電験三種 H25年 理論問題

目次

問1(コンデンサ)

電験三種過去問題の平成25年 理論の問1 平行板コンデンサに関する問題です。

問 1
極板間が比誘電率 \(ε_r\) の誘電体で満たされている平行平板コンデンサに一定の直流電圧が加えられている。
このコンデンサに関する記述 a~e として、誤っているものの組み合わせを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、コンデンサの端効果は無視できるものとする。

a.極板間の電界分布はに \(ε_r\) 依存する。
b.極板間の電位分布はに \(ε_r\) 依存する。
c.極板間の静電容量はに \(ε_r\) 依存する。
d.極板間に蓄えられる静電エネルギーは \(ε_r\) に依存する。
e.極板上の電荷(電気量)は \(ε_r\) に依存する。

(1) a, b  (2) a, e  (3) b, c  (4) a, b, d  (5) c, d, e

<解答例>

電界と電位の間には、次のような関係があります。

\(E=\cfrac{V}{d}\) [V/m] または \(V=Ed \) [V]

この式から、
• 「a.の電界分布」と「b.の電位分布」は \(ε_r\) に依存しないことがわかります。

• c.静電容量は \(C=ε\cfrac{S}{d}\) [F] という公式から \(ε_r\) に依存します。

• d.コンデンサに蓄えられる静電エネルギーは \(W=\cfrac{1}{2}CV^2\) [J] から、静電容量に依存しますので \(ε_r\) にも依存することになります。

• e.電荷(電気量)は \(Q=CV\) [C] という公式から、静電容量に依存しますので \(ε_r\) にも依存することになります。

以上のことから、記述の誤りは 「a、b」 の組み合わせになるので、

正解は(1)になります。

問2(電荷間に働く力)

問 2
図2のように、真空中の直線状に間隔 \(r\) [m] を隔てて、点A、B、C があり、各点に電気量 \(Q_A=4×10{-6}\) [C]、 \(Q_B\) [C]、 \(Q_C\) [C] の点電荷を置いた。
これら三つの点電荷に働く力がそれぞれ零になった。

このとき \(Q_B\) [C] 及び \(Q_C\) [C] の値の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、真空の誘電率を \(ε_0\) [F/m] とする。

<解答例>

• それぞれの位置関係

電界の強さの公式は
\(E=\cfrac{1}{4πε_0}\cdot\cfrac{Q}{r^2}=9×10^9×\cfrac{Q}{r^2}\) [V/m]

電荷に働く力の公式は
\(F=QE\) [N]

●電荷 \(Q_A\) を考える
\(Q_A\) が \(Q_B\)、 \(Q_C\) に作る電界の強さをそれぞれ \(E_{A1}\)、 \(E_{A2}\) とします。

\(E_{A1}=9×10^9×\cfrac{Q_A}{r^2}\)

\(E_{A2}=9×10^9×\cfrac{Q_A}{(2r)^2}\)

• \(Q_A\) が及ぼす力は次のようになります

\(F_A=F_{A1}+F_{A2}=0\)

• \(Q_B\) にかかる力 \(F_{A1}\)
\(F_{A1}=Q_BE_{A1}=9×10^9×\cfrac{Q_AQ_B}{r^2}\)

• \(Q_C\) にかかる力 \(F_{A2}\)
\(F_{A2}=Q_CE_{A2}=9×10^9×\cfrac{Q_AQ_C}{4r^2}\)

• \(Q_A\) にかかる力 \(F_A\)
\(F_A=F_{A1}+F_{A2}\)=0

\(F_A=9×10^9×\cfrac{Q_AQ_B}{r^2}+9×10^9×\cfrac{Q_AQ_C}{4r^2}\)

\(F_A=9×10^9×\cfrac{Q_A(Q_B+\cfrac{Q_C}{4})}{r^2}=0 \cdots(1)\)

式(1) から
\(Q_B=-\cfrac{Q_C}{4} \cdots(2)\)

• 電荷 \(Q_B\) を考える
\(Q_B\) が \(Q_A\) \(Q_C\) に作る電界の強さをそれぞれ \(E_{B1}\) \(E_{B2}\) とします。

\(E_{B1}=9×10^9×\cfrac{Q_B}{r^2}\)

\(E_{B2}=9×10^9×\cfrac{Q_B}{r^2}\)

• \(Q_B\) が及ぼす力 を考える

\(F_B=F_{B1}-F_{B2}\)=0

• \(Q_A\) にかかる力 \(F_{B1}\)
\(F_{B1}=Q_AE_{B1}=9×10^9×\cfrac{Q_AQ_B}{r^2}\)

