夏などに地表で暖められた空気が、上昇してできる積乱雲があります。
雷は雲の中で氷の粒が衝突することで、雲の中に 静電気 がたまります。
ためられた静電気が限界に達した時に、地上に放電することで起こるのがカミナリです。
雷のでき方や雷の持つエネルギー、雷から身を守る方法について説明します。
雷はどのようにできるか?
雷の正体 は乾燥した冬などにドアのノブや車に乗るときなどに
よく「バチッ」とくるあの静電気です。
ただ静電気といっても普段目にするような
ものではなくもっと大規模に発生するものです。
雷を発生させるのは強い上昇気流によって
上空に著しく発達した雲で 積乱雲 といわれています。
よく言われる 入道雲 というのも積乱雲です。
図のように雲の中で静電気が起きるのは
雲の中にある氷の粒がぶつかり合ってその摩擦によってできた電気がたまったものです。
雲の中で氷の粒が衝突すると、一方の粒子が電子を放出します。
電子を失った方がプラスに帯電し
放出された電子を吸収した方がマイナスに帯電します。
この時、小さい氷の粒がプラスに帯電し、大きな粒はマイナスに帯電します。
小さい粒は軽いので雲の上の方に貯まり、大きな粒は重いので雲の下側に貯まります。
このようにして、電気がドンドン貯まっていくのですが、抱えきれなくなると電気が一気に、大地の方に流れます。
雲の下側にマイナスが貯まるので、大地にプラスが現れます。
これが、雷になります。
■ 静電誘導
この現象を 静電誘導作用 といいます。
電気の部品にコンデンサがありますが、コンデンサの原理はこの作用を利用したものです。
カミナリはすごいエネルギーをもっている
雷が大地に放電することを「落雷」といいますが
この時のエネルギーはどのくらいなのでしょうか。
■ 雷のエネルギー
一般的に雷のエネルギーは
- 電圧が 数億V(ボルト)~数10億V
- 電流が 数万A(アンペア)~数10万A といわれています。
大きすぎて想像しづらいのですが、家庭のコンセントに来ている電圧は100Vです。
100W(ワット)の電球をつけたときに流れる電流の大きさが1Aです。
それと比べると雷エネルギーがどれだけ大きいかが分かると思います。
しかし、雷が放電する時間はとても短く、わずか0.1秒程度で本当に瞬間的であることが分かります。
そのため、一度の落雷で発生するエネルギーの量としては
それほど大きいものではなく数10kWh~数100kWhです。
これは、1つの家庭で消費すると数日から100日程度という試算があります。
雷のエネルギーは、瞬間的にはものすごく大きいので
電気機器に落雷があった時の影響は
大きいのですが実用として使うには難しいということになります。
雷が光ってから音がするのはなぜ?
雷(カミナリ)が落ちる(落雷)というのは
雲に貯まった静電気が、空中で放電するのでなく地上に放電する現象です。
雷(カミナリ)は、ピカッと進んで一休みして、さらにピカッとしてジグザグに進んでいきます。
ジグザグに進むように見えるのは、雷が放電する時にも実は通りやすい所とそうでない所があるからです。
雷(カミナリ)は実は最も通りやすい道を、さがしながら進んでいくのでジグザグと進むわけです。
どうして、雷はゴロゴロと鳴るのでしょうか。
雷の放電が起きた所では、空気の絶縁をやぶって電気が流れます。
放電が起きた周囲では、空気の温度が1万度以上に熱せられて
空気が高温高圧になったために急激に膨張し、その圧力は数万気圧にもなります。
この時の空気の爆発音が、ゴロゴロという音になります。
光より音の伝わる速度が遅い
ピカッと光ったあとに音が聞こえますが、これは光の速度と音の速さが違うために起こることです。
光と音の速度
- 光の速度は毎秒30万kmで、1秒間に地球を7周半するとたとえられます。
- 音の速度は毎秒340mです
光は毎秒30万kmなので一瞬で見えますが、光が見えてから音が聞こえるまでの時間で、カミナリまでのおよその距離が分かります。
たとえば、音が聞こえるまで5秒かかったとすれば
5秒×340m=1700m=1.7km 離れていることになります。
■ 雷の音が聞こえたら危険のシグナル
雷の音が聞こえたら、すぐに安全な場所へ避難しなくてはなりません。
上の例で、1.7kmということは遠くに感じるかもしれませんがそうではないのです。
