電験三種 H21年 理論 問10 問題と解説

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問10

問 10

図1のようなインダクタンス \(L\) [H] のコイルと \(R\) [Ω] の抵抗からなる直列回路に、図2のような振幅 \(E\) [V]、パルス幅 \(T_0\) [s] の方形波電圧 \(v_i\) [V] を加えた。

このときの抵抗 \(R\) [Ω] の端子間電圧 \(v_R\) [V] の波形を示す図として、正しいのは次のうちどれか。

ただし、図1の回路の時定数 \(\cfrac{L}{R}\) [s] は \(T_0\) [s] より十分小さく \((\cfrac{L}{R}\ll T_0)\)、方形波電圧 \(v_i\) [V] を発生する電源の内部インピーダンスは 0 [Ω] とし、コイルに流れる初期電流は 0 [A] とする。

<解答例>

図1のようなRL直列回路の過渡現象では、回路に流れる電流 \(i\) [A] は、\(t=0~T_0\) の間では

\(i(t)=\cfrac{E}{R}(1-ε^{-\frac{R}{L}t}) (t≧0)\)

\(τ=\cfrac{L}{R}[s]\) を時定数という

時定数は、過渡現象の速さを知る尺度です。

\(t/τ=1\) では、最終値の \(63.2%\) の値になり、

\(t/τ=2\) では、最終値の \(86.5%\) の値になる。

また、定常状態の時は、\(i(t)=\cfrac{E}{R}\) になります。

図3はこの様子を示したものです。


各素子に加わる電圧の変化は、次のようにして求められる
\(v_R(t)=Ri(t)=E(1-ε^{-\frac{R}{L}t})\)

\(v_L(t)=L\cfrac{di(t)}{dt}=Eε^{-\frac{R}{L}t}\)

抵抗の端子間電圧は,次のようになります。
\(v_R(t)=E(1-ε^{-\frac{R}{L}t})\)

\(\cfrac{L}{R}\ll T_0\) なので、時刻 \(t=T_0\) の時点では、

\(v_R=E\)[V] になります。

次に、時刻 \(T_0<t\) となると、電源電圧 \(E=0\) [V] となるので

\(v_L=Eε^{-\frac{R}{L}t}\) [V] になり、減少していきます。

正解は(5)になります。

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