• \(Q_C\) にかかる力 \(F_{A2}\)
\(F_{B2}=Q_CE_{B2}=9×10^9×\cfrac{Q_BQ_C}{r^2}\)

• \(Q_B\) にかかる力 \(F_B\)
\(F_B=F_{B1}-F_{B2}\)=0

\(F_B=9×10^9×\cfrac{Q_AQ_B}{r^2}-9×10^9×\cfrac{Q_BQ_C}{r^2}\)

\(F_B=9×10^9×\cfrac{Q_B(Q_A-Q_C)}{r^2}=0 \cdots(3)\)

式(3) から
\(Q_A=Q_C \cdots(4)\)

式(4) から
\(Q_C=Q_A=4×10^{-6}\) [C] になります。

式(2) から
\(Q_B=-\cfrac{Q_C}{4}=-\cfrac{4×10^{-6}}{4}\)

\(Q_B=-1×10^{-6}\) [C]

正解は(3になります。

問3(電流と磁界)

問 3
磁界及び磁束に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 1 [m] 当たりの巻き数が \(N\) の無限に長いソレノイドに電流 \(I\) [A] を流すと、ソレノイドの内部には磁界 \(H=NI\) [A/m] が生じる。磁界の大きさは、ソレノイドの寸法や内部に存在する物質の種類に影響されない。

(2) 均一磁界中において、磁界の方向と直角に置かれた直線状導体に直流電流を流すと、導体には電流の大きさに比例した力が働く。

(3) 2本の平行な直線状導体に反対向きの電流を流すと、導体には導体間距離の2乗に反比例した反発力が働く。

(4) フレミングの左手の法則では、親指の向きが導体に働く力の向きを示す。

(5) 磁気回路において、透磁率は電気回路の導電率に、磁束は電気回路の電流にそれぞれ対応する。

<解答例>

問題文を検討すると、(1)、(2)、(4)、(5)は正しいことが記述してあります。

(3) の記述では、働く力 \(F=\cfrac{2I_1I_2}{r}\) [N/m] となります。

したがって、「距離の2乗に反比例する」のでなく、「距離に反比例する」ことになるので (3) は誤りになります。

(1) 1 [m] 当たりの巻き数が \(N\) の無限に長いソレノイドに電流 \(I\) [A] を流すと、ソレノイドの内部には磁界 \(H=NI\) [A/m] が生じる。磁界の大きさは、ソレノイドの寸法や内部に存在する物質の種類に影響されない。

(2) 均一磁界中において、磁界の方向と直角に置かれた直線状導体に直流電流を流すと、導体には電流の大きさに比例した力が働く。

(3) 2本の平行な直線状導体に反対向きの電流を流すと、導体には導体間距離の2乗に反比例した反発力が働く。

(4) フレミングの左手の法則では、親指の向きが導体に働く力の向きを示す。

(5) 磁気回路において、透磁率は電気回路の導電率に、磁束は電気回路の電流にそれぞれ対応する。

正解は(3)になります。

問4(電流が作る磁界と力)

問 4
図のように、透磁率 \(μ_0\) [H/m] の真空中に無限に長い直線状導体Aと1辺 \(a\) [m] の正方形のループ状導体Bが距離 \(d\) [m] を隔てて置かれている。

AとBは \(xz\) 平面上にあり、Aは \(z\)軸と平行、Bの各辺は \(x\)軸又は \(z\)軸と平行である。

A、Bには直流電流 \(I_A\) [A]、 \(I_B\) [A] が、それぞれ図示する方向に流れている。このとき、B に加わる電磁力として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

なお、\(xyz\) 座標の定義は、破線の枠内の図で示したとおりとする。

(1) 0 [N] つまり電磁力は生じない。

(2) \(\cfrac{μ_0I_AI_Ba^2}{2πd(a+d)}\) [N] の +x 方向の力

(3) \(\cfrac{μ_0I_AI_Ba^2}{2πd(a+d)}\) [N] の -x 方向の力

(4) \(\cfrac{μ_0I_AI_Ba(a+2d)}{2πd(a+d)}\) [N] の +x 方向の力

(5) \(\cfrac{μ_0I_AI_Ba(a+2d)}{2πd(a+d)}\) [N] の -x 方向の力

<解答例>

無限に長い直線状導体が作る磁界の強さは、
\(H=\cfrac{I}{2πr}\) になる。

\(H\):磁界の強さ [A/m] 
\(I\):直線状導体に流れる電流 [A] 
\(r\):直線状導体からの距離 [m]

