避雷針(ひらいしん) は建物や建造物を雷や落雷から守るための仕組みです。
避雷針 を設置して雷(カミナリ)を誘うことで、避雷針に落雷をさせるものです。
避雷針 を設置することで落雷を誘うことはできますが、落雷による 地電位上昇 という弊害も起こります。
一般的的な避雷針というものは、雷を避けるものではなく呼び込むものです。
避雷針の仕組み
雷雲が発生すると雲の上部に プラスの電気 が貯まり、雲の下部に マイナスの電気 が貯まります。
雷雲が発生すると大地に プラスの電気 が貯まります。
避雷針もプラスの電気が誘導されます。
雷雲に電気がどんどん貯まってくると、避雷針から放電が起こります。
これを お迎え放電 といいます。
避雷針による お迎え放電 により、雷電流の電気的な通路ができます。
これにより、本格的な落雷が発生することになります。
避雷針による影響
カミナリを避雷針に誘導してカミナリのエネルギーを
大地に吸収させる方法は安全性などを考えると問題があります。
避雷針の問題点
- カミナリのエネルギーが大きいので、たとえ避雷針に落ちても周囲に電磁的な影響がある。
- 大地に逃がしても「地電位上昇」などの影響がある。
- 必ず避雷針に落雷するとは限らない。
- 落雷により、火災が発生したりすることがある。
落雷に関する誤解
- 雷は高いところに落ちるといわれますが、必ずしも高さが重要ではない。
結果的に高いところに落ちる事が多いだけ。 - 雷雲は非常に高いところ(70000メートルとかの高さ)にあるので
地上の数十メートルや数百メートルの違いを判別できません。 - 雷はお迎え放電がある落ちやすいところに落ちます。
- 雷雲と地上との相関関係で決まります。
- 避雷針は100%安全なわけではない。
- 避雷針があれば、必ずそこに落ちるかといえばそんなことはありません。
避雷針の有効範囲は45°から60°の角度といわれます。
建築物の高さが高くなると、保護角は狭くなります。
地電位上昇による弊害
避雷針により雷の電気を地表に流してしまえば安全なようですが
落雷による大きな電流が流れることによる弊害があります。
落雷により火災が発生したり、電子機器や電気設備に故障などの影響が出たりします。
このため最近では、雷を落とさないような方法が用いられて来ています。
雷を落とさない避雷針
今までの避雷針はカミナリを誘導して
カミナリのエネルギーを大地に逃がすという考え方でした。
カミナリが来ても落雷が起こらなければ
「地電位上昇」や「火災」になることもないわけですから
そもそもはじめからカミナリを落とさなければ問題はなくなります。
■ 雷を落とさない避雷針
このようにして考えられたのが、「PDCE」避雷針というものです。
PDCE避雷針の原理は、図のように避雷針の上部のお椀型の間に「絶縁体」を入れます。
避雷針の上部が、静電誘導作用によりマイナスに帯電します。
雷雲の下部にあるマイナスの電気と「PDCE」避雷針のマイナスの電気により、落雷を防ぐことができます。
以上で「避雷針の仕組み」の説明を終わります。