準」にすると「電圧」は \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 遅れます。
電圧基準と電流基準のベクトルは、次のようになります。
RL直列回路のベクトルの書き方
- 直列回路では回路の素子に流れる電流が同じになります。
- 電流を基準ベクトルとして、それぞれの素子に掛かる電圧をベクトル表示します。
電流を基準に書く方法
RL直列回路は、回路に流れる電流が同じになります。
- 電流を基準ベクトルとして、x軸に書きます。
- 抵抗の電圧降下は電流と同相になりますので、電流と同相で書きます。
- コイルの電圧は、コイルに流れる電流より \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 進みます。時計方向に書きます。
- 抵抗の電圧降下とコイルの電圧のベクトル和が、電源電圧になります。
電圧を基準に書く方法
- 電源電圧を基準ベクトルとして、x軸に書きます。
- RL直列回路なので、電流は電源電圧に対して遅れ電流になります。遅れ電流として書きます。
- 抵抗の電圧降下は電流と同相になるので、電流と同相に書きます。
- コイルに掛かる電圧は、電流より \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 進みます。
- 抵抗の電圧降下とコイルの電圧のベクトル和が、電源電圧になります。
RL並列回路のベクトルの書き方
- 並列回路では回路の素子に掛かる電圧が同じになります。
- 電圧を基準ベクトルとして、それぞれの素子に流れる電流をベクトル表示します。
電圧を基準に書く方法
- 電源電圧を基準ベクトルとして、x軸に書きます。
- RL並列回路なので、抵抗に流れる電流は電源電圧と同相になります。
- コイルに流れる電流は、コイルに掛かる電圧より \(\cfrac{π}{2}\quad\rm[rad]\) 遅れます。
- 抵抗に流れる電流とコイルに流れる電流のベクトル和が、回路全体に流れる電流になります。
電流を基準に書く方法
RL並列回路のベクトルは、電圧を基準ベクトルで書く方が断然書きやすくなります。
複素数 電気回路の計算などで位相差などの関係を含めた式を表すのに複素数を用いる方法を記号法といいます。 電気工学では電圧に対する誘導性リアクタンスの電流は90度の遅れになりますから、\(-j\) をかければ座標を表せます。 […]
以上で「ベクトルの書き方の基本」の説明を終わります。