磁束密度 \(B\) [T] と磁界の強さ \(H\) [A/m] の関係は
\(B=μ_0H\) の関係があります。
\(μ_0\) は真空の透磁率 [H/m]

磁界中にある導体に働く力 \(F\) [N] は、
\(F=BIlsinθ\)

\(I\):導体に流れる電流 [A] 
\(l\):導体の長さ [m] 
\(\sinθ\)は磁界と導体の角度 
導体が磁界と垂直のときは、\(\sinθ=1\) 
導体が磁界と平行のときは、\(\sinθ=0\)

したがって、
正方形のループ状導体の上下の辺は、\(\sinθ=0\) になるので
力は発生しません。

\(B=\cfrac{μ_0I_A}{2πd}\) なので
図の \(F_1\) [N] および  \(F_2\) [N] は次のようになります。

\(F_1=\cfrac{μ_0I_A}{2πd}I_Ba\)

\(F_2=\cfrac{μ_0I_A}{2π(d+a)}I_Ba\)

導体 B に加わる電磁力を \(F\) [N] とすると
\(F=F_1-F_2\) で表される。

\(F=\cfrac{μ_0I_A}{2πd}I_Ba-\cfrac{μ_0I_A}{2π(d+a)}I_Ba\)

\(F=\cfrac{μ_0I_AI_Ba^2}{2πd(a+d)}\) \(\cdots\) x方向の力。

正解は(2)になります。

問5(合成抵抗)

電験三種過去問題の平成25年 理論の問5 合成抵抗に関する問題です。この問題は比較的簡単な問題になっています。

問 5
図のように、抵抗 \(R\) [Ω] と抵抗  \(R_X\) [Ω] を並列に接続した回路がある。
この回路に直流電圧 \(V\) [V] を加えたところ、電流 \(I\) [A] が流れた。

\(R_X\) [Ω] の値を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

式を作れば解ける問題です。

抵抗 \(R\) [Ω] に流れる電流を \(I_1\) [A]、抵抗 \(R_X\) [Ω] に流れる電流を \(I_X\) [A] とすると、
\(I=I_1+I_X\)

それぞれの抵抗にかかる電圧は、同じで \(V\) [V] ですから
\(I=I_1+I_X=\cfrac{V}{R}+\cfrac{V}{R_X}=I\)

\(\cfrac{V}{R_X}=I-\cfrac{V}{R}\)

この式を整理すると
\(R_X=\cfrac{VR}{IR-V}\) [Ω]

(別解)
この回路の抵抗は、並列接続なので合成抵抗を \(R_0\) [Ω] とすると「和分の積」から
\(R_0=\cfrac{RR_0}{R+R_0}\)

オームの法則に当てはめると
\(V=I\cfrac{RR_0}{R+R_0}\)

\(V(R+R_X)=IRR_X\)

\(VR=R_X(IR-V)\)

\(R_X=\cfrac{VR}{IR-V}\) [Ω]

正解は(5)になります。

問6(テブナンの定理)

問 6
図の直流回路において、抵抗 \(R=10\) [Ω] で消費される電力 W の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

図の回路において、抵抗 \(R=10\) [Ω] に流れる電流が分かれば、消費される電力は
電力 \(P=I^2R\) として求められる。

• テブナンの定理
任意の点の電流を求めるには、鳳テブナンの定理を使うと容易に求めることができます。

問題の回路を、次のようにします。

1.開放電圧を求める
鳳テブナンの定理のAB間の端子電圧を \(V_0\) とする。
\(V_0=V_1-V_2=60I_1-40I_2\)

\(V_0=60×\cfrac{2}{3}-40×\cfrac{3}{4}\)=10 [V]

2.合成抵抗を求める
鳳テブナンの定理で電源を短絡した時のAB間の合成抵抗を \(R_0\) とする。

\(R_0=\cfrac{60×60}{60+60}+\cfrac{40×40}{40+40}=50\) [Ω]

3.抵抗に流れる電流を求める
抵抗 \(R=10\) [Ω] に流れる電流を \(I\) [A]  とすると
\(I=\cfrac{V_0}{R_0+R}=\cfrac{10}{60}=\cfrac{1}{6}\) [A]

4.等価回路は、次のようになります。

5.消費電力を求める
抵抗 \(R=10\) [Ω] が消費する電力を \(P\) [W] とすると
\(P=I^2R=\left(\cfrac{1}{6}\right)^2×10=\cfrac{10}{36}\)

