三相電力の公式

スポンサーリンク

三相電力の公式

三相電力の概要

 

平衡三相回路の線間電圧 \(V_l\) 、線電流 \(I_l\) 、力率 \(cosθ\) としたときの三相電力 \(P\) は、次の式で表されます。

$P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ[W] \tag{4-1-9-1}$

 

 

また、平衡三相回路の相電圧 \(V\) 、相電流 \(I\) 、力率 \(cosθ\) としたときの三相電力 \(P_1\) は、次のように単相電力の 3倍になります。

$P=3VIcosθ[W] \tag{4-1-9-2}$

 

三相交流回路の電力を「三相電力」という

 

ここでは、三相回路の公式の求め方を説明します。

 

三相電力を求める手順

  1. 各相の瞬時電力を求める。
  2. 各相の瞬時電力の和が三相電力になる。
  3. ただし、この三相電力は、相電圧と相電流を計算したものになる。
  4. 三相電力を線間電圧線電流の計算式に直す。

 

上図の平衡三相回路において、相電圧(実効値)を \(V [V]\) 、相電流を \(I [A]\) 、相電圧と相電流の位相差を \(θ [rad]\) とすると、各相の瞬時電圧 \(v_a、v_b、v_c\) と瞬時電流 \(i_a、i_b、i_c\) は次のとおりです。 

 

●各瞬時値
\(v_a=\sqrt{2}Vsinωt \tag{1}\)
\(v_b=\sqrt{2}Vsin(ωt-\cfrac{2π}{3}) \tag{2}\)
\(v_c=\sqrt{2}Vsin(ωt-\cfrac{4π}{3}) \tag{3}\)


\(i_a=\sqrt{2}Isin(ωt-θ) \tag{4}\)
\(i_b=\sqrt{2}Isin(ωt-\cfrac{2π}{3}-θ) \tag{5}\)
\(i_c=\sqrt{2}Isin(ωt-\cfrac{4π}{3}-θ) \tag{6}\)

 

\(i_0=i_a+i_b+i_c=0 \tag{7}\)

 

三相電力は各瞬時値の和になる

 

 

各相の瞬時電力を求める

各相の瞬時電力 \(P_a、P_b、P_c\)  は、各瞬時電圧 \(v\) と瞬時電流 \(i\) の積で求めることができます。

$$P_a=v_ai_a[W]$$
$P_b=v_bi_b[W]\tag{8}$
$$P_c=v_ci_c[W]$$

 

したがって、三相電力 \(P\) は
\(P=P_a+P_b+P_c \tag{9}\)

 

 

前項の瞬時値を入れて、各相の瞬時電力 \(P_a、P_b、P_c\) を計算してみます。

 

●\(P_a\) を求める
$$P_a=v_ai_a=\sqrt{2}Vsinωt×\sqrt{2}Isin(ωt-θ)$$
$P_a=2VIsinωt・sin(ωt-θ)\tag{a-1}$

 

 

三角関数の公式から
$$sinα・sinβ=\cfrac{1}{2}\{cos(α-β)-cos(α+β)$$
  $α=ωt β=ωt-θ$ とおいて、式(a-1)に代入する。
$$P_a=2VI×\cfrac{1}{2}[cos\{ωt-(ωt-θ)\}-cos\{ωt+(ωt-θ)\}]$$
$P_a=VI cosθ-VIcos(2ωt-θ)\tag{a-2}$

 

 

●\(P_b\) を求める
$$P_b=v_bi_b=\sqrt{2}Vsin(ωt-\frac{2π}{3})×\sqrt{2}Isin(ωt-\frac{2π}{3}-θ)$$
$P_b=2VIsin(ωt-\frac{2π}{3})・sin(ωt-\frac{2π}{3}-θ)\tag{b-1}$

 

三角関数の公式から
$$sinα・sinβ=\cfrac{1}{2}\{cos(α-β)-cos(α+β)\}$$
  $α=ωt-\cfrac{2π}{3} β=ωt-\cfrac{2π}{3}-θ$ とおいて、式(b-1)に代入する。
$$P_b=2VI×\cfrac{1}{2}[cos\{(ωt-\cfrac{2π}{3})-(ωt-\cfrac{2π}{3}-θ)\}-cos\{(ωt-\cfrac{2π}{3})+(ωt-\cfrac{2π}{3}-θ)\}]$$
$P_b=VI cosθ-VIcos(2ωt-\cfrac{4π}{3}-θ) \tag{b-2}$

 

三角関数の公式から
$$cos(α-β)=cosα・cosβ+sinα・sinβ$$
  $α=2ωt-θ β=\cfrac{4π}{3}$ とおいて、式(b-2)に代入する。

 

$$P_b=VI cosθ-VI\{cos(2ωt-θ)・cos\cfrac{4π}{3}+sin(2ωt-θ)・sin\cfrac{4π}{3}\}$$
$$P_b=VI cosθ-VI\{cos(2ωt-θ)・(-\cfrac{1}{2})+sin(2ωt-θ)・(-\cfrac{\sqrt{3}}{2})\}$$
$P_b=VI cosθ+\cfrac{1}{2}VIcos(2ωt-θ)+\cfrac{\sqrt{3}}{2}sin(2ωt-θ)\tag{b-3}$

 

 

●\(P_c\) を求める
$$P_c=v_ci_c=\sqrt{2}Vsin(ωt-\cfrac{4π}{3})×\sqrt{2}Isin(ωt-\cfrac{4π}{3}-θ)$$
$P_c=2VIsin(ωt-\cfrac{4π}{3})・sin(ωt-\cfrac{4π}{3}-θ)\tag{c-1}$

