電験三種 H25年 理論 問16 問題と解説

目次

問16

問 16

振幅 \(V_m\) [V]の交流電源の電圧 \(v = V_m\sinωt\) [V]をオシロスコープで計測したところ、画面上に図のような正弦波形が観測された。

次の(a)及び(b)の問いに答えよ。

ただし、オシロスコープの垂直感度は5[V]/div、掃引時間は2[ms]/divとし、測定に用いたプローブの減衰比は1対1とする。

(a) この交流電源の電圧の周期[ms]、周波数[Hz]、実効値[V]の値の組合せとして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(b) この交流電源をある負荷に接続したとき \(i=25\cos\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}\right)\) の電流が流れた。

この負荷の力率[%]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

問(a)

■ オシロスコープについて

オシロスコープの画面表示は、縦軸が振幅幅で横軸が時間軸になっています。
オシロスコープの画面は縦横に分割されています。
分割された格子の「1マス」を「1division」といいます。
電圧軸は 5V/div.
時間軸は 2ms/div. のように表します。

ここで問題に戻ると
周期とは一つの変化を繰り返す時間のことで、記号は \(T\)、単位は秒 [s] です。

周波数とは1秒間に繰り返す周期の数のことで、記号は \(f\)、単位は [Hz] です。

周期と周波数には次の関係があります。

\(T=\cfrac{1}{f}\quad\) [s]

\(f=\cfrac{1}{T}\quad\) [Hz]

グラフから 1周期をするまでに、10マスありますので

周期\(=10×2=20\) [ms]

周波数=\(\cfrac{1}{20×10^{-3}}=50\) [Hz]

グラフから最大値\(=5×5=25\) [V] なので

実効値=最大値÷\(\sqrt2=\cfrac{25}{\sqrt2}=17.7\) [V]

以上から、(a)の答えは (3)になります。

問(b)
交流電源の電圧は、次のとおりです。
\(v=V_m\sinωt=25\sinωt\) [V]

回路に流れた電流 \(i\) は、
\(i=25\cos\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}\right)\) です。

位相差を知るためには、電流 \(i\) を \(\sin\) の形にします。

三角関数の公式から
\(\cosθ=\sin(θ+\cfrac{\pi}{2})\) です。

電流の式に代入すると
\(i=25\sin\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}+\cfrac{\pi}{2}\right)\) です。

\(i=25\sin\left(ωt+\cfrac{\pi}{6}\right)\) [A] 

したがって、電流の位相は電圧に対して、\(+\cfrac{\pi}{6}\) [rad]\(=30\) [度] 進んでいます。


力率は \(\cosθ\) なので、
力率\(=\cos\cfrac{\pi}{6}=\cfrac{\sqrt3}{2}\)
力率\(=0.866×100%=86.6%\)
となります。

以上から、(b)の答えは (4)になります。

正解は (a)-(3)、(b)-(4)になります。

目次