\(P≒0.28\) [W] になります。

正解は(1)になります。

問7(RC回路の電流)

電験三種過去問題の平成25年 理論の問7 交流回路の抵抗とコンデンサの回路に流れる電流を求める問題です。

問 7
4 [Ω] の抵抗と静電容量が C [F] のコンデンサを直列に接続した RC回路がある。
この RC回路に、周波数 50 [Hz] の交流電圧 100 [V] の電源を接続したところ、20 [A] の電流が流れた。

では、このRC回路に、周波数 60 [Hz] の交流電圧 100 [V] の電源を接続したとき、
RC回路に流れる電流 [A] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

問題文から、次のような回路と見ることができます。

インピーダンスの絶対値は、次の式で表されます。

\(|Z|=\sqrt {R^2+X^2}=\cfrac{V}{I}\)

• 周波数が50Hzの場合
周波数が 50Hz のときの、リアクタンスを \(X_1\) [Ω] とすると
\(\sqrt {4^2+X_1^2}=\cfrac{100}{20}=5\)

上式を解くと
\(X_1^2=9\)

\(X_1=3\) [Ω] 

コンデンサによるリアクタンス \(X_C\) は次のようになります。
\(X_C=\cfrac{1}{ωC}=\cfrac{1}{2πfC}\)

• 周波数が 60Hz の場合
コンデンサによるリアクタンス \(X_C\) は周波数に反比例します。

周波数が\(60\) Hzのときの、リアクタンスを \(X_2\) [Ω] とすると、
\(50:60=\cfrac{1}{3}:\cfrac{1}{X_2}\)

\(X_2=\cfrac{3×50}{60}=2.5\) [Ω] 

回路に流れる電流は次のように求めることができます。
\(\cfrac{100}{\sqrt{4^2+2.5^2}}≒21.2\) [A] 

試験では、平方根の計算は計算機を使うことが出来るので大丈夫です。

計算機はご自身で用意すること。関数電卓などは認められていないようです。

正解は(3)になります。

問8(合成抵抗)

問 8
図に示すような抵抗の直並列回路がある。
この回路に直流電圧 5 [V] を加えたとき、電源から流れ出る電流 \(I\) [A] の値として、
最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

この問題は、抵抗が複雑に接続されているようですが、少しずつ整理すると必要のない抵抗があります。

どのように考えても構いませんが、次のようにして見ました。



最終的には、図のような簡単な回路になります。

合成抵抗を \(R\) とすると

\(R=5+\cfrac{10×40}{10+40}=8\) [Ω]

回路に流れる電流 \(I\)
\(I=\cfrac{5}{13}≒0.4\) [A]

正解は(2)になります。

問9(RLC回路の波形)

問 9
図1のように \(R\) [Ω] の抵抗、インダクタンス \(L\) [H] のコイル、静電容量 \(C\) [F] のコンデンサからなる並列回路がある。

この回路に角周波数 \(ω\) [rad/s] の交流電圧 \(v\) [V] を加えたところ、この回路に流れる電流は \(i\) [A] であった。

電圧 \(v\) [V] 及び電流 \(i\) [A] のベクトルをそれぞれ電圧 \(\dot{V}\)[V]と電流 \(\dot{I}\)[A]とした場合、両ベクトルの関係を示す図2(ア、イ、ウ)及び \(v\) [V] と \(i\) [A] の時間 \(t\) [s] の経過による変化を示す図3(エ、オ、カ)の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、\(R≫ωL\) 及び \(ωL=\cfrac{2}{ωC}\) とし、一切の過渡現象は無視するものとする。

<解答例>

回路に流れる電流 \(\dot{I}\) [A] は次のように表される。
\(\dot{I}=\cfrac{\dot{V}}{\dot{Z}}\)\(=\cfrac{\dot{V}}{R}+\cfrac{\dot{V}}{jωL}+jωC\dot{V}\)

問題文に、\(R\ggωL\) ( \(\gg\) は、非常に大きいの意味)なので、 \(\cfrac{\dot{V}}{R}\) は無視して良い。

上の式は次のようになる。
\(\dot{I}=\cfrac{\dot{V}}{jωL}+jωC\dot{V}=\left(\cfrac{1}{jωL}+jωC\right)\dot{V}\)

\(\dot{I}=\left(jωC-j\cfrac{1}{ωL}\right)\dot{V}\)

\(\dot{I}=j\left(ωC-\cfrac{1}{ωL}\right)\dot{V}\)