 

三角関数の公式から
$$sinα・sinβ=\cfrac{1}{2}\{cos(α-β)-cos(α+β)\}$$
  $α=ωt-\cfrac{4π}{3} β=ωt-\cfrac{4π}{3}-θ$ とおいて、式(c-1)に代入する。
$$P_c=2VI×\cfrac{1}{2}[cos\{(ωt-\cfrac{4π}{3})-(ωt-\cfrac{4π}{3}-θ)\}-cos\{(ωt-\cfrac{4π}{3})+(ωt-\cfrac{4π}{3}-θ)\}]$$
$P_c=VI cosθ-VIcos(2ωt-\cfrac{8π}{3}-θ) \tag{c-2}$

 

三角関数の公式から
$$cos(α-β)=cosα・cosβ+sinα・sinβ$$
  $α=2ωt-θ β=\cfrac{8π}{3}$ とおいて、式(c-2)に代入する。
$$P_c=VI cosθ-VI\{cos(2ωt-θ)・cos\cfrac{8π}{3}+sin(2ωt-θ)・sin\cfrac{8π}{3}\}$$
$$P_c=VI cosθ-VI\{cos(2ωt-θ)・(-\cfrac{1}{2})+sin(2ωt-θ)・(\cfrac{\sqrt{3}}{2})\}$$
$P_c=VI cosθ+\cfrac{1}{2}VIcos(2ωt-θ)-\cfrac{\sqrt{3}}{2}sin(2ωt-θ)\tag{c-3}$

 

 

三相電力は単相電力の3倍になる

 

上で求めた瞬時電力を、用いて三相電力を計算する。

 

各相の瞬時電力の合計

$$P=P_a+P_b+P_c$$
$P_a=VI cosθ-VIcos(2ωt-θ)\tag{a-2}$
$P_b=VI cosθ+\cfrac{1}{2}VIcos(2ωt-θ)+\cfrac{\sqrt{3}}{2}sin(2ωt-θ)\tag{b-3}$
$P_c=VI cosθ+\cfrac{1}{2}VIcos(2ωt-θ)-\cfrac{\sqrt{3}}{2}sin(2ωt-θ)\tag{c-3}$

三相電力=3×相電圧×相電流×力率 [W] となる。
$P=3VIcosθ[W]\tag{4-1-9-2}$

 

単相交流回路の電力は$VIcosθ$ ですから、三相電力は単相電力を3倍したものになります。平衡三相回路の三相電力を相電圧と相電流で計算する場合は式(4-1-9-2)を用います。

 

平衡三相Y-Y結線の三相電力

 

平衡三相Y-Y結線の三相電力 \(P [W]\) を、線間電圧 \(V_l [V]\) 、線電流 \(I_l [A]\) で表してみます。

図に示す通り、Y-Y結線の相電圧 \(V\) は線間電圧 \(V_l\) の \(\cfrac{1}{\sqrt{3}}\) 倍、また、相電流 \(I\) は線電流 \(I_l\) と等しいので
$$V=\cfrac{1}{\sqrt{3}}V_l 、I=I_l$$
これを 三相電力の式(4-1-9-2)に代入すると

$P=3VIcosθ [W]\tag{4-1-9-2}$

 

$$P=3×\cfrac{1}{\sqrt{3}}V_lI_lcosθ[W]$$

三相電力 $P=\sqrt{3}×線間電圧×線電流×力率[W]$ になります。
$P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ[W]\tag{4-1-9-1}$

 

平衡三相回路の三相電力を線間電圧と線電流で計算する場合は式(4-1-9-1)を用います。

 

平衡三相Δ-Δ結線の三相電力

 

では、デルタ結線の回路ではどうなるでしょう。
同じく、平衡三相Δ-Δ結線の三相電力 \(P [W]\) 、線間電圧 \(V_l [V]\) 、線電流 \(I_l [A]\) で表してみます。

図に示す通り、Δ-Δ結線の相電圧 \(V\) は線間電圧 \(V\) に等しい、また、相電流 \(I\) は線電流 \(I_l\) の \(\cfrac{1}{\sqrt{3}}\) 倍になります。
$$V=V_l 、 I=\cfrac{1}{\sqrt{3}}I_l$$

 

これを 三相電力の式(4-1-9-2)に代入すると

$P=3VIcosθ[W]\tag{4-1-9-2}$

$$P=3×\cfrac{1}{\sqrt{3}}V_lI_lcosθ[W]$$

三相電力 $P=\sqrt{3}×線間電圧×線電流×力率[W]$ になります。
$P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ[W]\tag{4-1-9-1}$

 

従って、三相電力 \(P\) は平衡三相回路のY-Y結線、Δ-Δ結線のような負荷の結線方式には、関係なく同じ式で求めることができます。

 

三相電力の演習問題

 

演習問題 1

 

<解答>
・平衡三相Δ結線負荷の三相電力Pは、公式から
$P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ$

 

$P=\sqrt{3}×100×5×0.6≒520[W]$

 

 

演習問題 2

 

<解答>
・平衡三相Y結線負荷の線電流は相電流と等しいので、相電流を求める。
相電流は相電圧をインピーダンスで割れば良いので、
線電流=相電流=$\cfrac{相電圧}{インピーダンス}$
線電流$I_l=\cfrac{100}{\sqrt{3}}×\cfrac{1}{5}=\cfrac{20}{\sqrt{3}} {A}$

 

$P=\sqrt{3}×100×\cfrac{20}{\sqrt{3}}×\cfrac{1}{2}=1000[W]$
ただし、$cos\cfrac{π}{3}=\cfrac{1}{2}$

 

スポンサーリンク