キルヒホッフの法則

キルヒホッフの法則には 第1法則(電流に関する法則)と第2法則(電圧に関する法則) があります。

■ キルヒホッフの第1法則
電気回路の任意の分岐点において 流入する電流の和は流出する電流の和 に等しい。
または
電気回路の任意の分岐点において 流入する電流の和と流出する電流の和は0(ゼロ)になる。

■ キルヒホッフの第2法則
電気回路の任意の閉回路における 起電力の和は電圧降下の和 と等しい。
または
電気回路の任意の閉回路における 電位差は0(ゼロ) になる。

キルヒホッフの第1法則(電流に関する法則)

■ キルヒホッフの第1法則(1)

電気回路の任意の分岐点において 流入する電流の和は流出する電流の和に等しい。 

■ キルヒホッフの第1法則

図において、キルヒホッフの第1法則では任意の分岐点を P とした時
流入する電流は \(I_1+I_2\)
流出する電流は \(I_3\) なので

\(I_1+I_2=I_3\) が成り立ちます。

■ キルヒホッフの第1法則

図において、キルヒホッフの第1法則では任意の分岐点を P とした時
流入する電流は \(I_1+I_2\)
流出する電流は \(I_3+I_4\) なので

\(I_1+I_2=I_3+I_4\) が成り立ちます。

■ キルヒホッフの第1法則(2)

電気回路の任意の分岐点において 流入する電流の和と流出する電流の和は0(ゼロ)になる。

■ 電流の正負を決めます。

例えば、流入を正(+)、流出を負(-)とします。

例題1

キルヒホッフの第1法則により
流入する電流の和=流出する電流の和 なので
\(15+5=8+I\) から
\(I=12\) [A] 

また、流入する電流の和と流出する電流の和は0(ゼロ) なので
\(15+5-8-I=0\) から
\(I=12\) [A]

例題2

キルヒホッフの第1法則により
流入する電流の和=流出する電流の和 なので
\(I+5+3=2I+1\) から
\(I=7\) [A] 

また、流入する電流の和と流出する電流の和は0(ゼロ) なので
\(I+5+3-1-2I=0\) から
\(I=7\) [A]

キルヒホッフの第2法則(電圧に関する法則)

■ キルヒホッフの第2法則

キルヒホッフの第2法則

電気回路の任意の閉回路において 起電力の和は電圧降下の和と等しい。 
または
電気回路の任意の閉回路において 電位差は0(ゼロ)になる。 
ということができます。

赤い閉回路を考えると、キルヒホッフの第2法則から次の式が成り立ちます。

• 電気回路の任意の閉回路において、起電力の和は電圧降下の和と等しい。 

\(E=R_1I_1+R_2I_2\)

• 電気回路の任意の閉回路における、電位差は0(ゼロ)になる。 

\(+E-R_1I_1-R_2I_2=0\)

■ 任意の閉回路とは何のこと
任意の閉回路とは、どのような回路を通っても
スタートから出発してスタートに戻る回路ということです。

スタートはどこから始めても構いません。
■ 任意の閉回路1

たとえば、図のような 赤い矢印の閉回路 を取る場合

起電力は、電流の方向と同じなので、\(+E \) で正になります。
電圧降下も電流の方向と同じなので \(+R_1I_1\)、\(+R_2I_2\) で正になります。

• 電気回路の任意の閉回路における、起電力の和は電圧降下の和と等しい。 から

\(\large +E=R_1I_1+R_2I_2\)

• 起電力の総和と電圧降下の総和はゼロになる。 から

\(\large +E-R_1I_1-R_2I_2=0\) となります。

■ 任意の閉回路2

図のような 青い矢印の閉回路 を取る場合

起電力は、電流の方向と同じなので \(+E \) で正になります。
電圧降下も電流の方向と同じなので \(+R_1I_1\)、\(+R_3I_3\) で正になります。

• 電気回路の任意の閉回路における、起電力の和は電圧降下の和と等しい。 から

\(\large +E=R_1I_1+R_3I_3\)