誘導性リアクタンス \(ωL\) の大きさは、容量性リアクタンス \(\cfrac{1}{ωC}\) の2倍なので、電流比 \(I_L:I_C=1:2\) となるので \(I_C\) の方が大きいことがわかります。

上の式に \(ωL=\cfrac{2}{ωC}\) を代入すると

\(\dot{I}=j\left(ωC-\cfrac{1}{\cfrac{2}{ωC}}\right)\dot{V}\)

\(\dot{I}=j\left(ωC-\cfrac{ωC}{2}\right)\dot{V}\)

\(\dot{I}=j\cfrac{1}{2}ωC\dot{V}\)

故に \(\dot{I}\) は \(\dot{V}\) [V] より 90°位相が進みます。
( \(+j\) は90°進みを意味する。 \(-j\) は90°遅れを意味します。)


図2の正解は ウの
電流が電圧より進んでいる。 になります。

図3の正解は カの
電流が電圧より進んでいる。 になります。

以上のことから、ウ と カ が正しいので、

正解は(5)になります。

問10(RLC直列回路)

問 10
図は、インダクタンス \(L\) [H] のコイルと静電容量 \(C\) [F] のコンデンサ並びに \(R\) [Ω] の抵抗の直列回路に、周波数が \(f\) [Hz] で実効値が \(V\)(≠0 [V] である電源電圧を与えた回路を示している。

この回路において、抵抗の端子間電圧の実効値 \(V_R\) [V] が零となる周波数 \(f\) [Hz] の条件を全て列挙したものとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

この回路において、抵抗の端子間電圧の実効値\(V_R\) [V] が零になるための条件は、抵抗 \(R\) [Ω] に電流が流れないことです。

誘導性リアクタンスを \(X_L\)、インダクタンスに流れる電流を \(I_L\)、インダクタンスに掛かる電圧を \(V_L\) とした場合

\(I_L=\cfrac{V_L}{X_L}=\cfrac{V_L}{2πfL}\) になる。

\(I_L=\cfrac{V_L}{2πfL}=0\) になるための周波数は、
\(f=∞\) になれば良い。

同様に考えて、
容量性リアクタンスを \(X_C\)、コンデンサに流れる電流を \(I_C\)、コンデンサに掛かる電圧を \(V_C\) とした場合

\(I_C=\cfrac{V_C}{X_C}=2πfCV_C\) になる。

\(I_C=2πfCV_C=0\) になるための周波数は、
\(f=0\) になれば良い。

正解は(4)になります。

問11(シリコンと半導体)

問 11
次の文章は、不純物半導体に関する記述である。

極めて高い純度に精製されたケイ素(Si)の真性半導体に、微量のリン(P)、ヒ素(As)などの (ア)価の元素を不純物として加えたものを(イ)形半導体といい、このとき加えた不純物を (ウ)という。

ただし、Si、P、Asの原子番号は、それぞれ14,15,33である。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

ケイ素(シリコン)は価電子=4価の元素で、半導体の材料として非常によく使われます。

ケイ素を高い純度に精製したものは、電気を通しません。

このケイ素にごく少量の不純物を加えることで、半導体ができあがります。

不純物として、5価のリン(P)、ヒ素(As)などを加えると電子が移動するので電流が流れます。

この半導体を負(negative)の電荷である電子が、電気を伝えるので「N形半導体」といいます。

5価の元素は電子を供給するので「ドナー」と呼ばれます。

また、不純物として、3価のホウ素(B)、ガリウム(Ga)などを加えた半導体を「P形半導体」といいます。

3価の元素は、電子を受け入れるので「アクセプタ」と呼ばれます。「P形半導体」は正孔がキャリアとして働きます。

電流を運ぶ役目をする電子や正孔のことを「キャリア」といいます。

正解は(5)になります。

問12(過渡現象)

問 12
図の回路において、十分に長い時間開いていたスイッチ \(S\) を時刻 \(t=0\) [ms] から時刻 \(t=15\) [ms] 間だけ閉じた。

このとき、インダクタンス \(20\) [mH] のコイルの端子間電圧 \(v\) [V] の時間変化を示す図として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

\(t=0\) [ms] スイッチを閉じた瞬間
インダクタンスに逆起電力が発生するのでインダクタンスには電流が流れません。

回路に流れる電流を \(I\) [A] とすると
\(I=\cfrac{E}{10+20}=\cfrac{30}{30}=1\) [A]

インダクタンスの端子電圧 \(v\) は、\(20\) [Ω] の抵抗にかかる電圧と同じになります。

\(v=1×20=20\) [V]

