問3
問 3
次の文章は、コイルのインダクタンスに関する記述である。
ここで、鉄心の磁気飽和は、無視するものとする。
均質で等断面の環状鉄心に被膜電線を巻いてコイルを製作した。
このコイルの自己インダクタンスは、巻数の(ア)に比例し、磁路の(イ)に反比例する。
同じ鉄心にさらに被膜電線を巻いて別のコイルを作ると、これら二つのコイル間には相互インダクタンスが生じる。
相互インダクタンスの大きさは、漏れ磁束が(ウ)なるほど小さくなる。
それぞれのコイルの自己インダクタンスを \(L_1\) [H]、\(L_2\) [H] とすると、相互インダクタンスの最大値は(エ)[H] である。
これら二つのコイルを(オ)とすると、合成インダクタンスの値は、
それぞれの自己インダクタンスの合計値よりも大きくなる。
上記の記述中の空白箇所 (ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組み合わせとして、
正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

<解答例>
自己インダクタンスは次のように表されます。
\(L=\cfrac{N\phi}{I}\) [H] \(\cdots(1)\)
\(L\):自己インダクタンス [H]
\(N\):コイルの巻数
\(\phi\):磁束 [Wb]
\(I\):電流 [A]
また、磁気回路に生じる磁束は次のように表されます。
\(\phi=\cfrac{μSNI}{l}\) [Wb] \(\cdots(2)\)
\(\phi\):磁束 [Wb]
\(μ\):透磁率 [H/m]
\(S\):断面積 [m2]
\(N\):コイルの巻数
\(I\):電流 [A]
\(l\):磁路の長さ [m]
式(2)を式(1)に代入すると
\(L=\cfrac{N\phi}{I}=\cfrac{N}{I}×\cfrac{μSNI}{l}=\cfrac{μSN^2}{l}\) [H]
となるので、コイルの自己インダクタンスは、巻数の2乗に比例し、磁路の長さに反比例することがわかります。
したがって、(ア)には「2乗」が入り、(イ)には「長さ」が入ります。
次に、相互インダクタンスは
\(M=k\sqrt{L_1L_2}\) [H]
\(M\):相互インダクタンス [H]
\(k\):結合係数 (0~1)
\(L_1、L_2\):各コイルの自己インダクタンス [H]
\(k\) は結合係数と言われ、「k=1」は二つのコイルが磁気的に、完全に結合している場合を示し、「k=0」は二つのコイルが磁気的に、全く結合していないことを示しています。
したがって、問題文の(ウ)は漏れ磁束が「多く」なるほど小さくとなります。
(ウ) は「多く」が入ります。
(エ)の問は、\(M=k\sqrt{L_1L_2}\) [H] で k=1 の時に最大になりますので、
(エ) には「\(\sqrt{L_1L_2}\)」 が入ります。
(オ)の問は、問題文から、「合成インダクタンスの値がそれぞれの自己インダクタンスの合計値よりも大きくなる」 とあるので、コイルの接続は和動接続されていることがわかります。
(オ) には「和動接続」が入ります。
正解は(5)になります。
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