テブナンの定理は、「複雑な回路を等価回路」に変換する定理です。
テブナンの定理により、等価電源と等価抵抗 を求めて「等価回路」に変換します。
等価回路に変換すれば、複雑な電気回路を オームの法則 を使って目的の電流を簡単に求めることができます。
テブナンの定理とは、複雑な回路を「等価回路」に変換して、任意の場所の電流 を求める定理です。

複数の電源や抵抗がある回路の問題を解く場合、キルヒホッフの法則を使って解くこともできます。
キルヒホッフの法則で、問題を解く場合、連立方程式が必要になるので、計算が複雑になり計算ミスの確率が高くなります。
テブナンの定理の解析手順
次のような回路の電流 \(I\) を求める場合

テブナンの定理の手順
1 負荷抵抗を切り離して、端子をABとする。
AB間の電圧が 等価電源\(V_0\) になります。

2 等価抵抗 \(R_0\) を求めます。
(回路内の電圧源は 全て短絡します。)
(回路内の電流源は 全て開放します。)
AB間の抵抗が等価抵抗 \(R_0\) になります。

3 テブナンの定理で、等価回路に変換します。
求める電流 \(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}\) で求められます。

テブナンの定理の解析例1(電圧源の回路の場合)
次の問題を使って、テブナンの定理の使い方を説明します。
この問題は、電源が2つで抵抗が3つあります。
4Ωに流れる電流を求めます。

等価電源を求める手順
ループ電流から等価電源を求める方法
負荷抵抗を切り離し、回路に流れる電流 \(I_0\) を求めます。
\(I_0=\cfrac{15-6}{3+6}=\cfrac{9}{9}=1\) [A]

等価電源 \(V_0\) を求める

左の回路から
電池の電圧は上向きで15V、抵抗の電圧降下は下向きで3Vなので
等価電源 \(V_0=15-3=12\) [V]
右の回路から
電池の電圧は上向きで6V、抵抗の電圧降下は上向きで6Vなので
等価電源 \(V_0=6+6=12\) [V]
左右どちらかを求めれば良いことになります。
等価電源 \(V_0=12\) [V]
等価抵抗を求める手順
全ての電圧源を短絡します。
AB間の抵抗は、3Ωと6Ωの並列接続です。
和分の積を使って合成抵抗を求めます。
\(R_0=\cfrac{3×6}{3+6}=2\) [Ω]

等価回路に変換する
等価回路に変換して、負荷電流 \(I\) を求める。
\(I=\cfrac{12}{2+4}=2\) [A]

テブナンの定理の解析例2(電流源の回路の場合)
図のような電流源の回路を例にして、3Ωの抵抗に流れる電流を「テブナンの定理」で求めます。

手順1(抵抗を切り離す)
図のように、3Ωの抵抗を切り離します。

手順2(等価電源を求める)
等価電源 \(V_0\) を求める。

端子AB間の電圧が、等価電源になります。端子AB間の電圧は、電圧降下と等しくなります。オームの法則から 12A✕(2Ω+4Ω)=72V

等価電源は \(V_0=72\) [V] になります。
手順3(等価抵抗を求める)
等価抵抗 \(R_0\) を求める
端子AB間の抵抗が、等価抵抗になります。等価抵抗を求めるには、図のように回路内の電流源を開放します。

電流源を開放したので、端子ABから見た抵抗は、2Ωと4Ωの直列接続です。直列接続の抵抗は、足せばよいので6Ωになります。
等価抵抗 \(R_0=6\) [Ω]
手順4(等価回路に変換する)
テブナンの定理
\(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}\)
- \(V_0\)・・・等価電源
- \(R_0\)・・・等価抵抗
- \(R\)・・・負荷抵抗
等価電源と等価抵抗が求められたので、元の回路を等価回路に変換します。
等価電源 \(V_0=72\) [V]
等価抵抗 \(R_0=6\) [Ω]
求める電流は、3Ωの抵抗に流れる電流です。等価回路の回路図を見れば分かる通り、抵抗の直列回路なのでオームの法則で求めることができます。

求める電流 \(I\) は
\(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}\)\(=\cfrac{72}{6+3}=8\) [A] になります。

2Ωと4Ωの直列接続に流れる電流
2Ωと4Ωの直列接続に流れる電流は、12A-8A=4A になります。
\(\cfrac{2}{6}×12=4\) [A]
テブナンの定理の解析例3(電圧源と電流源が混在する場合)
電圧源と電流源が混在する場合の例題です。4Ωに流れる電流 \(I\) を求めます。

問題を解く手順
1 等価電源を求めるために、重ね合わせの理を使って電圧源の回路と電流源の回路に分けて計算する。
2 電圧源の回路 \(V_1\) と電流源の回路の \(V_2\) 計算結果を、重ねて等価電源 \(V_0\) を求める。
3 電圧源を短絡し、電流源を開放して、等価抵抗を求める。
4 等価回路に変換し、4Ωに流れる電流 \(I\) を求めます。
等価電源を求める
求める電流の回路を切り離します。

電圧源を残した回路の、AB間の電圧 \(V_1\) を計算する。
電流源は、開放します。

電圧源を残した回路は、次のように簡略化できます。
回路に電流は流れないので、\(V_1=5\) [V] になります。

次に電流源を残した回路の、AB間の電圧 \(V_2\) を計算する。
電圧源は、短絡します。

電流源を残した回路は、次のように簡略化できます。
5Ωの抵抗に2Aの電流が流れるので、10Vの電圧降下になります。\(V_2=10\) [V] になります。

等価電源 \(V_0\) は、\(V_1+V_2\) になりますので
\(V_0=V_1+V_2=5+10=15\) [V]
等価抵抗を求める
電圧源は短絡し、電流源は開放した時のAB間の合成抵抗が等価抵抗 \(R_0\) になります。