この時点で答えは、(4)と(5)になります。

\(t=0\) [ms] から \(t=15\) [ms] の間

時間の経過とともにインダクタンスに徐々に電流が流れ、最終的にインダクタンスは短絡状態になるので、インダクタンスの端子電圧は \(0\) [V] になります。

このときに回路に流れる電流 \(I\) [A] は
\(I=\cfrac{30}{10}=3\) [A] になり、この電流がコイルに流れエネルギーを蓄積します。

\(t=15\) [ms](スイッチを開放) から それ以後 の間
スイッチ開放直後は、コイルに流れていた電流 \(3\) [A] が \(20\) [Ω] の抵抗を通じて放電するので、インダクタンスの端子電 \(v\) は \(3×20=60\) [V] の電圧になります。

コイルに発生する起電力の方向は逆方向になるので、\(-60\) [V] になります。

その後は、コイルのエネルギーを放出しながら、最終的に \(0\) [A] になります。

正解は(4)になります。

問13(トランジスタ)

問 13
バイポーラトランジスタを用いた交流小信号増幅回路に関する記述として、誤っているものを、次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

1.エミッタ接地増幅回路における電流帰還バイアス方式は、エミッタと接地との間に抵抗を挿入するので、自己バイアス方式に比べて温度 変化に対する動作点の安定性がよい。
2.エミッタ接地増幅回路では、出力交流電圧の位相は入力交流電圧の位相に対して逆位相となる。
3.コレクタ接地増幅回路は、電圧増幅度がほぼ1で、入力インピーダンスが大きく、出力インピーダンスが小さい。
エミッタホロワ増幅回路とも呼ばれる。
4.ベース接地増幅回路は、電流増幅度がほぼ1である。
5.CR結合増幅回路では、周波数の低い領域と高い領域とで信号増幅度が低下する。
中域からの増幅度低下が6[dB]以内となる周波数領域をその回路の帯域幅という。

<解答例>

1.エミッタ接地増幅回路の電流帰還バイアス回路は、問題文にある通りの記述が正しい。

2.エミッタ接地増幅回路では、出力交流電圧の位相は入力交流電圧の位相に対して逆位相となる。の記述も正しい。

3.この記述も正しい。

4.この記述も正しい。

5.中域からの増幅度低下が6[dB]以内となる周波数領域をその回路の帯域幅という。とありますが、6[dB]でなく3[dB]が正しいので、この記述は誤りです。

正解は(5)になります。

問14(ディジタル計器)

問 14
ディジタル計器に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

1.ディジタル交流電圧計には、測定入力端子に加えられた交流電圧が、入力変換回路で直流電圧に変換され、次のA-D変換回路でディジタル信号に変換される方式のものがある。
2.ディジタル計器では、測定量をディジタル信号で取り出すことができる特徴を生かし、コンピュータに接続して測定結果をコンピュータに入力できるものがある。
3.ディジタルマルチメータは、スイッチを切り換えることで電圧、電流、抵抗などを測ることができる多機能測定器である。
4.ディジタル周波数計には、測定対象の波形をパルス列に変換し、一定時間のパルス数を計数して周波数を表示する方式のものがある。
5.ディジタル直流電圧計は、アナログ指示計器より入力抵抗が低いので、測定したい回路から計器に流れ込む電流は指示計器に比べて大きくなる。

<解答例>

(1)から(4)の記述は、正しいものです。

(5)の記述は、ディジタル計器とアナログ計器の記述が反対になっているので誤りです。

ディジタル計器は、入力インピーダンスが高いということが、大きな特徴の一つです。

アナログ計器は、ディジタル計器と比べると入力インピーダンスが低くなります。

その原因はアナログ計器が指示針を、物理的に動かす必要があるからです。

正解は(5)になります。

問15(三相交流回路)

問 15
図1のように、周波数 \(50\) [Hz]、電圧 \(200\) [V] の対称三相交流電源に、インダクタンス \(7.96\) [mH] のコイルと \(6\) [Ω] の抵抗からなる平衡三相負荷を接続した交流回路がある。

次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)図1において、三相負荷が消費する有効電力 \(P\) [W] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 1890
(2) 3280
(3) 4020
(4) 5680
(5) 9840

(b) 図2のように、静電容量 \(C\) [F] のコンデンサを Δ結線し、その端子 a’、b’及び c’をそれぞれ図1の端子 a、b及び cに接続した。

その結果、三相交流電源からみた負荷の力率が 1になった。

静電容量 C[F]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 6.28 × 10-5
(2) 8.88 × 10-5
(3) 1.08 × 10-4
(4) 1.26 × 10-4
(5) 1.88 × 10-4