• 起電力の総和と電圧降下の総和はゼロになる。 から

\(\large +E-R_1I_1-R_3I_3=0\) となります。

■ 任意の閉回路3

図のような 緑の矢印の閉回路 を取る場合

この閉回路には、起電力がありません。
\(R_2\) の電圧降下は、電流の方向と同じなので \(+R_2I_2\) で正になります。
\(R_3\) の電圧降下は、電流の方向と閉回路の方向が逆なので \(-R_3I_3\) で負になります。

• 電気回路の任意の閉回路における、起電力の和は電圧降下の和と等しい。 から

\(\large R_2I_2=R_3I_3\) となります。

• 起電力の総和と電圧降下の総和はゼロになる。 から

\(\large +R_2I_2-R_3I_3=0\) となります。

起電力と電圧降下については次の記事が参考になります。
■関連記事■ 起電力と電圧降下の正負
閉回路の向きについては次の記事が参考になります。
■関連記事■ 閉回路の向きについて

ループ電流法

キルヒホッフの第2法則を使って回路を解く方法のことを 「ループ電流法」 といいます。

■ ループ電流法の手順

  1. 回路に流れる電流を定義します。
    電流の向きと電流の記号 \(I_1\) のように決めます。自分の好きなように決めて構いません。
  2. 任意の閉回路と向きを決めます。
  3. 閉回路の方程式を立てます。
  4. 立てた連立方程式をときます。

■ 例題1
次の回路に流れる電流をループ電流法で求めよ。

<解答例>
回路に流れる電流の記号と向きを決めます。

次に閉回路と閉回路の向きを決めます。

方程式を立てます。
\(50V-20V=10I+20I\)

\(30I=30\) から

\(I=30\) [A] になります。

練習問題

■ 問題1
次の回路に流れる電流 \(I_1、I_2、I_3\) を求めよ。

<解答例>
1.分岐点 \(\rm P\) における電流の関係は、キルヒホッフの第1法則から

\(I_1-I_2+I_3=0\)
\(I_1+I_3=I_2\cdots(1)\)

2.図の上の回路で矢印の方向に閉回路を考えたとき、キルヒホッフの第2法則から

\(5I_1+20I_2=12\cdots(2)\)

3.図の下の回路で矢印の方向に閉回路を考えたとき、キルヒホッフの第2法則から

\(I_1+I_3=I_2\cdots(1)\)
\(5I_1+20I_2=12\cdots(2)\)
\(10I_3+20I_2=11\cdots(3)\)

式(1)を式(2)に代入すると
\(5I_1+20(I_1+I_3)=12\)
\(25I_1+20I_3=12\cdots(4)\)

式(3)を変形して、式(2)に代入すると
\(20I_2=11-10I_3\)
\(5I_1+(11-10I_3)=12\)
\(5I_1-10I_3=1\cdots(5)\)

式(5)を変形して、両辺を2倍すると
\(20I_3=10I_1-2\cdots(6)\)

式(6)を式(4)に代入すると
\(25I_1+(10I_1-2)=12\)
\(35I_1=14\)
\(I_1=0.4\) [A] 

\(I_1\) を式(6)に代入すると
\(I_3=0.1\) [A] 

\(I_2=I_1+I_3\) ですから
\(I_2=0.4+0.1=0.5\) [A] になります。

■ 問題2
次の回路の電流 \(I_1、I_2\) を求めよ。

<解答例>
ここではループ電流法を使って、回路を解きます。

\(10\) [Ω] に流れる電流を \(I_1-I_2\) とします。

閉回路と向きを決めます。

閉回路1で式を立てます。
\(58+18=6I_1+4I_2\)
\(76=6I_1+4I_2\cdots(1)\)

閉回路2で式を立てます。
\(18=4I_2-(I_1-I_2)×10\)
\(18=-10I_1+14I_2\cdots(2)\)

連立方程式を解きます。
式(1)に5を掛けて、式(2)に3を掛けて足し算をします。
\(380=30I_1+20I_2\)
\(54=-30I_1+42I_2\)

2つの式を足し算します。
\(434=62I_2\)
\(I_2=7\) [A] 

\(I_2\) を式(2)に代入すると
\(18=-10I_1+14×7\)
\(I_1=8\) [A] 

したがって
\(I_1=8\) [A]  
\(I_2=7\) [A] 

\(10\) [Ω] に流れる電流は次のようになります。
\(I_1-I_2=1\) [A] 

以上で「キルヒホッフの法則」の説明を終わります。