カミナリ雲の大きさは、数10kmもあるのです。
雷の音が聞こえたということは、もうすでにカミナリ雲の下にいると、考えなくてはなりません。
夏に限らない雷ですが、積乱雲が発生しやすい夏場には、釣りやゴルフ、キャンプなどのレジャーで落雷に遭いやすいのです。
雷鳴が聞こえたら、すぐに安全なところへ避難する方が良いでしょう。
雷から身を守る方法
落雷は上空にためられた電気が貯えきれなくなって、地表に放電する現象です。
「安全な場所」といえるのは、鉄筋コンクリートの建築物や自動車、電車、バスなどの乗り物は比較的安全といえます。
やむを得ず外出し、近くで雷鳴が聞こえたら、一刻も早く避雷施設のある建物に避難するというのが一番安全です。
「音が聞こえるけど大丈夫」などと、安易に考えないことが大切です。
雷の音が聞こえたということは、すぐ近くに雷があると考えて間違いありません。
大抵高いビルの屋上には避雷針が設置されていますので、近くに高いビルなどがあればそこに避難するのが安全です。
家の中では、屋外よりもはるかに安全ですが、100%安全とは言えませんから注意が必要です。
特に注意すべきなのは、電線などに落雷があると、その電線を伝わってコンセントにつながっている、電気製品が壊れたりすることもあります。
電気製品を守るには、雷サージを防ぐタップがついたコンセントを使うか、電気製品(特にパソコンやテレビなどは衝撃に弱い)はコンセントから抜くのが良いです。
車の中は意外に安全
車に乗っている時に雷にあってしまったら、車の中にいた方が安全というのは本当です。
人工的な雷を起こす装置の下に、ダミーの人形をのせた車で実験するものがあります。
車に落雷すると、雷が車のボディの表面を通って地面に抜けていきます。
しかし、もし車内の金属部分に触れていると感電する危険があります。
車内で金属部分に触れないようにして、できるだけ窓から離れている方が良いそうです。
ですから、車に乗っていた時に雷にあったら車にのったままで、落雷のなさそうな場所へ避難するのが最も安全な方法と考えられます。
人工的な雷の実験のように、車はボディが金属ですからたとえ直撃しても、車の表面を電気が流れるので、中にいる人には危害が及ばないようです。
「タイヤがゴムで出来ているので電気が流れないのでは」と、考えてしまいそうですが実はその心配はありません。
今のタイヤはカーボンが混ざっていて、タイヤの表面は導電性になっているのです。
そのうえ、雷の電圧は数億V(ボルト)~数10億Vという大きさですから、雷にとっては、ほとんどのものが絶縁物にはならないのです。
ですから、落雷時の強力な電気の前ではたとえ、タイヤがゴムであっても無力であり絶縁にはならないのです。
もし、車の中にいるのならば、いい加減なところに避難するよりも車の中にいる方がよほど、安全であると言えます。
しかし、いくら車の中が安全とは言っても、万が一ということもありますから一刻も早く車が落雷に遭わなそうなところに、逃げ込んでから車の中にいる方が良いといえます。
雷(カミナリ)を避けるのに危険なところ
雷はその性質からいって、高いところやとがった物に落ちやすく、避雷針はこの性質を利用しています。
屋外で危険なところはゴルフ場、テニスコート、サッカー場のフィールド、河原や海岸などの広い平坦地が危険です。
安全に避難する場所がない場合は、しゃがんで姿勢を低くし、くぼ地などの低い場所に移動する。
また、建物の中でも避雷施設のない休憩所などの簡易な建物では、柱の近くにいると屋根から伝わった、雷が飛び移り感電する可能性があることを知っておいた方が良いです。
実際にこのような場所で、事故にあっている人がいます。
■ 高い木があるところでの避難での注意
避難場所としては望ましくはないが、どうしてもそこしかないのであれば、木のそばからできるだけ放れることが必要です。
雷は直撃だけでなく、側雷撃というものが非常に危険です。
雷での死傷亡事故は側撃を受けたケースが大部分です。
避難するポイントは幹から離れること、そして、枝や葉先からも体が2m以上離れて姿勢を低くすることが有効です。
この距離が非常に重要で、樹木の枝などを伝わって、二次的に放電する現象で側撃雷によるものも多いとされています。
以上で「雷(カミナリ)の正体」の説明を終わります。