<解答例>

問(a)
三相電力は単相電力の3倍になります。

図1の電源側をΔ-Y変換をして、一相分を取り出した等価回路は次のようになります。

誘導性リアクタンスの値は
\(X_L=2\pi fL=100\pi×7.96×10^{-3}≒2.5\) [Ω]

インピーダンスを \(Z\) とすると
\(Z=\sqrt{R^2+X_L^2}=\sqrt{6^2+2.5^2}=6.5\) [Ω]

回路に流れる電流は
\(I=\cfrac{\cfrac{200}{\sqrt3}}{Z}=\cfrac{200}{\sqrt3×6.5}≒17.76\) [A]

三相負荷の消費する電力は
\(P=3I^2R=3×17.76^2×6≒5678\) [W]

問(a) の答えは(4) になります。

問(b)
図2 の Δ 接続のコンデンサを、Y 変換を接続に変換します。

Y 接続に変換したリアクタンスを \(X_{CY}\) とすると

\(X_{CY}=\cfrac{1}{3}X_C=\cfrac{1}{j3ωC}\)

コンデンサを Y 接続に変換したことで、静電容量は3倍になります。

接続されたコンデンサは、元のインピーダンスに並列に接続されるので次のようになります。

図の合成インピーダンスを求めるれば良いのですが、複素数の計算ではアドミタンスの方が計算が簡単になります。

合成アドミタンスを \(Y\) [S] とすると
\(\dot{Y}=\cfrac{1}{R+X_L}+\cfrac{1}{X_{CY}}\)

\(=\cfrac{1}{R+jωL}+j3ωC\)

\(=\cfrac{R-jωL}{(R+jωL)(R-jωL)}+j3ωC\)

\(=\cfrac{R-jωL}{R^2+(ωL)^2}+j3ωC\)

\(=\cfrac{R}{R^2+(ωL)^2}+jω\left(3C-\cfrac{L}{R^2+(ωL)^2}\right)\)

負荷の力率が 1 になったということは、虚数部が 0 であることになりますので次の式が成り立ちます。

\(\left(3C-\cfrac{L}{R^2+(ωL)^2}\right)=0\)

\(3C=\cfrac{L}{R^2+(ωL)^2}\)

\(C=\cfrac{L}{3(R^2+(ωL)^2)}\)

この式に数値を入れて計算します。
\(C=\cfrac{L}{3(R^2+(ωL)^2)}\)

\(=\cfrac{7.96×10^{-3}}{3(6^2+(2π×50×7.96×10^{-3})^2}\)

≒\(6.28×10^{-5}\) [F]

問(b) の答えは(1) になります。

正解は (a)-(4)、(b)-(1)になります。

問16(オシロスコープ)

問 16
振幅 \(V_m\) [V]の交流電源の電圧 \(v = V_m\sinωt\) [V]をオシロスコープで計測したところ、画面上に図のような正弦波形が観測された。

次の(a)及び(b)の問いに答えよ。

ただし、オシロスコープの垂直感度は5[V]/div、掃引時間は2[ms]/divとし、測定に用いたプローブの減衰比は1対1とする。

(a) この交流電源の電圧の周期[ms]、周波数[Hz]、実効値[V]の値の組合せとして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(b) この交流電源をある負荷に接続したとき \(i=25\cos\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}\right)\) の電流が流れた。

この負荷の力率[%]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

問(a)

■ オシロスコープについて オシロスコープの画面表示は、縦軸が振幅幅で横軸が時間軸になっています。 オシロスコープの画面は縦横に分割されています。 分割された格子の「1マス」を「1division」といいます。 電圧軸は 5V/div.
時間軸は 2ms/div. のように表します。

ここで問題に戻ると
周期とは一つの変化を繰り返す時間のことで、記号は \(T\)、単位は秒 [s] です。

周波数とは1秒間に繰り返す周期の数のことで、記号は \(f\)、単位は [Hz] です。

周期と周波数には次の関係があります。

\(T=\cfrac{1}{f}\quad\) [s]

\(f=\cfrac{1}{T}\quad\) [Hz]

グラフから 1周期をするまでに、10マスありますので

周期\(=10×2=20\) [ms]

周波数=\(\cfrac{1}{20×10^{-3}}=50\) [Hz]

グラフから最大値\(=5×5=25\) [V] なので

実効値=最大値÷\(\sqrt2=\cfrac{25}{\sqrt2}=17.7\) [V]

