重ね合わせの理




重ね合わせの理

重ね合わせの理とは一つの回路中に、複数の電源(起電力)がある場合、各枝路に流れる電流は、各電源(起電力)がそれぞれ単独にあるときに、その枝路に流れる電流の和に等しいというものです。

次のような、簡単な回路を使って説明します。

上図の回路に流れる電流を求めるという問題ならば、電源の値は \(50V – 20V = 30V\) なので、\(30÷5=6A\) と計算できます。

この問題を「重ね合わせの理」を、使って解くと次のようになります。

左側の電源を計算する

まず、左側の \(50V\) の電源を残して、もう一方の電源を短絡します。

すると、この回路に流れる電流 \(I_1=10\hspace{8px}\rm [A]\) になります。

右側の電源を計算する

同様にして、こんどは右側の \(20V\) の電源を残して、左側の電源を短絡させます。

すると、この回路に流れる電流 \(I_2=4\hspace{8px}\rm [A]\) になります。

したがって、元の回路に流れる電流は、\(I=I_1-I_2=10-4=6\hspace{8px}\rm [A]\) になります。

このように、それぞれの回路の計算をして、あとで重ね合わせる計算方法のことを「重ね合わせの理」といいます。

重ね合わせの理(電圧源と電流源が混在する時)

解析方法
電圧源\(\cdots\)短絡して除去します。
電流源\(\cdots\)開放して除去します。

覚え方
電圧源の内部抵抗は非常に小さいので、短絡する。
電流源の内部抵抗は非常に大きいので、開放する。

図の回路のように、電圧源と電流源が混在する時の解析方法を説明します。

例 題
「\(3Ω\) の抵抗に流れる電流\(I\) を求めよ」という問題とします。

考え方
次のように、電圧源だけの回路と電流源だけの回路に分けます。

電圧源だけの回路にする

電流源は、開放して除去します。

この回路の計算すると
\(I_1=\cfrac{4}{3+5}=0.5\hspace{8px}\rm [A]\)

電流源だけの回路にする

電圧源は、短絡し除去します。

\(I_2\) は抵抗が並列接続になっているので、分流の法則から
\(I_2=2×\cfrac{5}{3+5}=1.25\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I=I_1-I_2=0.5-1.25=-0.75\hspace{8px}\rm [A]\) となります。

補足
\(3Ω\)の抵抗に流れる電流 \(I_2\) は、\(I_1\) の向きを正方向とすれば \(I_2\) は逆方向になっているので、\(I=I_1-I_2\) になります。

電流 \(I\) の符号が「マイナス」なので、向きは左向きになります。

練習問題

問題 1

重ね合わせの理を使って、次の回路の電流 \(I_1,I_2,I_3\) を求めよ。

<解 答>
左側の \(48V\) の電源の回路は次のようになります。各電流を求めます。

合成抵抗は \(R_a=2+\cfrac{2×2}{2+2}=3\hspace{8px}\rm [Ω]\) 

\(I_{1a}=\cfrac{48}{3}=16\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{2a}=16×\cfrac{2}{2+2}=8\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{3a}=16×\cfrac{2}{2+2}=8\hspace{8px}\rm [A]\) 

同様にして、右側の \(12V\) の電源回路の各電流を求めます。

合成抵抗は \(R_b=2+\cfrac{2×2}{2+2}=3\hspace{8px}\rm [Ω]\) 

\(I_{2b}=\cfrac{12}{3}=4\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{1b}=4×\cfrac{2}{2+2}=2\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{3b}=4×\cfrac{2}{2+2}=2\hspace{8px}\rm [A]\) 

各枝路の電流 \(I_1・I_2・I_3\) を求める。

\(I_1=I_{1a}-I_{1b}=16-2=14\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_2=I_{2a}-I_{2b}=8-4=4\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_3=I_{3a}+I_{3b}=8+2=10\hspace{8px}\rm [A]\) 

問題 2

重ね合わせの理を使って、次の回路の電流 \(I_1,I_2,I_3\) を求めよ。

<解 答>
左側の \(20V\) の電圧源だけの回路を考えます。
電流源は開放するので次のような回路になります。
各電流を \(I_{1a},I_{3a}\) とします。

合成抵抗は \(R_a=12+4=16\hspace{8px}\rm [Ω]\) 

\(I_{1a}=I_{3a}=\cfrac{20}{16}=1.25\hspace{8px}\rm [A]\) 

同様にして、右側の \(1A\) の電流源回路の各電流を求めます。
電圧源は短絡するので次のような回路になります。
各電流を \(I_{1b},I_{2b},I_{3b}\) とします。

\(I_{2b}=1\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{1b}=1×\cfrac{4}{12+4}=0.25\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_{3b}=1×\cfrac{12}{12+4}=0.75\hspace{8px}\rm [A]\) 

各枝路の電流 \(I_1・I_2・I_3\) を求める。

\(I_1=I_{1a}-I_{1b}=1.25-0.25=1\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_2=I_{2b}=1\hspace{8px}\rm [A]\) 

\(I_3=I_{3a}+I_{3b}=1.25+0.75=2\hspace{8px}\rm [A]\) 

以上で「重ね合わせの理」の説明を終わります。