アフィリエイト広告を利用しています

電気回路の閉回路の向きと起電力の正負と電圧降下の正負の決め方

電気回路の計算をするときに、起電力や電圧降下の正負 を考える必要があります。

電源の起電力が電圧降下の合計と等しくなることで、電気回路は成り立っています。

起電力や電圧降下の正負を正しく理解することは、オームの法則やキルヒホッフの法則を使うときにも必要になります。

ここでは、閉回路の向きと、起電力と電圧降下の正負について説明します。

目次

電気回路の閉回路の向きの決め方

閉回路の向きは 右向き でも 左向き でも、自分の好きなように決めて構いません。

一般的には、起電力の方向に決めるほうが、問題を解きやすくなります。

次のような回路について、閉回路の向きを考えてみます。


■ 閉回路1

図のように閉回路の向きを 右向き にした場合


キルヒホッフの第2法則から起電力の和は電圧降下の和と等しいので

起電力の和は \(10\) [V]

電圧降下の和は \(2×5=10\) [V] なので

\(10=2×5\) [V] になります。

■ 閉回路2

図のように閉回路の向きを 左向き にした場合



キルヒホッフの第2法則から起電力の和は電圧降下の和と等しいので

起電力の和は \(-10\) [V]

電圧降下の和は \(-(2×5)=-10\) [V] なので\(-10=-(2×5)\) [V] になります。

両辺のマイナス符号を取れば、右向きの閉回路と同じ結果になります。

つまり、どの向きに閉回路をとっても良いということです。

起電力の正負 プラス(+)とマイナス(-)の決め方

■ 起電力の向きを理解しましょう

起電力の向きは、図の向きを正負とします。

矢印の始点から終点(先)に向かって電圧は高くなります。 

起電力の正(プラス)の決め方

閉回路の方向と起電力の方向が「同じ場合」、その起電力を 正(プラス) とします。

ただし、電流の向きは、起電力の正負と関係ありません。 

起電力の負(マイナス)の決め方

閉回路の方向と起電力の方向が「逆向きの場合」、その起電力を 負(マイナス) とします。

ただし、電流の向きは、起電力の正負と関係ありません。

電圧降下の正負 プラス(+)とマイナス(-)の決め方

■ 電圧降下の向き

電圧降下の向きは、電流が流れ込む方向が 正(プラス) になります。

■ 電圧降下の正(プラス)

閉回路の方向と電流の流れる方向が「同じ場合」、その電圧降下を 正(プラス) とします。

電圧降下は図のように、仮想の電池を考えるとわかりやすくなります。

■ 電圧降下の負(マイナス)

閉回路の方向と電流の流れる方向が「異なる場合」、その電圧降下を 負(マイナス) とします。

電圧降下は図のように、仮想の電池を考えるとわかりやすくなります。

起電力と電圧降下の例

回路に流れる電流の向きと閉回路の向きを、図のように仮定して起電力と電圧降下の例を示します。


■ 閉回路Aの場合の正負

  1. \(E_1\) は閉回路の向きと起電力の向きが同じなので \(+E_1\)  になります。
  2. \(R_1\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが同じなので \(+R_1I_1\) になります。
  3. \(R_3\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが同じなので \(+R_3I_3\) になります。

\(E_1=R_1I_1+R_3I_3\) が成立します。

■ 閉回路Bの場合の正負

  • \(E_2\) は閉回路の向きと起電力の向きが同じなので \(+E_2\) になります。
  • \(R_2\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが逆なので \(-R_2I_2\) になります。
  • \(R_3\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが同じなので \(+R_3I_3\) になります。

\(E_2=-R_2I_2+R_3I_3\) が成立します。

■ 閉回路Cの場合の正負

  • \(E_1\) は閉回路の向きと起電力の向きが同じなので \(+E_1\) になります。
  • \(E_2\) は閉回路の向きと起電力の向きが逆なので \(-E_2\) になります。
  • \(R_1\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが同じなので \(+R_1I_1\) になります。
  • \(R_2\) の電圧降下は閉回路の向きと電流の向きが同じので \(+R_2I_2\) になります。

\(E_1-E_2=R_1I_1+R_2I_2\) が成立します。

閉回路の向きの決め方については、次の記事が参考になります。
電気回路の閉回路の向きの決め方

電圧・電流・電圧降下の矢印表現については、次の記事が参考になります。
電圧・電流・電圧降下と矢印表現

キルヒホッフの法則については、次の記事が参考になります。
キルヒホッフの法則を理解して使い方を知りましょう

練習問題

問題1

次の回路の各抵抗に流れる電流を求めよ。

<解答例>

各抵抗に流れる電流と向きを自分で仮定して構いませんので、次のように仮定します。


\(R_3\) に流れる電流を \(I_3\) としても良いのですが、未知数はできるだけ少なくしたほうが計算が楽になります。

どのような閉回路をとっても良いのですが、式を立てるときに正負の向きを正しく捉えることが重要です。

閉回路A


\(110=2I_1+2(I_1-I_2)=4I_1-2I_2\) 

\(110=4I_1-2I_2\cdots(1)\)

閉回路B


\(100=-2I_2+2(I_1-I_2)=2I_1-4I_2\) 

\(100=2I_1-4I_2\cdots(2)\)

式(1)の両辺を2倍します。
\(220=8I_1-4I_2\cdots(3)\)

式(3)の両辺と式(2)の両辺を引き算します。
\(220-100=8I_1-2I_1\) 

\(6I_1=120\) から

\(I_1=20\) [A] 

式(2)に \(I_1\) の値を代入すると

\(100=2×20-4I_2\) から

\(I_2=-15\) [A] ですから、仮定した向きと逆の向きに流れることになります。

各抵抗の電流の値と向きを示すと、次のようになります。

問題2

次のような回路で抵抗 \(R_3\) に流れる電流がわかっている時、抵抗 \(R_3\) の値と両端に掛かる電圧を求めよ。


<解答例>

電圧降下で考える。回路に流れる電流を、図のように仮定します。

\(R_2\) に流れる電流 \(I_2\) を \(I_1\) を使って表します。

\(I_1+I_2=35\) から \(I_2=35-I_1\) になります。


\(R_1\) と \(R_2\) の電圧降下が電源の電圧の差になります。

\(110-100=2I_1-2(35-I_1)\) 

\(4I_1=80\) 

\(I_1=20\) [A] 

\(I_2=15\) [A] 

各抵抗での電圧降下は、図のようになります。


\(a\) の電圧は

左側の電源から見ると

\(110-40=70\) [V] 

右側の電源から見ると

\(100-30=70\) [V] で同じになります。

抵抗 \(R_3\) の値は

\(R_3=\cfrac{70}{35}=2\) [Ω] になります。

以上で「電気回路の閉回路の向きと起電力の正負と電圧降下の正負の決め方」の説明を終わります。

目次