以上から、(a)の答えは (3)になります。

問(b)
交流電源の電圧は、次のとおりです。
\(v=V_m\sinωt=25\sinωt\) [V]

回路に流れた電流 \(i\) は、
\(i=25\cos\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}\right)\) です。

位相差を知るためには、電流 \(i\) を \(\sin\) の形にします。

三角関数の公式から
\(\cosθ=\sin(θ+\cfrac{\pi}{2})\) です。

電流の式に代入すると
\(i=25\sin\left(ωt-\cfrac{\pi}{3}+\cfrac{\pi}{2}\right)\) です。

\(i=25\sin\left(ωt+\cfrac{\pi}{6}\right)\) [A] 

したがって、電流の位相は電圧に対して、\(+\cfrac{\pi}{6}\) [rad]\(=30\) [度] 進んでいます。

力率は \(\cosθ\) なので、
力率\(=\cos\cfrac{\pi}{6}=\cfrac{\sqrt3}{2}\)
力率\(=0.866×100%=86.6%\)
となります。

以上から、(b)の答えは (4)になります。

正解は (a)-(3)、(b)-(4)になります。

問17(電界の強さ)

問 17
空気中に半径 \(r\) [m] の金属球がある。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、\(r=0.01\) [m]、真空の誘電率を \(ε_0=8.854 × 10^{-12}\) [F/m]、空気の比誘電率を \(1.0 \) とする。

(a) この金属球が電荷 \(Q\) [C] を帯びたときの金属球表面における電界の強さ [V/m] を表す式として正しいものを

次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(b) この金属球が帯びることのできる電荷 \(Q\)[C]の大きさには上限がある。

空気の絶縁破壊の強さを \(3×10^6\) [V/m] として、金属球表面における電界の強さが空気の絶縁破壊の強さと等しくなるような \(Q\) [C] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>

問(a)
点電荷から \(r\) [m] 離れた位置の電界の強さは次の式で表されます。

\(E=\cfrac{Q}{4\pi ε_0r^2}\) [V/m] 

\(E\) : 電界 [V/m] 
\(ε_0\) : 真空の誘電率 [F/m] 
\(Q\) : 電荷 [C] 
\(r\) : 電荷間の距離 [m]

したがって、答えは(1)になります。

問(b)
この設問は
\(E=\cfrac{Q}{4\pi ε_0r^2}\) [V/m] を変形すると

\(Q=E×4\pi ε_0r^2\) [V/m]

\(Q=3×10^6×4×3.14×8.854×10^{-12}×0.01^2\) [V/m]

\(Q=3.33×10^{-8}\) [C]
となります。

以上から、(b)の答えは (3)になります。

正解は (a)-(1)、(b)-(3)になります。

問18(マルチバイブレータ)

問 18
図は、NOT IC、コンデンサC 及び抵抗を用いた非安定マルチバイブレータの原理図である。

次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この回路に関する三つの記述(ア)~(ウ)について、正誤の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア) この回路は電源を必要としない。

(イ) 抵抗 \(R_1\) [Ω] の値を大きくすると、発振周波数は高くなる。

(ウ) 抵抗器 \(R_2\) は、\(\rm NOT_1\) に流れる入力電流を制限するための素子である。

(b) 次の波形の中で、コンデンサ C の端子間電圧 \(V_C\) [V] の時間 \(t\) [s] の経過による変化の特徴を最もよく示している図として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、いずれの図も1周期分のみを示している。

<解答例>

問(a)
(ア)について、電気回路を動作させるには、回路に電流を流すための電源は必要です。(ア)にの記述は誤りです。

この時点で、答えは(4)と(5)の2つになります。

(イ)について、一般的に、発振回路の周波数は \(\cfrac{1}{CR}\) の関係があります。
つまり、発振周波数は帰還抵抗と反比例の関係になりますので \(R_1\) を大きくすると周波数は低くなります。
(イ)の記述は誤りです。

(ウ)について \(R_2\) と \(\rm NOT_1\) は直列なので \(R_2\) が大きくなれば \(\rm NOT_1\) に流れる電流は小さくなります。
(ウ)の記述は正しい。

問(a)の答えは(5)になります。

問(b)
非安定マルチバイブレータは、コンデンサの充放電を繰り返すことで発振回路を構成しています。

一般的に、放電は急激で充電はなだらかな曲線になります。
充放電を繰り返すということから、正負の値を持つのは(2)と(5)になります。

放電が急で充電がなだらかなのは、(2)のグラフになります。

問(b)の答えは(2)になります。

正解は (a)-(5)、(b)-(2)になります。

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