ミルマンの定理




ミルマンの定理は、「複数の電源と抵抗が、並列に接続された回路」において、端子電圧を簡単に求めることができる定理のことです。

ミルマンの定理は「全電圧の定理」、「帆足(ほあし)-ミルマンの定理」ともいわれます。

図のような、回路があったとき、端子電圧を \(V\)、電流を \(I\)、コンダクタンスを \(G\) とすると

\(V=\cfrac{I}{G}\) [V] で求めることができます。

\(V=\cfrac{I}{G}\) [V] の式は

\(I=\displaystyle \sum _{ i=1 }^n\cfrac{E_i}{R_i}\)

\(G=\displaystyle \sum_{i=1}^n\cfrac{1}{R_i}\) とすると

\(V= \cfrac{ \displaystyle \sum _{ i=1 }^n\cfrac{E_i}{R_i}}{\displaystyle \sum_{i=1}^n\cfrac{1}{R_i}}\) になります。

∑(シグマ)の意味
たとえば、\(\displaystyle \sum_{i=1}^{4}R_i\) という式の意味は、次のようなことです。

\(R_i\) の \(i\) に 1 から 4 を代入して、合計するということで

\(\displaystyle \sum_{i=1}^{4}R_i=R_1+R_2+R_3+R_4\) と言う意味になります。

ミルマンの定理の使い方

ミルマンの定理は、図のような複数の電源と複数の抵抗が、並列に接続された回路の端子電圧 \(V\) を求めるときに使います。

ミルマンの定理を使うには、次の図のように \(n\) 個の回路に考えます。

1.各回路のコンダクタンスを求める。

各回路ごとに、コンダクタンスを求めて、それぞれのコンダクタンスを足し算します。

合成コンダクタンス \(G\) は

\(G=G_1+G_2\cdots G_{n-1}+G_n\)=\(\cfrac{1}{R_1}+\cfrac{1}{R_2}+\cdots \cfrac{1}{R_{n-1}}+\cfrac{1}{R_n}\) となります。

2.各回路の電流を求める。

各回路ごとに、電流を求めて、それぞれの電流を足し算します。

このときに、求めた電流値はミルマンの定理を使うためのもので、実際に回路の枝路に流れる電流値とは異なります。

\(I=I_1+I_2\cdots I_{n-1}+I_n\)=\(\cfrac{E_1}{R_1}+\cfrac{E_2}{R_2}+\cdots \cfrac{E_{n-1}}{R_{n-1}}+\cfrac{E_n}{R_n}\) となります。

3.端子電圧を求める。

端子電圧は、次の式から求められます。
\(V=\cfrac{I}{G}\)=\(\cfrac{ \displaystyle \sum _{ i=1 }^n\cfrac{E_i}{R_i}}{\displaystyle \sum_{i=1}^n\cfrac{1}{R_i}}\) [V]

例題1

わかりやすいように、数値を入れた回路で計算をしてみます。

ミルマンの定理を使って、回路図の \(6\) [Ω] にかかる電圧 \(V\) を求めま
す。

ミルマンの定理を使えば、端子電圧 \(V\) は、次のように求められます。

1.合成コンダクタンスを求める。

回路ごとにコンダクタンス \(G\) を求めます。

コンダクタンスは並列になっているので、それぞれのコンダクタンスを足し算をすれば良いことになります。

\(G=\cfrac{1}{5}+\cfrac{1}{6}+\cfrac{1}{10}=\cfrac{14}{30}\) [S] 

2.ミルマンの定理の電流を求める。

それぞれの回路について、電流を求めます。

合成電流は、それぞれの電流を足し算します。

\(I=\cfrac{21}{5}+\cfrac{0}{6}+\cfrac{14}{10}=\cfrac{168}{30}\) [A]

抵抗だけで起電力がないときは、単純に起電力をゼロにすれば良いことになります。

3.端子電圧を求める。

求める端子電圧 \(V\) は、ミルマンの定理から

\(V=\cfrac{I}{G}\)=\(\cfrac{\cfrac{168}{30}}{\cfrac{14}{30}}\)=\(\cfrac{168}{14}=12\) [V]

このように、ミルマンの定理ではコンダクタンスと電流を、回路ごとに求めて計算すれば良いので簡単です。

例題2

図の回路において、電圧 \(V\) と各枝路の電流 \(I_1、I_2、I_3\) を求める。

●端子電圧を求める
1.合成コンダクタンスを求める。

ミルマンの定理の、合成コンダクタンス \(G\) は

\(G=\cfrac{1}{2}+\cfrac{1}{4}+\cfrac{1}{6}\)=\(\cfrac{6+3+2}{12}=\cfrac{11}{12}\)

2.合成電流を求める。

ミルマンの定理の合成電流 \(I\) は

\(I=\cfrac{8}{2}-\cfrac{10}{4}+\cfrac{12}{6}=\cfrac{42}{12}\)

3.端子電圧 \(V\) を求める。

\(V=\cfrac{I}{G}\) の式から

\(V=\cfrac{\cfrac{42}{12}}{\cfrac{11}{12}}=\cfrac{42}{11}\) [V] になります。

中央の起電力は、他の起電力と向きが逆になっているので、他の起電力の向きを「正」としたら、中央の起電力の向きは「負」にしなければなりません。

●各枝路の電流を求める

1.電流 \(I_1\) を求める。

電流 \(I_1\) を求めるには、次のように考えれば良いことになります。

端子電圧 \(V\) は \(8\) [V] と \(2\) [Ω] の電圧降下の合計です。

したがって、\(V=8+2I_1\)

\(I_1=\cfrac{1}{2}(V-8)=\cfrac{1}{2}(\cfrac{42}{11}-8)\)=\(\cfrac{1}{2}(\cfrac{42-88}{11})=-\cfrac{23}{11}\) [A]

\(I_1\) はマイナス符号になりますので、図の向きと反対の向きに流れることになります。

2.電流 \(I_2\) を求める。

同様にして、\(V=-10+4I_2\)

\(I_2=\cfrac{1}{4}(V+10)=\cfrac{1}{4}(\cfrac{42+110}{11})\)=\(\cfrac{1}{4}(\cfrac{152}{11})=\cfrac{38}{11}\) [A]

電流の向きは、図の向きと同じ向きになります。

3.電流 \(I_3\) を求める。

同様にして、\(V=12+6I_3\)

\(I_3=\cfrac{1}{6}(V-12)=\cfrac{1}{6}(\cfrac{42-132}{11})\)=\(-\cfrac{1}{6}(\cfrac{90}{11})=-\cfrac{15}{11}\) [A]

電流の向きは、図の向きと反対の向きになります。

以上で「ミルマンの定理」の説明を終わります。




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