磁気と電気は、とても似ている所があります。
しかし、一つだけ大きな違いがあります。
電荷は プラスの電荷 や マイナスの電荷 がそれぞれ別々に存在することができます。
一方で、磁石は N極 と S極 が必ずペアになって存在します。
ここでは、分子磁石や磁石の性質について説明します。
分子磁石
■ 分子磁石
磁石はたとえ、2つに切っても磁石が2つになるだけで
「N極だけ」あるいは「S極だけ」の磁石は、ありません。
そもそも、磁石自体が小さな磁石(分子磁石)の集まりなので、片方の極だけの磁石にならないのです。
磁石が磁力を持つ、おおもとの原因は電子の力にあります。
N極とS極が単独で存在することはできません。
永久磁石は分子磁石という物質の中にある、小さな磁石が集まったものです。
図1のように、磁石を半分にしても
分子磁石の集まりを、半分にすることになるので
N極とS極を持つ、2つの磁石になります。
磁石の性質として磁界はN極から出て
S極に入るのでN極だけの磁石やS極だけの磁石は存在しません。
分子磁石の原理
図2のように、電子は原子核のまわりを回っていますが
私たちの地球と月の関係のように
静電力によって電子は原子核の周りを円運動しています。
そして、電子自体も自転運動(スピン)をしています。
電子がスピンしていることが、分子磁石の最小モデルになっています。
電子のスピンによる磁界
図3のように電子がスピンしているということは
電子の表面に電子のスピンの方向とは
逆方向の電流が流れていることになります。
電子がスピンしていると磁界分布(出て行った磁界がすべて戻ってくる=磁界が閉曲線になる)を生じます。
これが分子磁石の最小モデルです。
磁石をどんどん半分に切っていけば
やがてこの分子磁石の最小モデルまでいくことになります。
しかしこれ以上は切ることは出来ないので磁石は
必ずN極とS極が対になって存在します。
これは磁力の元が電流による磁気作用によっている限り
N極またはS極だけの磁石というのは存在しないことになります。
自然の中にあった磁石
磁石の原料は「鉱石」を元に作られます。
鉱石の中には「磁鉄鉱」といって、天然の磁石になっているものがあります。
磁鉄鉱は磁性を持っていて
そのものが天然の磁石になっています。「マグネタイト」とも呼ばれます。
磁鉄鉱が自然の磁石になるには、何かしらの電気エネルギーが必要です。
たとえば、磁鉄鉱の上に落雷などがあると、自然磁石になることがあります。
磁石の性質
磁石には吸引力や反発力がありますが、目で見ることはできません。
そこで、磁石に働く力を表すために 磁力線 というものを使います。
■ 磁力線の3つの性質
- 磁力線はN極から出てS極に入る。
- 磁力線は互いに交じらわず反発する。
- 磁力線はゴムのように縮もうとする。
同じ極性のときは反発する
同種の磁極(N極とN極またはS極とS極)では
互いに斥力(反発力)が生じる。
極性が異なるときは吸引する
異種の磁極(N極とS極)では
互いに吸引力が生じる。
以上で「N極だけ、S極だけの磁石は作れない!」の説明を終わります。