電流源は開放されているので、次のように簡素化できます。
等価抵抗 \(R_0=5\) [Ω] になります。

等価回路に変換する
等価回路に変換して、AB感に4Ωの抵抗をつなぎます。
4Ωに流れる電流は、\(I=\cfrac{15}{5+4}=\cfrac{5}{3}\) [A] になります。

テブナンの定理でブリッジ回路を解く
図のようなブリッジ回路の電流 \(I\) [A] を、テブナンの定理で求める場合、等価電源 \(V_0\) を、電位から求めることができます。

手順1(等価電源を求める)
10Ωの抵抗を切り離し、それぞれの端子をABCDとします。

手順2(等価電源を求める)
等価電源 \(V_0\) を求める。電源のマイナスを基準として、0Vとします。各端子の電位は次のようになります。

- A\(\cdots100\) [V]
- B\(\cdots100-20=80\) [V]
- C\(\cdots100-40=60\) [V]
- D\(\cdots 0\) [V]
等価電源 \(V_0=V_{BC}\) は、Bの電位 80V、Cの電位 60V から
等価電源 \(V_0=80-60=20\) [V] になります。

手順3(等価抵抗を求める)
等価抵抗は、端子BCから見た時の抵抗になります。等価抵抗を求めるために、回路内の電源を短絡し整理すると、2つの並列抵抗が「直列接続」になっています。

等価抵抗 \(R_0\) は、BCから見た合成抵抗になります。
等価抵抗 \(R_0=\cfrac{20×80}{20+80}+\cfrac{40×60}{40+60}=40\) [Ω] となります。
テブナンの定理で等価回路に変換する
テブナンの定理
\(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}\)
- \(V_0\)・・・等価電源
- \(R_0\)・・・等価抵抗
- \(R\)・・・負荷抵抗
等価電源 \(V_0=80-60=20\) [V]
等価抵抗 \(R_0=\cfrac{20×80}{20+80}+\cfrac{40×60}{40+60}=40\) [Ω]
元の回路を等価電源と等価抵抗で等価回路に変換します。

\(R\) [Ω] に流れる電流 \(I\) [A] は、次のようになります。
\(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}=\cfrac{20}{40+10}=0.4\) [A]
テブナンの定理を検証する
テブナンの定理で解析した時の、元の回路と等価回路の電圧や電流の値の違いについて検証します。
次の回路の例題を解いて検証をします。4Ωの抵抗に流れる電流 \(I\) をテブナンの定理で求めます。

等価電源を求める
4Ωの抵抗を回路から切り離して、等価電源を求めます。
等価電源の値は、20Ωの端子電圧になります。等価電源は、回路内を流れる電流 \(I_0\) が分かれば求められます。

\(I_0=\cfrac{100}{25}=4\) [A] から
\(V_0=100-5×4=80\) [V]
等価抵抗を求める
テブナンの定理により、電源を短絡します。等価抵抗は、5Ωと20Ωの並列接続です。

抵抗の並列接続なので、和分の積で求めます。
等価抵抗 \(R_0=\cfrac{5×20}{5+20}=4\) [Ω]
テブナンの定理で等価回路に変換する
等価電源 \(V_0=100-5×4=80\) [V]
等価抵抗 \(R_0=\cfrac{5×20}{5+20}=4\) [Ω]
元の回路を等価回路にすると、次のようになります。

求める電流 \(I\) は
\(I=\cfrac{80}{8}=10\) [A] になります。
テブナンの定理の各要素の検証
等価回路の各要素の値は、次の図のようになります。

等価電源の値は、\(V_0=80\) [V]、等価抵抗の値は、\(R_0=4\) [Ω]、等価抵抗 \(R_0=4\) の電圧降下は40V、負荷4Ωの抵抗の電圧降下は40V、流れる電流は10Aになります。
元の回路の各要素の値は、次のようになります。

回路の合成抵抗は
\(R=5+\cfrac{20×4}{20+4}=\cfrac{25}{3}\) [Ω]
回路全体を流れる電流 \(I_1\) は
\(I_1=\cfrac{100}{\cfrac{25}{3}}=12\) [A]
4Ωに流れる電流 \(I\) は
\(I=\cfrac{40}{4}=10\) [A]
回路全体を流れる電流は、\(I_1=I+I_2\) の関係があります。
\(I_2=I_1-I=12-10=2\) [A]
\(I_2=I_1×\cfrac{4}{20+4}=2\) [A]
4Ωと20Ωの抵抗に掛かる電圧は40V
5Ωの抵抗に掛かる電圧は60Vになります。
まとめ
テブナンの定理のまとめ
- 電流を求めたい部分を切り離します。
- 等価電源 \(V_0\) を求めます。
- 等価抵抗 \(R_0\) を求めます。
(回路内部の電圧源はすべて短絡して除去します。)
(回路内部の電流源はすべて開放して除去します。) - 等価回路に変換します。
- 目的の電流 \(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}\) [A] を求めます。
以上で「テブナンの定理の使い方【任意の場所に流れる電流を求める定理】」の説明を終わります。